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第68話 秘密兵器ウラ―ニア

萌仁香はベッドに入りスキンケアをしてから眠りにつく。


スキンケアをして質のいい睡眠を心がけている萌仁香はすぐに寝付き、そのまま夢の世界へ入っていった。


すると萌仁香はメリーゴーラウンドや観覧車などオーソドックスな遊園地にいた。


遊園地という事で遊びたい衝動に駆られると、一人の女性が萌仁香に声をかける。


「珍しいわね。アンタみたいな人間がこの国に来るなんて」


「は?いきなりなんなのよ?じゃなくて…。もう~どうしたんですかぁ~?」


「いや今更遅いわよ…」


「うっ…もういいわ。今の見なかったことにしたら示談で済ませてあげる!」


「何だか面倒な人ね…。まぁいいわ、私はミューズナイツのウラ―ニアよ。あなたは?」


「小嶋萌仁香…。ってアンタが初代ミューズナイツ!?」


「この夢のベッドで眠りについてここに来るって事は私を探しに来たんでしょ?多分だけどアンタが私の後輩ね」


「何だか偉そうなんだけど…。まぁそうですね」


「アンタ…さっきのぶりっ子だっけ?イキイキとしてないでしょ?やってて楽しくないって感じがしたんだから」


「う…!それは…仕方ないでしょ!そうしないと男のハートを掴めないって前のマネージャーが言ったんだから!」


「マネージャー?何の事か知らないけど猫かぶってないと何も出来ないって言い方ね。そんなんじゃ生きてて楽しいって思えないわよ」


「うっ…!」


萌仁香は過去の自信のなさを簡単に見抜かれ主導権を握られる。


咄嗟に猫を被るも、もう既に遅く猫をかぶれなくなった。


そこであまり好きではない本来の性格で接すると、今度は生きてて楽しくないでしょ?と指摘され図星を突かれて言葉に詰まる。


萌仁香は言い訳をせず、ありのままの自分の答えを言った。


「楽しくない…ね。確かに猫をかぶってると嫌いだけど本当の自分をさらけ出せなくて生きてるって感じがしないわね。誰かに好かれようとして無理したキャラ作りして、正直ストレスだったわ。自分に嘘をついているみたいで、他人を騙しているって思うとさっさとやめたいって思ったもの。でも…正直そんなキャラやめてよかった。そのおかげで今まで受け入れてもらえなかった本当の自分を受け入れてもらえたし、徐々に本当の自分の事が好きになりつつあるの。それ以来生きてるって感じがするし、何をやっても楽しいって思えるようになった。前に進むって時には後ろを向きながらでも歩いていくのも悪くないかなって思ったわ。嫌いな一面も含めて自分自身だし、それを受け入れないとやっぱり何をやっても楽しめないって思う。受け入れるには相当な勇気も必要だと思うけど…その勇気がなくちゃ何も進展しないし、楽しいって感情をなくし生きる意味を見失うもの。萌仁香だって先輩方と出会ってやっと気づいたんだから。イキイキするならまず弱くて嫌いな自分の一部をも受け入れて活かさなきゃ。楽しくなきゃ人生なんて空っぽになるだけよ」


「ふーん…。アンタ経験浅そうに見えて結構深い経験を重ねているわけね。上から目線で見て悪かったわ」


「まったくよ。アンタ萌仁香よりも年下でしょ?」


「ん?確かにミューズナイツでは最年少だけど、こう見えて七十歳過ぎて死んだんだからね?霊界では好きな姿に変えられるのよ?」


「霊界…?はぁ!?萌仁香って死んだの!?」


「そんなわけないでしょ。死んでたらもっと身体が軽いはずよ。それにここはその一部の夢の国だから安心して。それよりも一応アンタよりは年上なんだからわきまえなさいとは言わないけど、もう少し遠慮しなさいよ」


「うっ…悪かったわよ…」


「でもその度胸があってこそ辛い経験を乗り越えたのよね。アンタなりに自分を乗り越えて夢を叶えそして生きる楽しさを覚えた。おかげで遅咲きながらミューズナイツに覚醒したのよね。わかったわ、アンタを認めてあげる。ただし…この私に勝てないようでは、あのルシファーナにすら勝てないという事も忘れないでよね」


「まったく…タダで認めてもらえると思った萌仁香がバカだったわ…。こうなったら力づくで認めさせてやるんだから覚悟しなさい!」


目上であるはずのウラ―ニアにも臆さない態度で萌仁香は巨大ハンマーを構える。


ウラ―ニアは萌仁香と比べて小ぶりなハンマーだが、代わりに実際の西洋で使われたウォーハンマーで尖った部分で叩かれるとひとたまりもない威力である。


ウラ―ニアはその子ぶりなハンマーを活かして素早い動きで萌仁香を翻弄させる。


「アンタ随分大きなハンマーなのね!そんなんじゃ私を捉えるのは不可能なんだからね!そぉいっ!」


「きゃっ!」


「どうしたの?動きと判断が鈍いわよ!」


「もう!どうしたらアイツをギャフンと言わせられるのよ!」


「さっきの逆境を楽しむという威勢はどこにいったの?それとも口だけ?この程度だと思わなかったわ!」


ウラ―ニアは小ぶりさを活かし、萌仁香の大きすぎる武器を逆手に取り攻撃を続ける。


威力は大きい方が有利…なんてことはなく、大きすぎると威力が分散され、重さに耐えきれないなんてことも少なくはない。


逆に小さくても重ければ一点集中で大きなパワーを生むこともあると感じ、萌仁香は派手さにこだわった自分を反省した。


「もうおしまいならこっちがとどめ刺してあげる!くらいなさいっ!」


「もういいや…」


「はぁ?」


「もう捉えようとするのはやめたわ!やっぱり当たって砕ける方が性に合うわね!そーれっ!」


「きゃっ…!」


萌仁香は早く相手を捉えようと考えすぎて集中力が悪い方向に行ってしまっていた。


それをやめて気を楽にするには重すぎる目標を捨て、力を抜く事で逆境を楽しめるようになり、ついに萌仁香はウラ―ニアを捉える事が出来た。


ハンマーの面積が大きいため、どこに逃げても逃げ場がなく、避けれたとしてもかすることもあるので一長一短なのだ。


萌仁香は覚悟を決めて必殺技を放つ。


「萌仁香の本気をここで受けてみなさい!ミョルニルメテオ…ヴィーヴォ!」


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」


萌仁香のさらに大きくなったハンマーは隕石のごとくウラ―ニアを叩きつぶした。


遊園地自体も大きな地震に見舞われ、まるで隕石が衝突したような衝撃を与えた。


それでもウラ―ニアは元気そうにしていて、萌仁香はもうダメだと思ったが…ウラ―ニアはハンマーを置き去りにして萌仁香に歩み寄った。


「大したものじゃない。アンタのその吹っ切れた時のパワーは。もういいわ、アンタを認めるどころかこの私を越えたわ。あのルシファーナを倒す使命をアンタに託すわ。人生をイキイキとしなきゃ何をやっても叶ったとしても楽しむことが出来ないって事を覚えておきなさいよね」


「最後まで偉そうなのね…まったく」


「でもこれで心置きなく霊界に還れるわね。私が成し遂げられなかったダークネスパワーの消滅を頼んだわよ」


「ええ、わかったわ」


萌仁香はウラ―ニアの試練を突破し、ウラ―ニアの魂は他の初代ミューズナイツと同じように天に昇っていった。


萌仁香は徐々に意識がもうろうとして体が重くなり、目覚めの時が来たんだと感じる。


目が覚めると萌仁香は、心から逆境を楽しもうと思えるようになり、もうあの猫かぶりとはさようならをしようと決めたのだった。


つづく!

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