002話 榊家本邸への訪問
この作品を選んで、お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字があると思いますが、出来れば誤字報告して頂ければ幸いです。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れを含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
美玲は朝の7時に起床して祖母が作ってくれた朝食を食べてから、部屋に戻り白いワンピースと水色のカーデガンを着て丁寧に化粧をして身形を整え『ヨッシ、これで良いわね』と呟き気合いを入れて9時には家から出掛けて行く。
東横線の田園調布の駅まで行き、玲との待ち合わせ時間の5分前に駅舎前のロータリで玲が乗る黒塗りのセダンが来るのを待つ。
美玲が待っていると10時丁度に目の前に黒塗りのセダンが停車して、玲が後部ドアのウィンドを下ろし挨拶をするとドアを開けてから奥に移動する。
「お早う、待たせたわね、さぁ、乗って」
「うふふ、お早う、玲、それじゃ、失礼するるわね」
美玲は玲に挨拶をしてから、開いた後部ドアから乗り玲の隣に座る。
「うふふ、やっぱり美玲ってちゃんとした服装でお化粧すると綺麗よね、同性の私から見ても見惚れるわよ」
「もう、朝から冗談は止めてよ、お金持ちの御令嬢には敵わないわよ」
「お嬢様、それでは出発致します」
運転手が玲に出発すると伝える。
「うん、お願いね、それで今日は何の用事何だろうね、お爺様に呼ばれるなんて初めてよ」
「えっ、そうなの、多分玲の縁談話じゃないの、私はそのついででしょ」
「言っとくけど私にも一応だけど婚約者がいるのよ、お父様の下で修行中よ」
「えっ、そうなの初めて聞いたわよ、どんな人なの」
「うふふ、恥ずかしくて言えなかったけど先々週に決まったの、二つ上の幼馴染よ、まぁ、見た目が平凡だけど優秀で優しい方よ、お父様の下でアシスタントをしてるわよ」
「ふ~ん、そうなの、やっぱり玲ってお嬢様なのね、それでその婚約者とはどんな感じなの・・・・」
美玲はここぞとばかりに玲の恋バナに話を膨らませて、榊家本邸に到着するまでの間中は玲の彼氏の事について質問攻めをする。
榊家本邸の門の入口に到着すると門番が門扉を開けてくれて、黒塗りのセダンが門を通り中庭の道をゆっくりと走り通って行く。
暫らくは知ると和風の豪邸の玄関前に到着すると運転者が後部ドアを開けてくれて、美玲が先に降りてから玲が後から降りる。
玲が先に行って玄関扉を開けて中に入ると広い玄関の土間があり、そこで靴を揃えてスリッパに履き替え広い廊下を2人で並んで歩き、お爺様が住まう奥座敷へと向かう。
「お爺様、玲です。仰せの通り美玲も一緒に連れて参りました」
「おぅ、玲か、美玲さんも中に入りなさい。そこに座りなさい」
美玲と玲はお互いに顔を見合わせて『はい、失礼します』と声を揃えて、玲がゆっくりと襖を開けて中に入り、後から入った美玲が静かに襖を閉めて、それから玲と並んでお爺様の前に立つ。
お爺様と呼ばれる廉造は殆んどが白髪で覆われて、一見穏やかそうに見えるが目つきは鋭く瞳からは鋭い眼光を放ち、見る者達を圧倒させる程のオーラを放つ榊家の現当主である。
「うん、玲も漸く婚約者が決まったようだな、おめでとう」
廉造は微笑みながら婚約が決まった玲を祝福し、二人にお茶を淹れて2人の前に茶器を差し出す。
「はい、有り難う御座います」
玲は廉造に一礼をして祝福されたことに感謝の言葉を返す。
「うん、それに美玲さんも久しぶりだな元気にしている様だな」
「はい、お陰様で元気に過ごさせて頂いてます」
美玲は緊張した面持ちで廉造に応対し、何かを言われるのかと内心ドキドキしていた。
「うん、そうか、ところで美玲さん、もう暫くすると敬が帰国してくるが、どうだ、この際だ同居してみては如何だ。儂もなもう歳だ。先がそう長くはないのでな曽孫の顔を見たいのだか、考えてみてはくれぬか」
廉造は敬と美玲が3年間の契約結婚である事を承知の上で、美玲に本当の榊家の妻として敬と子作りを始めろと告げた。
「えっ、それはでも、私は飽くまでも繋ぎとして敬さんと契約結婚をしただけで、とても榊家の正式な妻に成れるような身分では御座いません。周りが反対なさるのではないですか」
「アッハハ、美玲さん、今時の若い者が身分とか気にするのか、今の時代は身分より能力を優先するべきじゃないのかい、正直言って今の財界の御令嬢達は見栄っ張りで能力が足らんのが多すぎる」
「それは言えてますわ、お爺様、美玲の能力の高さは私が保証します。敬兄さんともお似合いだと思います」
「玲、チョッと何を言っているの、敬さんと私じゃ釣り合わないわ、それに言う程私は優秀ではありません。敬さんの足を引っ張る真似だけはしたくありません」
「ホゥ、美玲さんは敬の事が好きではないのか、普通の令嬢なら榊家に嫁げるとなったら喜ぶはずなのだがな」
廉造は焦った様子の美玲の弁明を聞いて思わず笑みを浮かべて呆れる様に言い放つ。
「それでもです。敬さんと契約結婚をしてから、私は榊家の方達と何度かお会いし実感したのです住む世界が違うと、敬さんの事が好きでも妻として支えられるのか自信が持てません」
美玲は笑みを浮かべ呆れた様子で話す廉造を見て、さらに焦って弁明をする。
「アッハハ、如何やら美玲さんは自分の事をかなり過少評価している様だな、玲もそう思わんか」
「うふふ、そうですわね、お爺様、美玲は知り合った時から自分の事を過小評価する癖がありますわ、私よりも優秀なのに」
「まぁ、良い、敬が帰国してから2人で先の事を話合う必要があるの、儂は美玲さんを敬の妻に認めておるぞ」
「はい、私も敬兄さんの妻には美玲が一番お似合いだと思ってますわ」
玲は美玲を見ながら満面な笑顔で褒め称える。
「それにだ。敬がなぜ美玲さんと3年間の契約結婚をしたか分かるか、本来なら正式な妻にしたかった。だが榊一族の中に潜む裏切り者達から君を護る為に期限が来れば解消できる契約結婚にしたのだ」
廉造は優しい笑顔から真面目な表情になり、真剣な眼差しで敬の想いを美玲に伝えた。
「それは如何言う事ですか・・・本当に私を護る為なの?」
美玲は敬が本気で私を妻に娶ると考えていたの、ただ裏切者達から私を護るために契約結婚にしたと言うのと頭の中が混乱する。
廉造は美玲に他言無用だと言ってから榊家が抱える闇の問題がある事を美玲に伝え、今が一番危うい状態であり敬が愛する妻である美玲に闇の問題に巻き込まれない様に廉造の息の掛かったの者達で守護している事を伝えた。
その頃ニューヨーク・マンハッタンにある榊コーポレーション支社のオフィスビルの会議室で敬がブルンズシステムズとの買収に成功し、買収先の代表と買収契約書にサインをして握手を交わした。
「おめでとう御座います。社長」
秘書室長の中村は買収契約を終え執務室に戻って来た敬を祝福をする。
「あぁ、これで日本に帰れるな」
敬はやっと念願のブルンズシステムの買収に成功し、これで日本に帰れると安堵する。
敬は椅子に座りスマフォを手にして従妹の玲から送られてきた最近の美玲の写真を眺めてからパソコンに電源を入れ、本社から送られて来た書類に目を通し電子決済を始めた。
暫くして敬のスマートフォンに母親の千賀子からメールが届き、叔父でもある専務取締役の榊圭司の裏金資金の全容が送られて来た。
敬は叔父の圭司の悪巧みをこれで掴んだが、6年前に当時の社長であった父親の蓮司と美玲の父親の命を奪った横浜臨海プロジェクトの建設現場での事故についても圭司が絡んでいると睨んでいた。
その証拠も裏金資金が流れている関連会社を調べ、当時の建設現場に絡んだ下請け会社などを更に調べる方針を母の千賀子にメールで送信して伝えた。
敬は叔父の圭司の犯した罪の全容を明らかにするまでは美玲とは同居せずに今の別居生活を続け、美玲には悪いがもう暫く待って貰おうと考えていた。
ただ日本に帰ってから一度美玲と会って会食でもして、それからは定期的に会い恋人同士がする普通のデートでも楽しめたら良いなと願望を抱く。
お読み頂き、ありがとう御座います。
もし面白いと思い頂けたなら、ブックマーク、いいね、リアクションの評価をして頂きますと励みになりますので、宜しくお願い致します。




