8. 紅玉のペンダント
翌日から颯太は精力的にパソコン内のデータを調べ始めた。するとそもそもこのパソコンはアレクの物ではなく、シン・サクライの物だと言うことが分かった。そして、シン・サクライが自分の祖父の桜井真一郎だということも。
ーーー 一体どうなっているんだ。最初に祖父がこの世界に来て、次に父、そして僕まで。祖父は何者なんだ。それに祖父の娘って母さん?真祖ってなんだ?母さんもこっちに来てたってこと?エルって誰?聖女?うわあ、ヴァンパイアがいたんだ。
余りの情報量に頭がくらくらしてきた。
ーーー えーっと、時系列から並べてみようか
颯太はパソコンをいじり始めた。そんな時、ドアが開きセイガが入って来た。
「どうだ?学習は進んでいるか?」
「セイガ、聞きたいことがあるんだけど・・・。君はエルって人とアレクと一緒に旅をしたんだよね。このエルって人がどういう人なのか良く分からないんだけど・・」
「エルか・・・。彼女はシン・サクライとユイの娘で聖女だ」
「そのシン・サクライは僕の祖父の桜井真一郎らしいんだ。でも、僕が生まれた時には祖母はいなかったし、母さんはこのエルって人じゃないと思う」
「何、それは本当か?エルは生まれてから500年目が覚めなかったそうだ。その所為で聖ピウス皇国の台頭を許したとも言われている。彼女はその眠っていた500年間、お前達の世界に行ったんだろうか。彼女から預かった紅玉のペンダントがある。彼女はそのペンダントで覚醒したと言っていた。お前がシン・サクライの孫であるならばそのペンダントに何か反応があるかもしれん。今、取ってくるから待ってろ」
そう言うと、セイガは急いで部屋を出て行った。颯太は相変わらずパソコンで作業を続けていた。そこへ紅玉のペンダントを咥えてセイガが部屋に入って来た。
「これはかつてエルが持っていた物だ。アレクの棺に納めようとしていたので私が預かった。もし、お前がシン・サクライの孫ならば、これを付けた時、何か反応があるかもしれん。付けてみるか?」
颯太はその紅玉のペンダントをジッと見た。吸込まれそうな紅いペンダント。颯太は手を伸ばして恐る恐るセイガからそれを受け取った。途端、紅玉が輝きを増し、辺りは紅い光で見えなくなった。光が収った頃、颯太はその場に崩れ落ちた。
セイガが慌てて颯太を揺すったが目覚めない。仕方なくセイガはマルコムを呼び、颯太を寝室へと運ばせた。マルコムは颯太の容態を確認しセイガに言った。
「セイガ様、恐らく、ソータ様は紅玉の記憶の中へ入って仕舞われた様です。暫くはこちらには戻らないでしょう」
「そうか」
セイガは力なくそう言い、その部屋で蹲った。
「エルもこんな風に記憶の中に入って行ったのかな・・・」




