6. 館 ③
牛舎、豚舎を抜けると、そこに小さな池があり、鴨やアヒルが飼われていた。その先には、鶏小屋があった。
「凄いですね、向こうには何があるんですか?」
「向こうは果樹園と畑になっている」
「ここだけで全て賄えそうだ」
「ここは、何かあった場合に人々が逃げこんだりした場合でも大丈夫なように設計されている」
「ソータ、君はこの世界のことを良く学ばねばならない。魔王のこともね」
そしてセイガは再び颯太を背に乗せ館に戻った。
ーーー魔王ってなんだ?
「お帰りなさいませ」
マルコムが出迎えた。セイガがマルコムに指示を出す。
「マルコム、ソータをアレクの部屋に案内してやってくれ」
マルコムに案内された部屋は、現代日本と遜色ない部屋だった。机の上にノートパソコンが1台置かれている。電源をみるとコンセントから取られているようだ。颯太は机のノートパソコンを開き電源を入れる。流石にインターネットは通じてないが膨大な資料がその中に詰まっているようだ。机の脇にはCD-ROMを入れる小さな棚がある。暗証番号が分からない為、どこかに記載されてないか机の1番上の引き出しを開けてみると、1冊のノートが出てきた。その表紙に『SAKURAI KENTA』と書かれている。颯太はその表紙を見て震えた。表紙をめくった1ページ目にパソコンの暗号が載っていた。
ーーーやはり父さんはこの世界に来ていたんだ。
パソコンの中には、この世界の膨大な資料が入っていた。ふと、CD-ROMに目をやるとCD-ROM毎に項目が分かれていた。中には料理に関してのレシピもあった。
ーーーすごいな。取敢えず、マルコムに言って僕専用のノートを貰おう。疑問に思ったことを書き出したい
「マルコム、僕専用のノートを貰えるかな」
「使っていないノートならば一番下の引き出しに入っております」
そう言われて机の一番下の引き出しを開けると新品のノートが沢山入っていた。
「あれ、でも『アレク』がいたのは300年以上前でしょ?何でノートも他の物も黄ばんだり古くなっていないんだ?」
「実はこの場所は特別な魔法が掛かっていて、外からの客人がいない時は時間が止まっているのです。ですので、アレク様がいた時代よりも更に古い、シン・サクライ様の頃からこの館の結界内は時間がそれほど経ってはいないのです」
ーーーえっ、今、シン・サクライって言った?父さんより前に桜井の人間が来てったってこと?
「マルコム、そのうシン・サクライっていうのは・・・」
「ああ、ご説明申し上げていませんでしたね。そもそもこの館を創ったのがシン・サクライ様とユイ様なのです。詳しい事はパソコンを見て頂けたらご説明がつくと思います。ところでソータ様、そろそろ日が傾いて参りましたので夕飯にいたしましょう」
そう言ってマルコムは夕飯の支度をしに部屋を出て行った。颯太は引き出しからノートとボールペンを取り出し自分用のノートを作った。ノートには今日1日疑問に思ったことを書き連ねた。書く内に愕然とする。
ーーー今日の日付は何だろう?そもそもこの世界に曜日や時間の概念はあるのだろうか




