3. |神狼《フェンリル》との出会い
薄暗さにようやく目が慣れた途端、
「うわ、なんだ!」
巨大な影とらんらんと光る黄金の目がゆっくりと近づいて来た。襲うつもりはないらしく確かめるように近づいてくる。その影の全貌が見えた時、颯太はあんぐりと口を開けた。その巨大な影は素晴らしい銀色の毛に包まれたオオカミだった。
「アレク?」
ーーーうわっオオカミが人間の言葉をしゃべった
「あ、あのう僕はアレクではないです。分かりますか?」
巨大なオオカミは更に近づいて来て、颯太の匂いをしきりに嗅いでいる。けれど不思議と怖さは感じなかった。
「僕、交通事故に遭って、気付いたらここにいました。ここはどこですか。家に帰れますか?」
「アレクじゃないのか。もう戻ってこないのかな・・」
オオカミはがっかりしたように言うと、急に興味を無くしたように離れていこうとした。
「待ってください。聞いてましたか。ここはどこですか。僕は、桜井颯太と言います。事故に遭って、それで・・・。もしかして、ここ異世界ですか?父に昔、聞いたことがあります。父も事故に遭って、死にかけた時に異世界に行った事を。あれ、じゃあもしかしたら、セイガ・・・」
オオカミは驚いたように振り向くとまじまじと颯太の顔を見つめた。そして巨大な体がみるみる普通サイズのオオカミになる。そして颯太の目の位置と同じ位の高さになると尻尾がワサワサと揺れだした。
「やっぱりアレクなのか?戻ってくれたんだね」
そう言って、颯太に飛びつき顔を舐めだした。
「うわっぷ、違う、違うよ。でも、そうか。君がセイガなんだね。多分、君が言っているアレクは僕の父親だ。桜井健太と言う名前に聞き覚えはないか?」
「桜井健太・・何か聞き覚えがあるような。もう随分昔のことなので忘れてしまったが・・。そうか。アレクの息子なんだな。息子ならアレクの体に入ったのも頷ける。私はセイガ。神狼だ。最近魔石が異常に光っているというのを聞いて、ここでアレクを待っていた。そうか、息子か・・」
セイガは感慨深そうにまじまじと颯太を見る。
「えっ、アレクの体って・・」
そう言って、颯太は自分の体を見た。確かに颯太の体ではない。颯太はまだ16歳の日本人だ。けれど今見ている体は大人の、それも鍛え上げた体をしている。
「まあいい。息子なら大歓迎だ。その体自体、300年以上使われずに棺に入っていたから動かせるか心配だな。どうだ? 立ち上がれるか?」
「ダメみたいです。こうして起き上がれるのが精一杯みたいです」
「ちょっと待ってなさい。マルコムを呼んでくる」
そうしてセイガはどこか人を呼びに走って行った。
待つ間に颯太は頭の中を整理する。そう俺は事故に遭って、異世界に来たんだ。父さんが言っていたあの異世界だ。本当の事だったんだな。神狼のセイガ、竜人族の皇子ロン、ヴァンパイアで聖女になったエル。そういえばこの体は300年以上使われていなかったといってたよな。ていうことは・・・えー、父さんがアレクとして居た時代から300年以上経ってる?取敢えず、何か書くものが必要だ。父さんに聞いた事を思い出してまとめなきゃ。マルコムって誰だ?それにここは・・
颯太の思考はめまぐるしく変るのだった。
セイガとの対面を果たしましたね。セイガももう立派な大人の神狼で落ち着きがでましたね。300年後の世界はどう変ったのでしょうか。面白いと思った方は評価ボタンをお願いします。
『黄金の道』では外伝が継続中です。そちらも併せてどうぞ宜しくお願いします。




