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黄金の道 Ⅱ  作者: 長尾 時子


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2. 真人と颯太

桜井健太は桜井本家に婿養子として入り、絵里と結婚した。その翌年、絵里は元気な双子の男の子を出産する。真人(まさと)、颯太(そうた)と名付けられたその双子は、二卵性の為か容姿は全く異なっていた。


長男の真人は母親似で夢見がちな少女を思わせる雰囲気があり、その瞳は赤味がかっている。次男の颯太は父親似で活発でどちらかと言うとやんちゃそうな顔つきをしていた。


二人は見た目と性格が異なってはいたが、仲が非常に良くいつも一緒にいた。名門中の名門といわれる私立慶優学園の幼稚舎から小学校、中学校と学園側の配慮かどうか分からないが、いつも同じクラスになった。そして成績はいつも2人で1位、2位を独占していた。『桜井の天才双子』と呼ばれる所以だ。強いて違いがあるとすれば、文系と芸術系は長男の真人、理系と体育系は次男の颯太が得意と言うことかも知れない。


幼い頃、二人は父健太から異世界の話を聞くのが大好きだった。よく父に強請っては異世界の話を聞いた。父の話は夢に溢れていた。竜人族や獣人族、エルフや魔法使い、おまけにヴァンパイアなどもいるという世界は、特に芸術家肌の真人には堪えられない魅力を感じてもいた。大きくなるにつれ、それは単なるおとぎ話であり現実ではありえない事と知るのだが、心のどこかで父は本当にその経験をしたのではという思いもあった。よく知るファンタジー小説にはない生々しさがあったからだ。


「僕もその世界に行ってみたい」


真人はよくそんな事を口にした。幼い彼が夢見がちにつぶやくと父親は決まって笑いながら彼の頭を撫で、「いつか行けるかもしれないな」と言っていた。それを見た颯太も「僕も言ってみたい」と父親の腕にかじり付くと「そうか。お前もか。でも二人共行ってしまうと寂しいな」と父が寂しそうに笑ったのを颯太はずっと覚えていた。



高校に入り、やはり同じクラスになった二人だが、真人は美術部に颯太は空手部にと初めて別行動を取った。これは二人で決めた事だ。高校に入ったらそれぞれ好きな事をしようと話し合った結果だ。高校入ってからは車の送迎がなくなったことも一因だ。お互い帰る時間もバラバラで良くなった。



ある夕方、颯太は部活の帰りに小さな子猫が車道で立ち往生しているのを目撃した。間近に走り去る車が怖くて動けなくなっている。可哀想に思い、1台車をやり過ごした後、車道に出て、子猫を拾った。戻ろうとした途端、横合いから急スピードで出てきた車にぶつかった。誰かが悲鳴を上げている。耳元で子猫がニャアニャア鳴いていた。良かった。助かったんだ、お前。そんなに鳴くなよ。次第に薄れていく意識の中でそんな事を思っていた。



どれくらい眠っていただろうか。妙な閉塞感で目が覚めた。息苦しい。思い切り天井を叩いた。すると天井が外れ、本物の天井が見えた。どうも俺は箱の中で眠っていたらしい。長いことこんな箱の中で眠っていたせいか、体が思うように動かない。無理矢理起き上がって見ると、辺りには見慣れない光景が広がっていた。



『黄金の道Ⅱ』が始まりました。『黄金の道』に続き、宜しくお願いします。良いなと思った方は評価ボタンを宜しくお願いします。次回はいよいよ異世界に飛んだ颯太の物語が始まります。

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