10. 訓練開始
翌日になると颯太は起きだし、早速、魔法の練習を始めた。だが、何度やっても魔法は発動しない。
ーーーおかしいな。俺って魔法の才能無いのかな
そこへ朝食を食べ終わったセイガがやって来た。颯太が妙なかけ声と動作を繰り返しているのを見て、腹を抱えて笑い出す。
「ソータ、それは何のダンスだ?ヒーっ、クワっハハ、く、苦しい」
「そんなに笑わなくてもいいだろ、セイガ。これでもチョー真面目にやってんだ。魔法だよ、魔法の練習!」
「魔法の練習?アッハハハ。それは魔法じゃなくてダンスだ。それも飛びきり妙な」
「それじゃあ笑って見てないで教えろよ」
暫く笑っていたセイガだが、やっと笑いを納め颯太に向き直った。
「まずは自分の体の中の魔力を感じろ」
「体の中の魔力?」
「ああ、そうだ。突っ立ってないで座れ」
セイガは颯太を地面に座らせると、颯太の正面に座った。
「いいか。魔力は体の中心、臍の辺りにある。それを感じてみろ」
颯太は言われた通り体の中心に意識を向けた。そうすると成程、臍の辺りに温かなものがある。
「感じたか。それを体中に巡らせるんだ。魔法はその魔力を自由に体中に巡らせられる様になってからだ」
颯太は言われた通り、その温かなものを動かそうとしたがうまくいかない。ちょっと胸の方へ上がったと思ったらまた元に戻ってしまう。
「ダメだよ、セイガ。ちょっとは動くけどまた元に戻ってしまう」
「焦るな。根気強く動かすんだ。胸、両肩、首、頭、戻して首、両肩、両腕、腹まで戻して両足、爪先までいったらまた戻す。それを繰り返して」
「分かったよ。胸、両肩、首、あー戻った。胸、両肩、首、頭、首、あーダメだ」
「焦って動かそうとしてもダメだぞ。深呼吸して落ち着いたら、もう一度やってみろ。ゆっくりとだ」
颯太は言われた通り深呼吸をして、気持ちを落ち着かせ、再度挑戦する。胸、両肩、首、頭、首、両肩、両腕、そこから腹までもどして両足、つま先そして腹へ戻す。
「出来た!出来たよ、セイガ」
「そうか。割と早く出来たな。今日はそれを繰り返し、自由に魔力を動かせるようにしとけ」
「分かったよ、セイガ、ありがとう」
颯太は魔力循環の練習を早速始めた。胸、両肩、首・・・セイガはその様子を目を細めて見ていた。日が中天に昇り、そろそろ昼食の時間だ。セイガは伸びをして颯太を止めさせた。
「おい、昼だ。昼飯を食いに行こう」
「ええー、もう?セイガ、行ってていいよ」
「ダメだ。魔力循環の練習は今日は終わりだ。午後からは乗馬の訓練をする」
「えっ、馬に乗れるの?」
「ああ、他にもやることは山ほどある。とっとと昼飯に行くぞ」
セイガは颯太の方を見もせずに食堂へ走り出した。食堂からはセイガの好きな唐揚げの匂いがただよっている。
お読み頂きありがとうございます。あのセイガが厳しい先生になりました。時を感じますね~。今後もやる気が出るよう、評価ボタン☆をお願いします。




