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悪役令嬢転生物語  作者: だいふく


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21/25

20話 波乱の勉強会

数日後、放課後の図書室。

机の上に広げられたのは、教科書とノートの山。

「……魔法史……術式理論……魔力循環応用」

ミレイユは遠い目をした。

(増えてません……?)

試験範囲が発表されてからというもの、教科書の厚みが増した気がする。

「ミレイユ様」

声をかけたのはセシリアだった。

「本日は女子勉強会ですわ」

その言葉通り、集まっているのは。

ミレイユ、セシリア、ルイン、アンリ

完全なる女子空間。

(ああ....攻略対象が一人もいない.....平和ですわ……)

ミレイユは心の底から思う。

攻略対象がいなければ、恋愛フラグも破滅フラグも立たない。

(これですわ。私が求めていたものは)


◆


机に教科書を並べ、セシリアが言う。

「今日は座学中心でいきましょう」

「はい!」

アンリが元気よく答え、ルインも頷く。

「頑張りましょう!」

(なんて健全な空間なんでしょう……)

笑い声も穏やかで空気が柔らかい。

(前回やった女子会に近い安心感がありますわね)


◆


まずは魔法史。アンリが説明する。

「第三次属性均衡改革は、各属性の魔術師の権力争いが背景で――」

「なるほど」

ミレイユは頷く。

(アンリの説明は本当に分かりやすいですわ……)

セシリアも補足する。

「政治的背景も重要ですわ」

ルインがノートを見せる。

「図にすると覚えやすいですよ!」

カラフルな図。しかし、配色がいいのかとても見やすくなっている。

(さすが色彩魔法の使い手……)

視覚的に理解することができ、ミレイユは感動した。

「皆さん、本当に教え方が上手ですわね」

セシリアが微笑む。

「ミレイユ様が努力家だからです」

(その評価は少し盛りすぎでは……)


◆


順調だった。とても順調だった。

平和で、穏やかで、問題もなく。

――その時

図書室の扉が開き、落ち着いた男性の声。

「おや、勉強会かい?」

ミレイユは顔を上げた。

そこにいたのは若い教師。黒髪の落ち着いた雰囲気。

そして、ルインがぱっと顔を明るくする。

「お兄様!」

(……はい?)

空気が止まる。ルインが紹介する。

「こちら、私の兄で先生のカインです!」

(カイン……?)

ミレイユの脳内で警報が鳴る。原作知識が蘇る。

(カイン・セレフィア……!)

隠し攻略キャラ。他キャラルートを攻略してからでなければルート解放がされない。

(本来このタイミングで出会うはずのない人物では!?)


◆


カインは微笑んだ。

「ルインの友達かな」

落ち着いた声に穏やかな雰囲気で教師らしい余裕。

「試験前の勉強会?」

ルインが嬉しそうに答える。

「そうです!」

カインは机の上に目を移す。

教科書とノート。内容は魔法史のページ。

「なるほど」

そして、ミレイユのノートを見る。

「……」

沈黙

「……これは」

ミレイユは固まった

(まずっいですわ.....)

ノートの内容はほぼ落書き。

覚え方メモ

魔力=血液

火魔法=フライパン

(見られてはいけないやつですわ……!)


◆


カインは優しく笑った。

「魔法理論、苦手?」

「……」

ミレイユは観念した。

「はい」

「なるほど」

カインは椅子を引いた。

「少しだけ教えようか」

(!?)

ミレイユの脳内が爆発する。

(待ってください....この流れ....まずいのでは?)

原作知識が叫ぶ。教師ルート発生条件:カインと交流

(フラグですわ.....)


◆


セシリアが言う。

「先生が教えてくださるなんて、ありがたいですわ」

アンリも頷く。

「ぜひお願いします!」

ルインは嬉しそう。

「お兄様、説明すごく分かりやすいんです!」

(誰か止めてください……!)

ミレイユは心の中で叫ぶ。しかし、誰も止めることはない。

カインは教科書を開いた。

「魔力循環はね」

静かな声、分かりやすい説明。

図解や例えを用いて丁寧に説明してくれる。

驚くほど理解しやすい。

「……なるほど」

思わず声が出た。

(とても分かりやすい.....……)



◆


数十分後、ミレイユは気づく。

(理解できてしまっています……)

カインは優しく言った。

「君は感覚型だね」

「....っぐ....どうやらそのようですわ....」

「ならイメージで覚えるといい」

ノアと同じことを言うが、説明がさらに整理されている。

(この人……教師として優秀すぎます……それと、ゲームをやっていた時も思ってましたけれど...肉体強化の特殊魔法を扱う家系の人物とは思えないほどの優男ですわ.....)


◆


ふとカインが言う。

「ところで....君達は....」

(来ましたわ……)

アンリとセシリアが自己紹介を終え、ミレイユは覚悟を決める。

「私はミレイユ・アルノーです」

カインの目が少し細くなる。

「……ああ」

「第二王子の婚約者の」

(やっぱり知っていますわよね……)

カインは微笑んだ。

「面白い子と評判のね」

(.......面白い!?)

ミレイユの内心はパニックだった。


◆


勉強会が終わる頃、カインは立ち上がる。

「試験、頑張って」

「ありがとうございました!」

ルインが手を振り、カインは去っていった。

(……隠し攻略キャラと遭遇しましたわ...女子勉強会のはずだったのに...なぜこうなったのですの...)

ミレイユはそっと天を仰いだ。



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