表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢転生物語  作者: だいふく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/25

17話 悪役令嬢の勘違い

入学から一ヶ月。

王立魔法学園の空気にも、ようやく慣れてきた。

だが――ゲームは確実に進んでいる

それを確信させる出来事が、立て続けに起きていた。



実技演習場。訓練後のレオニードが汗を拭いながら言う。

「そういえば、あの平民の子。名前は....」

心臓が跳ねる。

「...アンリさんのことですの?」

「そう、アンリ。魔法の技量は噂で聞いていたけど。それ以上に武器の扱いも手馴れてる。あれは才能だね」

(レオニードルート接触のイベント……!)

原作ではここから個別指導が始まる。着実にフラグが立っている。

「気にかけていらっしゃるのですね」

「才能があれば見るよ。それだけ」

(ルートが進んでいるにしては、妙に淡々としていますわね.....ただ、イベントが発生したのは間違いありませんわ.....)

ミレイユの中では警報が鳴り響いていた。



魔法理論室。そこではクラウスがアンリに術式の補足をしている。

(クラウスルートのイベント……!?)

「理解が早いな」

「ありがとうございます」

突然視線がこちらに向き、観察してるのがバレてしまう。

「ミレイユ」

クラウスは静かに言う。

「っ…ご、ごきげんよう...…私は、その、たまたま偶然通りかかっただけですから!お気になさらず!」

「制御はお前の方が安定している。時間があればアンリに助言してやれ」

「え?....いえ、私はまだまだですわ。アンリさんに教えれることなんて....」

「ミレイユ様!是非、お願いします」

アンリから頭を下げられてしまう。

「あ、アンリ様、顔を上げてください。分かりました、私もアンリ様から色々と教えて欲しいこともあります。クラウス様も交えて演習場で如何でしょう」

「本当ですか?よろしくお願いします、ミレイユ様!クラウス様!」

(何故....なるべく接触してはいけないのに.....クラウス余計なことを.....)



魔法書を探しに図書館に来ると、そこにはルインとアンリが並んで座っていた。

ルインはふわりと笑う。

「この理論、アンリさんの考え方、とても柔らかいんです」

「そ、そんな……」

穏やかな空気。

(これは....ルインの兄であるカインルートへの発展?ただ、カインは隠しキャラ。それに他のキャラ攻略後じゃないとフラグは立たないはず........まあ、既にゲームと異なる状況にもなってますし、いきなりカインルートに入ることもあり得る話ですわね...)

ルインはミレイユに気づくと、ぱっと顔を輝かせる。

「ミレイユ様!今度この本、一緒に読みませんか?」

「ごきげんよう、ルイン、アンリさん。これは最新の魔術書ですか?」

「そうなんです。新たな日用魔法や料理への応用も記載されていて、ミレイユ様にぴったりな一冊です!」

日用魔法と言われテンションが上がってしまう。

「素晴らしいです!直ぐにでも時間を作りましょう!」

そんな、2人のやり取りを不思議そうにアンリは見つめている。

「ミレイユ様は.....料理をされるんですか?」

言い切った後、手で口を塞いでいる。思ったことがそのまま口に出てしまったのだろう。

「そうなんですよ、アンリ様。ミレイユ様の作るものはどれも独創的でとっても美味しいんです。そうだ!良ければアンリ様もご一緒にいかがですか?」

「え....そんな、お邪魔では....?」

「そんなことありません!ね、ミレイユ様!」

(ルイン.....そんなキラキラした瞳をこちらに向けないで下さい.....断れないじゃありませんか....)

「も、もちろんです。アンリさんも是非」

「ありがとうございます、ミレイユ様!とても楽しみです!」

(なんか....接点がどんどん増えていきますわ.....いいのかしら......)



廊下で並んで歩く。隣には優雅に微笑んでいるセシリアだ。

「最近、アンリ様が話題ですわね」

(来た……ライバル令嬢ポジ……やはりレオニードのルートが一歩進んでいるのかしら)

思わず身構えてしまう。

「ノア殿下ともよくお話されているとか」

「…あら…そうなんですの」

(ノアとも!?こ、これはノアルートも発展している可能性が.....)

「ええ、何でも生徒会に誘われているとか」

「.....え?」

さらりと爆弾。

「せ、生徒会?少し早くありませんか?王族以外で生徒会に入るには成績優秀者のみ。まだ、入学して1か月程度しか経っていませんけれど」

「ええ、私もそう思っていたんですけれど。ノア様は才あるものを野放しにはしない人ですから。例年よりも早めの人材確保に動いてるようです」

(これは.....もうノアルートに入ってるんじゃありませんか....だとしたらマズいですわ....一刻も早く婚約解消の話を持ち出して、邪魔する気はないことを明言しなければ!!)



何故か私は生徒会室いた。ノアに唐突に呼び出されたのだ。

そして、半強制的に書類整理を手伝わされている。リヴィアも私の補佐として参加している。

生徒会室にはノア、リヴィア、私の3人だけ。静かな室内で紙をめくる音だけが響く。

静寂を打ち消すようにノアが何気なく言った。

「そういえばミレイユ。最近アンリとよく話していると聞いたけど、友達になったのかな」

(....来た...それに既に呼び捨て.....揺るぎない信頼関係が構築されている......というか誰から聞いたんですの?)

「ええ……何かとご縁がありまして....それにとっても優秀で良い子なので...」

「うん、そうだね。それに努力家だ。知ってるかもしれないけど、彼女も生徒会に加入する予定なんだ」

原作どおりの評価、生徒会に入る時期は早いけど概ね原作通りに進んでいる。

胸がざわつく。

(ここからノアルート加速……言うなら今しかありませんわ!!)

「もし、ノア様がアンリさんとご縁を深めるのでしたら」

リヴィアの手が止まり、ノアは穏やかに視線を上げる。

「私のことは一切気にせず!婚約を解消していただいても構いませんから!」

(これで敵対する意思がないことは完璧に伝えられたはず!破滅ルートから一歩後退といった所かしら!)

しかし、待っていたのは沈黙。完全な沈黙だった。

リヴィアが手に持っていた書類を落とし、そっと息を呑む。

ノアは――笑った。にこりと。

だが、目がまったく笑っていない。

(え?あれ、何です、この空気?)

「……どうして、そうなるのか、一応聞いてもいいかな?」

声音は優しい。けれど圧が凄い。

「それは、将来的に最適な――」

はぁ、と額に手を当てノアは首を振る。

「君はまた何か勘違いしているね?」

ぴたり、と言葉を止められる。

ノアは立ち上がり、机を回ってミレイユの前へ。

「僕が君との婚約を、他の誰かのために解消する?」

「で、ですが……」

視線が絡む。逃げられない。

「……ノア様の幸福を思って」

「僕の幸福は、僕が決めるよ」

柔らかい声。だが完全に主導権を握られている。

「それに」

一歩、距離が近づく。

「僕は――」

ノアが何か言おうとしたその時、

「ミレイユ様はいらっしゃいますか!!」

セシリアが大きな声で生徒会室に入ってきた。

ノアはため息をつき、何事もなかったかのように書類整理を再開する。

「....?ミレイユ様、どうかなさいました?」

「.....いえ、何でもありません。それよりどうしたんですのセシリア?」

「ミレイユ様に是非見ていただきたいものがありまして―――」

セシリアと談笑が始まる中、リヴィアの疲れ果てた呟きが聞こえた気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ