Review.7:怨念。
――欲深い己は、何人も己の土地に入られる事を良しとしなかった。
強情、頑固。
このような性格だ。
友も居なれば勿論、妾も居らぬ。
友も妾もいらぬ。
親も共に早世しており、天涯孤独の生活を送っていた。
後悔も淋しさも無かった。
己の小ぢんまりした家と広い庭の中での一日は存外楽しいもの。
暇な時は縁側で日に当たりながら茶菓を摘む。
気が向けば、詩や句を弄す。
誰にも気を配らなくて良い。
己が一番。
伸び伸びと、悠々自適に暮らすことが出来ておった。
暫くの時が経って、己は臨終の際を迎える。
安らかな思いで極楽浄土に逝こうとしておった。
身体から離れ天へと向こうておるとき、現世の姿が目に入った。
なんと言う事であろうか。
現世の奴等が。
一人身の己が死んだのを良い事に。
己の土地を荒らしに荒らし。
想いが篭もった様々な調度を掻っ攫っていきおったのだ。
この怨み、晴らさないでおくべきであろうか。
いや、罪には罰であろう。
天に昇るのは辞めた。
このような混沌憤怒な想いを胸に、昇ることは出来ぬ。
己は魍魎の類に身を落とし。
手を出した者たちを一人また一人。
懇願にも耳は貸さぬ。
貴様らが悪いのだ、と次々に身を裂き。
血祭りにしていった。
己も殺したいと言う訳ではない。
手を出した奴等が――人の物を盗ろうとする奴等が悪いのだ。
こうして百代の過客を経ても猶。
己は、こうして現世を彷徨い続けておる。
閑静な建築を見つけた。
束の間の平穏を楽しんでおったのだが。
再び、己の領に踏み入る輩が現れた。
貴様が。
貴様らが悪いのだぞ。
己は。己は手にかけることなどしたくはないのに――
人の欲とは恐ろしいものです。
あれが欲しい。これが欲しい。
目に付くもの全てが欲しくなります。
それをいかに制御できるか。
そこが、意志の強さなのですね。
…暗い(苦笑)




