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Review.5:対談。

「ほほぅ、そんな事があったのかィ」

将棋盤を挟んでオレの前に座る仲ジィは、顎をさすりながらそう言った。

「あぁ。……どうすりゃ良いと思う?」

オレは己の玉将に迫っていた仲ジィの刺客、歩兵を銀将で討ち取りながらそう言った。

仲ジィはオレが子供の頃から世話になっている。

今では良い相談相手になってもらっている好々爺である。

「雷坊はもう策を講じたんじゃろう?そこまで煩わんでも良かろうに」

仲ジィは、オレの陣地にさらに駒を侵入させながら言う。

「だけどよ……」

オレも仲ジィの陣地に駒を侵入させ返しながら言う。

飛車を敵陣へ、香車を潰し龍王へと成る。

「煩わんでも良いと言いよるに。ホラ見てみなさい。思考が鈍っておるぞ」


あ。


パチリ、とオレの龍王を、仲ジィの桂馬が盤外に弾き出す。

……確かに。

変に考えすぎて把握できていない。

ホント、調子出ねぇや。

オレが顔をしかめたのを見て、仲ジィはくつくつと喉で笑い、こう言った。


「儂は、雷坊の悩みを解決できるやもしれん」


オレの悩みを――霊を見えても触れても何も出来ないというオレの悩みを解決できるかもしれない、と彼は言った。

「ど、どういう――」

オレが動揺したのを見て取って、仲ジィは更に笑った。

「いやなァ、この世には雷坊のような者たちがおってな、そやつ等が創ったモノがあるのじゃ」

オレみたいな?

霊や怪異現象が視える人たち、って事か。

オレは自分が指す番だったのを思い出し、乱暴に駒を動かして仲ジィに先を促した。

その仲ジィはと言えば、俺が指した一手をしげしげと眺め、「ほう、そう来たかィ」等と呟いている。

「焦らさないでくれよ、仲ジィ。……町のみんなにアンタの秘密ばらすぞ」

「やや、せっかちな奴じゃのぅまったく。こんな老いぼれを脅して何が楽しいんじゃか……」

仲ジィがいやはやと天を振り仰いだので、オレは将棋盤を苛立たしげに揺らした。

「な、何をするんじゃ!むぅ、言えば良いんじゃろう言えば…」

仲ジィは、いつの間にやら現れた愛犬ウミ(注、パピヨン。飛ばないものだけを指す)の頭を撫でながら、


「そやつ等の創ったモンっちゅーのが、現世に留まる御魂を昇華させる為の媒体みたいなモンなんじゃのぅ」


と、事も無げにそう言い放った。

「……はい?」

あまりの突拍子さ加減に頭がついていけない。

それは、オレの悩みを解決するどころか、そりゃあ世界の問題を、怪異となってしまった人たちの悩みを解決する、ってレベルにまで吹っ飛んでいますぞ?

オレの煩悶をよそに、仲ジィは話を続ける。

「その媒体――俗に〈導具〉と呼ばれる物は、形状は実に様々なんじゃが、何しろ古代の技術じゃからな。必然的にその形も古いものに限られてくるわな」

いや、ちょっ、待っ…。

だから話の飛躍っぷりに(以下略)。

「分からんやつじゃのぅ雷坊は。ん、ほらやったぞぃ。お前さんの番じゃ」

オレはぽかんとしながら、仲ジィに促されるままに駒を動かす。

今では何を動かしたかも覚えちゃいない。

「…要するにじゃ」

仲ジィが、日頃穏やかなその瞳を炯々と滾らせながらオレを見つめる。

そして、ウミを撫でながら口を開いた。

「雷坊は今まで霊が視えていたが何もする事が出来んかった、っちゅーて己を攻めておった訳なんじゃろう?」

コクリ、と頷く。

仲ジィがいつもの温和な表情になり、ポツ、と呟いた。


「確か、お前さんトコの寺に一振りあったはずじゃ。名前は忘れてしもうたがのぅ…」


アレマ、と驚く。

何と意外な事実。

解決法は近くに転がっていたとは。

確か、親父が自分の部屋に刀かざってたな。

アレか?

その刀について前に一悶着あったんだよな。

本来、刃渡り十五センチ以上の刃物は美術・骨董品としての所持は文化庁に登録せねばならない。

それは模造刀剣でも同じ事だ。

これは〈銃砲刀剣類所持等取締法〉、いわゆる〈銃刀法〉で規定されている。

……のだがその事をウチの親父に聞くと、仏門なのを良いことに「穢れた俗世の法に私は束縛など断じてされぬ!私が従うのは仏の教えのみ!」なんて戯言を抜かしやがった。

他にも堂内に一、二本古い刀があったが、それも同じく「穢れ〜のみ!」で一蹴されてしまった。

ったく、いい加減な野郎だよ。

いつか捕まるぞ?

はい、閑話休題。

「有り難う、仲ジィ。探してみるわ」

「うむ、そうしてみんしゃい。ほい、王手」

「あ」


仲ジィは、ホント便利なキャラです(笑)

解説役にはピッタシ。

良いキャラしてるし(笑)

彼の今後の活躍にもこうご期待!

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