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Dreaming Maker+  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
31/35

三十話 本当の兄じゃなくても

翌日、事務所に集まるDreaming Maker+のメンバー。しかし皆俯いたままだ。世奈からの重要発表の数々にメンバーは驚きを隠せない。そして陽昇も、衝撃の事実を口にする。

それでも翌日は年越しミュージックフェスタのためのレッスンがあった。裕一はなんだか実感がないまま事務所に入った。廊下を行き交う大人達がいつにも増して慌ただしい。昨日のニュースのせいだろう。あまり気にしないようにしてレッスン室に入った。

「おは...よー...えっと...」メンバーは皆バラバラに座っていた。とても声を発することができない状況だ。それでも裕一は空気を読まずこう投げかけた。

「皆、もっと元気にやろうぜ!昨日はすごいニュースがあったけど、これで立ち止まるような...」言いかけたところで秀が立ち上がった。

「それ以上何も言うな」睨みをきかせ一言そう言った後すぐに座り込んだ。


しばらくすると世奈が入って来た。

「おはようございます...」空気を読んで小声で呼びかけるとバラバラに返事が返って来た。

すると一つ咳払いをして今度こそ大声で話を始めた。

「皆さん、今日はレッスンと言いたいところですが、昨日のニュース見ましたよね?それに関して、私から話さなければいけないことがたくさんあります!だから今日はレッスンなんてしません!」皆その声に顔を上げた。

「一つ目。天くんが倒れた、というニュースは見ましたよね。病状については、御影くんは知っているかもしれませんが私たちには詳しくはまだ伝えられていません。今後のニュースで出てくると思います」陽昇は唇を噛み俯いた。

「二つ目。でも私はおそらく彼の病状を知っています。それには深い訳があるんです」

「深い訳?」陽昇が聞き返す。

「...」世奈はなかなか言い出せなかったが、ついに決心してこう言った。

「私、Dreaming Makerのマネージャーをしていたんです」その答えに皆驚きを隠せなかった。いつも驚かない陽昇も。

「デビュー当時からずっと一緒に頑張って来ました。時には壁にぶつかることもありましたが、なんとかやっていきました。でも訳あって解散。その訳も皆さんには知ってもらいます。後輩として、知らない訳にはいきません」メンバーは未だに実感が湧かずぽかんとしている。

「三つ目。私と社長は気がついていたんです。天くんの体調の変化に。調べた結果、心臓関連の病気の予兆に近かったんです。本人にそのことを話したら混乱して私にすがりついた。でも、すぐ立ち上がって、治療することを決めたんです。他のメンバーにも話してなんとか了解してもらいました。でも皆さんに心配をかけたくない、という本人の強い思いがあり世間に病気療養と発表することをやめて、代わりに仕事量を減らす。つまり解散を選んだんです。おそらく病気が治ってももう天くんは前と同じようにステージに立つことはできません」

陽昇は瞳を閉じて俯いた。

「彼らはトップアイドルとして名を馳せていますが、まだたどり着けていない目標は様々ありました。それを代わりと言っちゃなんですが、あなた達には叶えてもらわなければならないんです。何があっても。今日はレッスンができなくなっちゃって申し訳ないんですが、また次からは先輩達のためにも元気な顔を見せてくださいね」世奈は最後にメンバーに笑いかけた。

「申し訳ありませんが、書類整理などしなければならないのでしばらくここで待っていてください!」と言って一旦世奈は外に出た。


「...」メンバーは声を発することができなかった。あまりにも受け止めきれないほどの情報を目の当たりにして。そんな中、陽昇は俯き震えていた。それに気づいた優月が声をかけた。

「陽昇くん、どうしたの?具合悪いの?」その問いに小声で何かを囁いた。

「ちゃう...なっちゃう...」メンバーは陽昇を囲うように座り込んだ。

「陽昇?」裕一が心配そうに見つめると、陽昇が顔を上げた。

「天が、死んじゃう、死んじゃう」瞳を潤ませ必死に涙をこらえる陽昇の姿があった。

「天は、心臓系の病気にかかった。手術もするそうだ。しかしその手術の生存率は60%。死んじゃうかもしれないんだ」

「大丈夫だよきっと、60%にかけよう」

「うるさい!!」裕一の声に陽昇は耳を塞ぎながら叫んだ。

「僕にとって、天がどれほど大切な存在か知らないくせに!!天がいなかったら僕はここにいなかったし、劣等感を覚えることも、何かに抗おうとすることもしなかった。今この時を生きる僕は形成されなかったんだ!!たとえ天が本当の兄じゃなくても!!」

「本当の兄じゃない...?」秀は言葉尻が気にかかった。

「ああ、そこによく気がついたな。そうさ、僕、御影陽昇は、御影天の実の兄弟ではないんだ!」

メンバーは言葉を失った。

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