二十五話 あまりにしつこいもんで
裕一達salvageの収録も終わり、次は渡達café au laitの収録の番になった。共演者の中にソロアイドルの躑躅森レイヤの名前があった。何やら彼が一波乱起こしそうだ。
裕一達四人のロケも終わり、次の番組の打ち合わせにも入った。渡達四人のcafé au laitも四人での出演を控えていた。
「そんな感じでさ、動物と激闘する番組になったわけよ」「へ〜、僕も闘いたいな〜」「いや、マジでやめとけ。放送見たら分かるから」四人が出演した番組も放送まであと数日となった。
「僕らが出るのはトーク番組。バラエティ要素もあるけど基本は座って受け答えする。動物との激闘なら他所でやってくれ」陽昇は番組概要に目を通しつつ冷たく言い放った。
「ちなみに他の出演者って誰がいるんだ?」要が尋ねると陽昇は番組概要の紙を見せた。
「ほうほう、すげぇ人ばっかりだな!俺らの時は若手芸人とかばっかだったけど...」有名な俳優女優が名を連ねている中、要は一人気になる人を見つけた。
「躑躅森レイヤ?あのソロアイドルの?」渡達も頷く。
その頃、都内某所でドラマの収録が行われていた。
「休憩入りまーす!」現場監督の声で一旦休憩となった。パイプ椅子に腰掛ける人物が一人。ソロアイドルの躑躅森レイヤだ。演技中に乱れた髪の毛をメイクが整えている。
「ありがとうございます、あとは自分でやります」そう言って自分で櫛で髪をとかし始めた。とかし終わるとポケットから携帯を取り出し誰かにメールを送った。メールを送ると満足そうに立ち上がってまた収録が再開した。
裕一達はその日のレッスンを終え、更衣室で着替えていた。真っ先に着替え終わった誠が携帯を確認しつつ部屋を出ようとした。しかし、携帯を見たその時、手に持っていたカバンを地面に落としわなわなと震えた。
「誠くん?どしたの〜?」千尋が誠を覗き込むと、目を点にした誠が恐る恐る振り返った。そして、
「つ、躑躅森レイヤから、メールが来たー!!!」と叫んで尻餅をついた。裕一、要、優月、秀は驚きの悲鳴をあげた。その時急に更衣室のドアが開いた。世奈がずかずかと入り込んできた。
「ちょっ、俺まだ上着てな...」「厚木くん!メール来ました?」着替えていないメンツには目もくれず誠に尋ねる。
「は、はい...躑躅森レイヤから、メール来ました...」その返答を聞いて世奈はため息をついた。
「どういうことですか?何か知ってるんですか?」
「躑躅森くんがどうしても共演する四人と話したい、収録前に会いたいって聞かなくて。あまりにしつこいもんで厚木くんの番号教えちゃったんです。ていうか内容読みました?」
「驚きのあまり読んでないです...読んでみますね」誠は改めて文章を読んだ。
「なになに、café au laitの皆、今度の土曜日空いてるかな?空いてるよね!会おうよ!!コッテコテに変装したらバレないだろうし!」その返答に今度こそ全員が悲鳴をあげた。いや、陽昇は悲鳴のうるささに耳を塞いでいるが。
その日のドラマの収録も終わり、レイヤは真っ先に携帯を確認した。そこには一本のメールが届いていた。誠からだ。
「メンバーやマネージャーと重々に相談した結果、なんとか許可が降りました。本当にバレないように変装して会いましょう」と返ってきた。
「やった!」レイヤは小声で喜んだ。その日はスキップで帰路に着いた。
「言っておきますが、躑躅森くんはなかなかに軽い性格でテキトーなところがあります。それで顔がバレて大騒ぎを起こしたこともあるのでなかなか厄介な人なんです。四人とも、しっかり注意して見てくれるというなら許可します」
「は〜い、じゃあしっかり注意するので会いたいと思いま〜す」渡が真っ先に返事をすると三人が突っ込んだ。
「おいおい!!軽すぎ軽すぎ!!相手を考えて!!」
「お前がいくらリーダーだからって全責任を負う必要はないぞ、ないんだぞ」
「どうにかなると思うの!?」しかし渡は物ともせず、
「大丈夫だよ〜、だって僕らだもん、どうにかなる」と根拠のない自信を覗かせていた。
「...まぁ、リーダーの龍ヶ崎くんがいいと言うなら許可します。プライベートでまで干渉する権利はマネージャーにはありませんから」諦めたように世奈は頷いた。そしてとりあえず誠はレイヤにOKのメールを送った。




