二十三話 近づきたいアイドル像なのかもしれない
裕一たち四人が出演する番組も準備が着々と進んでいた。しかしどうしてもの事情でキャスト変更が行われることになった。代役で出演することになったキャストは...
あれから数日。裕一、要、優月、秀の四人が出演する番組の収録が近づいてきた。収録の概要も四人とも目を通し、ミーティングも済んだ。
「いよいよだな!ワクワクするなぁ!」裕一は一番はしゃいでいた。
「おいおい、お前は少し緊張感を持て。いや、緊張しすぎても前みたいになるからダメかもしれないけどよ」秀ははしゃぐ裕一をなんとか落ち着かせる。
「それと、共演する女優さんが僕と秀ちゃんの同級生なんだよね〜!これは緊張せずにやれるよ!」
「そっか、お前らの学校そういうところだったもんな。なぁ、その子可愛い?」「えっと〜、女優らしい顔だよ!」要も出演にワクワクしていた。
その頃、シャインエール・プロダクションに一本の電話が入った。近くにいた社員が電話を取る。
「はい...はい、えっ...?」途中から様子がおかしかったことに気がついた世奈は電話が終わるなりその社員に尋ねた。
「どうしたの?何か様子がおかしかったけど...」「ちょうどよかった、あなたたちに関することなんだけど...」その言葉を耳にした世奈は思わず口を塞いだ。そして関係者各位に確認の電話を飛ばした。
「...家事都合でどうしても彼女が出演できないという情報は把握済みですか?...あと、雪室くんが代役で出るってことも把握されてますか?」
四人も話を終え、別れようとした。その時、要の携帯に一本の着信が入る。
「ん?マネージャー?...もしもし...えっ事務所に集まれ?...うん、分かった」電話を一旦切り三人に向き直る。
「今から事務所に集まれだとよ。ただならぬ事情があるらしい」その言葉に三人は頷いた。
「はぁ...はぁ...着いた...」「ぜぇ...はぁ...」要と裕一はなぜか息を切らし事務所前にたどり着いた。それからしばらくして優月と秀が追いつく。
「なーにがどっちが事務所に早く着くか競争だ!だ。息切らしてるじゃねーか」秀と優月は呆れ顔で二人を見る。
「と、とりあえず急ぐに越したことはねーだろ。さっさと中入るぞ」四人はいつもの部屋に向かった。
「来ましたね。話があります」裕一たち以外のメンバーはもう帰ってしまったのかいなかった。世奈が話を始める。
「あなたたちの出演する番組のキャストについてです。実は桧山くんたちの同級生の女優さんがいたじゃないですか。どうしても出なければいけない家事都合で収録に参加できなくなりました」その言葉に優月と秀が驚く。
「それでもって、代役も決定しています。驚くと思いますが...」世奈は一旦話を切った。四人は固唾を呑んで注目する。
「元Dreaming Maker、雪室充くんです」その言葉に一瞬の沈黙が走ったあと、四人は目を丸くして驚いた。
「ゆっ雪室さん!?あの雪室充さん!?」裕一は興奮気味に問いかける。
「代役を探していたところ、ちょうどオフだった雪室くんが自ら出たいと申し出たんです。あなたたちの顔を見たいって...」
「マジかよ!?俺たちのこと知ってオファー受けてくれたのかな...」要も顔に手を当て驚きを隠せない様子だ。
「それで、話はここで終わりじゃないんです。雪室くんの出演によって、番組内容が一部変わることになりました!」
「え?どういうこと?」優月は疑問そうに問いかける。
「雪室くんといえば体を張ったアイドルらしからぬバラエティ適性が特徴ですよね。本来あなたたちには小動物と触れ合うコーナーをやってもらうつもりでしたが...バラエティ的に絵面にインパクトのあるライオンとかチーターとかと共演することになりました」
その言葉にまた沈黙が走る。そして次の瞬間、四人の悲鳴にならない悲鳴で部屋が埋め尽くされた。
「なんてことがあったよ...っと」優月は自宅でDreaming Maker+のメンバーにメールを送った。渡たちからは「大変だね」とか「頑張ってね」と返ってきた。裕一たちメンバーは共演する動物について色々語っていた。そんな中優月の頭の中には雪室充。彼のことしかなかった。
「もしかしたら、雪室さんが僕の憧れで、近づきたいアイドル像なのかもしれない...僕個性ないってよく言われるし、この機会に憧れの人に会って学びたいよね...」一人の部屋、そう呟いた。文章に充のことを打ち込もうとしたが、長文になりそうなのでやっぱりやめてその日は眠りについた。




