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Dreaming Maker+  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
14/35

十三話 おやすみなさい

レッスンを終え、いよいよ本番となった。会場にはメンバーの家族も押し寄せた。メンバーも家族や友人の話で盛り上がるが、渡だけはその輪に入れなかった。

長いレッスン期間を終え、いよいよステージ本番となった。メンバーは舞台裏に控えていた。

「皆さん、準備はいいですか?百花繚乱からいよいよ本番ですよ!」大地が言うと葵ときぃとみかんがはい!と威勢良く返事した。

「愛央?」葵が一人こわばった面持ちの愛央に声をかける。

「絶対失敗しないように...しないように...」と呟くと葵はリラックスした笑みをみせた。

「失敗しないようにじゃなくて、成功できるように、でしょ?私たちこの二週間何を学んだのよ」優しく葵は愛央を抱き寄せる。

「そうだよね、うん!皆、円陣組もうか、Dreaming Maker+の皆も!」愛央の声で皆で円陣を組んだ。

「Dreaming Maker+、百花繚乱、行くぞ!」おう!と声を揃え手を天に掲げた。いよいよライブが始まった。


ステージに上がった四人。目の前には自分たちの想像以上に観客がびっしりと座っていた。

「皆さん今日はありがとうございます!百花繚乱です!!」挨拶もほどほどにパフォーマンスを始めた。初日とは見違えるパフォーマンスの出来に大地も納得したように頷いた。しかしそんな大地も、ステージ上のメンバーも、何か一つ違和感を感じていた。観客がびっしり詰まっていて、物理的な熱気は感じるのだが、観客の表情やオーラからは、それほどの熱気を感じなかったのだ。きぃだけは気づいていない様子だが。大地は何となく察したが、他のメンバーは何故だか分からないままステージも終盤となった。


「次はDreaming Maker+の皆さんの番ですよ!ステージ登場と同時に入れ替わります!もたもたしないように、さぁ、今です!行ってらっしゃい!」世奈に矢継ぎ早に背中を押されて八人はステージに上がった。次の瞬間、先ほどまでの観客とは見違えるほど一気に熱気の波が押し寄せた。拍手も倍増、メンバーは驚きつつもパフォーマンスを始めた。ステージから観客席を見下ろすと、1組だけ妙なグループの観客たちがいた。その様子に要は見えないところで舌打ちをした。要の家族だった。手作りの横断幕(?)で必死に要を応援していたのだ。要は何故かイライラしながら熱くなった顔でパフォーマンスを披露した。その他にも、裕一も母親を見つけて投げキッスしてみたり、優月、秀の担任の先生も遊びに来ていたようで軽く手を振ってみせた。そんな中渡だけはまっすぐ一点を見つめていつも通りのパフォーマンスを見せていた。熱気に包まれたまま二組のステージは幕を閉じた。次は休む間も無く握手会だ。


一旦休憩時間となった舞台裏、百花繚乱のメンバーは違和感について語っていた。

「ねぇ、何だか盛り上がりが人数と比例していなかったように感じない?」

「えー?でも〜いっぱいお客さんがいたからいいよ!皆私たちのこと見てたよ〜?」きぃの陽気な一言に、皆まぁいいか、と考えることをやめた。大地は内心危惧していた。百花繚乱の行く先を。


「はいどーも!今日はありがとう!」次は握手会だ。メンバー十二人が一列になって握手に応じていた。

「こんにち...って母ちゃん!!」次のお客さんになった時、裕一の目の前に裕一の母親が現れた。

「今日、すごい良かったよ。応援してるから頑張りなさい」一言そう言って次のメンバーの元へと流れた。裕一は実母の励ましの言葉に手が熱くなるのを感じた。裕一の三つ隣の要の元には、要の家族が押し寄せていた。

「おにーちゃん!すっごいすごかったよ〜!もっと見たい!!」一人一人の対応に追われ、家族はもう握手終了です、と係員に押されながら流れていった。嬉し恥ずかし、と言ったところだろうか、要は顔を真っ赤にしながらため息をついた。


そして握手会も終了し解散、Dreaming Maker+のメンバー八人でレストランに行くことにした。


「皆のところはさ〜、母ちゃんとか来てた?」裕一の質問に皆競い合うように答えた。

「うちは見ただろあの大家族。金もねぇくせに全員で押しかけやがって...大迷惑だコンチクショー!」「本当は嬉しいくせに〜!」「んなっ!?んんんなわけねぇだろ!」千尋に指摘され要は顔を真っ赤にしながら抵抗した。

「こっちは担任が来たよ〜、握手会の時、感動して泣いちゃって!」「あの人情に熱いからな」優月と秀もそう言った。

「僕のところは親戚のちびっこが!」「僕は友達皆来てくれて...」「一応母親が来た...」そんな具合で皆ワイワイと語る中、渡だけは外を眺めていた。その様子に気づいた要は一度声をかけようとしたがやっぱりいいや、と前を向き、注文したハンバーグを食べ始めた。


「ただいま、今日は牛丼買ってきたんだ、ごめんね手作りじゃなくて」渡は牛丼を机に広げた。

「今日ね...いや、何でもない」一度渡は話を始めようとしたが、やっぱり言葉を喉奥に引っ込めた。ライブのことを言いたかったが、母も妹も聞いてくれない、と思ったのだ。そのまま牛丼を食べ食器洗いを済ませ、風呂を沸かし入浴、寝床につこうとした。その時携帯に一本の着信が入る。

「要くん?」要からメールだ。「聞きたいことがある」と一言メッセージを送った後、「お前、今日聞いてなかったけど家族とか誰か来たの?」と続けてメッセージが来た。その言葉に渡は一瞬全身の力が抜けた。しかしすぐ取り戻して返信を打ち込んだ。

「家族も友達も、来てないよ」とだけ返信した。しばらく返信がこないので、その日はもう寝ることにした。

「おやすみなさい」と一言呟き電気を全部消し真っ暗な部屋で眠りについた。

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