第22話 親父譲りの場の盛り上げ方
馬車の端っこで緊張して座る。
何故かって? リーカ会長が何故か不機嫌そうだから。
その点親父は凄いよな、前に旅行でメルギナス母さんが不機嫌な時あったけど、突然に足を触りに行っては『城門突破』って足をガバって。
親父はその後叩かれていたけどメルギナス母さんも確かに怒りは収まっていた。
オレもしたほうが良いのかな?
セクハラな感じもするけど、オレがリーカ会長にした所でセクハラになるのかな?
「何が私の顔が変かな?」
「いいえ綺麗ですよ」
「………………よくも。いや今の君には好意はないか、何も考えて無さそうだし」
「か、考えてますよ! そのリーカ会長が不機嫌そうだから親父みたくしたほうがいいのかなって、思っていたんですけど」
「師の事!? それは素晴らしい!! 私に試してくれ」
いや。試せって言っても。
全力で首を振る。
他にはええっと……アリシアママが珍しく不機嫌な時は背後から抱きしめていたな。ぶん殴られると思って見ていたオレとサクラは思わず拍手した記憶。
「無理です」
「なぜだ? 師が出来て君が出来ない? なるほど師との差……実力不足か……経験不足と言う所かな?」
むっ。
「おや? 拗ねたかい?」
「拗ねてません! オレだって強くはなっているんです。経験だってオレだって親父と同じように年齢を重ねれば強くなれるし。その前にリーカ会長の機嫌だってよくなって来たし、親父がやったのはメルギナス母さんが不機嫌な時だったし」
「あー不機嫌だ不機嫌。師がこういう時にどうするのか……一番長く一緒にいるスミレ君が言うんだ、楽しみだ」
え……一番長く居るってもそうでも無いんだけど。
リーカ会長よりは長いけどさぁ。
でも、今のリーカ会長ちょっと機嫌良さそうだし怒らない?
「怒りません?」
「怒らない」
「絶対に?」
「絶対にだ!!」
やば怒り出した……。
「はぁ子供か君は……」
「わかりましたよ!! じゃぁ行きますよ!!」
半歩前に進み座っているリーカ会長の前にしゃがむ。
黒いズボンをはいているリーカ会長の両膝を押さえ一気に横に広げた。
180℃ぐらい開く太もも。
さらに布の破れる音と共にオレは叫ぶ。
「『城門突破』あああ……あっ?」
黒いズボンと対比して破れた股部分から白い布が見える。
パパパパッパンっ!?
はっ!!
あれだけ機嫌のよかったリーカ会長が何も言わなくなった。
顔を上げるのが怖いし、眼はズボンの内側にある下着に。
「怒らないよ……そう。約束したからね……へぇ……師はこういう事をするのか、へぇ……」
オレは直ぐに馬車の中で立ち上がる。
「飛び降ります! 生きていてすみませんでした」
「はっ?」
もう、この場から消えたい。
そう、馬車から飛び降りればいいんだ。
「君は馬鹿か!? ポーションはもうなっ……あっ」
リーカ会長の言葉が終わる前にオレは馬車から飛んだ。
地面に打ち付けられたオレは転がりまくり空を見る。
消えれなかった……ああ……夜になりかけの空は何て美しいんだ……。
遠くで馬車が緊急に停止する音が聞こえた。
──
────
王都に行くのに2時間ほどで着くわけなく、途中にある宿場に寝ている。
オレの横には呆れた顔のリーカ会長。
ちなみに破れたズボンは履き替えていて、果物を向いてくれている状態。
「すみません……」
「喋らないほうが良い。ポーションは飲んだんだろ?」
「はい。宿場で買ったのは飲みました」
「ふむ、骨折は治ったようにみえるが打ち身やアザはポーションでは無理みたいだな、数日は傷むだろうが、明日には出るよ……貴族は待たされるのか嫌いらしい。まったく不便な人種だ」
静かに頷く。
それはそう、オレの怪我で予定を遅らせるわけにはいかない。
同室のフレンスを見てると忘れそうだけど、本来貴族は怖い。と親父に教わったのを思い出す。
「まっ……王都までは、貴族の変な妨害もないだろうな。じゃっ私は寝る」
「あっはい。おやすみなさい」
オレが返事をすると、リーカ会長は白いブラウスのボタンを片手で開け始めた。
膨らんでいる胸を隠すような白いブラが見え──。
「うええええええ!?」
「ん? 傷が痛むのかい?」
振り向くリーカ会長、見えるブラ。
「いやいや……え!? 何でここで着替えるんですか!?」
「なぜって……君は何のために呼ばれてるのか解かっているだろ?」
何のためって、ハーレムのため……じゃなくて。
「リーカ会長の彼氏役……ですよね?」
「ああ、そうだ。別々の部屋では意味が無いだろ? 一応は彼氏役なのだ」
「うえ!? え、でもオレにはシンシアさんが!!」
「…………ハーレムを目指しているんだろ?」
普通なトーンで喋りかけてくる。
それはその男の夢であって、それと本当になるのは階段を駆け足で登るのとは違うわけで。
「はっはっは冗談だよ、考え込まないでくれ。別に交尾をするわけじゃないし寝るだけなら壁際を使うよ」
「え? あっ! ああああっオレが1個しかないベッドを使っているから。じゃなくてオレが床に寝ます!! 痛っ」
慌てて起きようとして手をつくと痛みが戻る。
「これでも母は聖騎士隊の副隊長だよ? 聖騎士隊の訓練も受けた事がある板の間で寝るぐらいは平気だ。気にしないでくれ……それより静かにしてもらえるほうが嬉しい」
それだけ言うと横になり背中を見せてくれた。
なんて、なんて情けないんだオレは。
クウガ校長、いやクウガおじさんが何でオレを選んでくれたのかわかった気がする。それだけ信用してくれてるんだ。
『ジュウデンガタマリマシタ』
あれ、何か聞こえた気がする。
リーカ先輩かと思って背中を凝視するも、一定のリズム。
寝てる……ああ、うん。寝るよなリーカ会長だって。
一緒の部屋って事で興奮していたら駄目だし、目の前にある問題を……っとついお尻とかに視線が。
オレも壁を向いて寝よう。そういえばガラスの板が震えたきがする……?




