第21話 君が選ばれた理由はあるんだよ? 胸を張るべきだ。
廊下に出るとリーカ会長達が立っていた。
達。と言うのは他にはサクラも居たから。
「お兄ちゃんおめでとう! これでハーレム計画の第一歩だね」
「そんな計画話した事なっ……あっあるな」
「あったよね『シンシアさんと付き合うと他の子と付き合えないよな……』って大真面目にサクラに相談してたよね?」
いやさ……シンシアさんはキレイで優しい。
料理もおいしいし、その誘惑も凄い。
でもさ、周りの大人を見ると……その。
親父は2人と結婚。それ以外にもノラ先生や他にも何か怪しいと思う女性が何人かいる。
クウガ校長。いやクウガおじさんにいたっては、あちこちに子供作ってるし恋人も多い。
それでいて円満。
すごいじゃん。男子生徒からもあこがれの大人だよ。
「…………その師の御子息と言う事であまり気にしてなかったが、君は中々のゲスな考えの持ち主だな」
「あの……ゲスと言うか。親父の受け売りと言うか」
「ふむ。師はそんな事言わない」
言うよ?
「なぁサクラ」
「はい、サクラです。確かにパパは言うかも……」
「そ、そうなのか!?」
「はい。それよりリーカ生徒会長、馬車の時間ですよー!」
「ああ……そうだったな。さて行くぞスミレ君」
「え!? い、いまからです? まだシャワーも浴びてないし、夕飯もっ!!?」
リーカ会長がオレの髪や首筋、衣服の匂いを嗅いでくる。
女性のいい匂いがして心臓がドキドキし始めた。
「別に大丈夫だろう。本来は4日の猶予があったんだ……それなのに君が毎回、毎回……横道にそれるから……さて、過ぎた事だったな。さっ恋人なのだろ? 私をリードしてくれた前」
「ぶあ!? ええっと、そうですね」
手を握ると握り返してくれた。
思ったよりも小さい手、これであの攻撃を出せるんだから凄い。
外に連れられると豪華な馬車が停まって御者の人が扉を開けてくれた。
え、遠くに行く系なのか。
「スミレお兄ちゃんお土産期待してるねー」
「え、ああ…………時間があれば」
「あるだろうさ」
オレと会長が乗り込むと直ぐに出発された。
これって拉致なんじゃないの? ってぐらいに早い。
全然揺れない馬車の中、意識すると会長の匂いがし始める。
「獣のような眼だ……師が本気を出す時にそっくりだよ」
慌てて顔を振った。
べ、別に酷い例えだ。
「ああ、戻ってしまった……で。何かな?」
「何って何もわかりませんけど、オレは何をすれば」
「何も聞いてない?」
「はい、ええっと彼氏役になれ。とだけ」
そこだけは聞いているんだな。と呟きだす。
そこだけしか説明されてない!
「クラック王国……はわかるかい?」
「いくらオレの成績が悪いからってわかりますよ。今住んでいる王国ですって」
「良かった、そこは解るようだ。では現在の王はだれかな?」
「クウガ校長ですよね?」
リーカ会長が細い眼をして黙ってしまった。
あ、これ間違えた答えだ。
ええっと、数十年前に新国王誕生とともに黒竜に倒れ……継承権のあるアルヴァート王子もその戦いで行方不明。でクウガ校長が王国の運営を助けて実質的に。
「やっぱりクウガ校長です!」
「マイナス20点。校長は手助けをしてるだけだよ……まぁそう思われても仕方がない。その王国でこの私の誕生パーティーがある」
「あっパーティーそこは聞きました。すごいっすね王国でパーティーとか貴族って感じで」
「個人的には嫌になる。マリアンヌの気持ちがわかるよ……何時までも学園に居たい、そういう気持ちが湧いてくるね」
「リーカ先生30才……」
思わず口に出すと、リーカ会長が無言になる。
あっこれ怒っている空気だ。
「ち、違うんです! ほらリーカ会長なら《《結婚はしないでしょうし》》、だって《《相手いませんもんね》》! だから学園が好きなら《《ずっと》》教師って手があるかなって。ほら、ノラ姉さん……じゃなくてノラ先生もそうだからって意味で!!」
さらに険しい顔になる。
おかしい、褒めたのに!?
「…………なるほど。校長が『スミレ君は嫌がっているけど師にそっくりだよ。』って言葉がしっくりくる」
「オレは親父みたいにトラブル起こしませんよ!?」
親父って1年のうちに殆どトラブル起こす。
こないだ何て実家にいるのに実家が爆発した。とか、封印したほうが良いんじゃって思うほどのトラブルマンだ。
リーカ会長の眼がまた細くなる。
機嫌が悪い時の顔だ。
「親父の話は今は関係なくて! それよりも今回の依頼わかってます! あれですよね。オレはリーカ会長を守れば良いんですよね!!」
「君に守られるほど弱くはないつもりだ」
「…………あっはい…………」
ですよね。
リーカ会長のほうが強いし。
「ふ、冗談だよ……手が空くようなら守ってくれ。それよりも君自身を守りたまえ」
「え、オレって彼氏役だけですよ?」
「だからだ。あの父……が君を選んだ理由は?」
「かっこいいから」
「…………」
黙ってしまった。
リーカ会長はまたオレを見て来た。
「だからだ。あの父……が君を選んだ理由は?」
「だからかっこいいから……ですよね」
あっまた黙ってしまった。
親父に聞いた事がある『世の中には強制的なイベントってのがあり、正解の答えが出無いと先に進まない、2人とも覚えて置くように』だっけかな。
周りにメルギナス母さんも、アリシアママもいない時に真剣な顔で教えてくれた話だ。
「あっ!」
「わかったかな!?」
「ハーレム王になれって事ですか! シンシアさんが1号で、リーカ会長が……2号!? じゃぁ3号はマリアンヌ副会長に……いいのかな」
リーカ会長が見とれるぐらいに微笑み、自身の隣の席をポンポンと手で叩き合図をしてきた。
冗談だったのに正解した!?
こっちに来い。と言う合図で、対面に座っていたオレは立ち上が──っ!?
突然に馬車の扉が開き蹴落とされた。
全身で受け身を取り転がると、馬車も急ブレーキをかけ止まる。
少し先で止まった馬車から御者とリーカ会長が慌てて駆け寄って来た。
「だ、大丈夫ですか! あの自ら勝手に落ちた。と……リーカ様が」
「まったく……外をよく見たい。からと言って身を乗り出しすぎだ。なぁ……今後は気を付けた前…………返事!!」
「はっはい!!!」




