第18話【人物】スミレ
深呼吸を何度もする。
周りの馬鹿からは『羨ましい』って言われたけどこっちの身にもなって欲しい。
先ほどの授業、ノラ先生は『スミレ君。放課後に予定がなければ指導室に来るように』と言われたから。
指導室。
完全に防音の部屋で場合によっては……口外の呪いをかけられる。
中で起こった事を口外しない、と言う呪いで契約が大きければ大きい程代償も。
フレンス何て小声で『義姉と禁断の……その場合シンシアさんは自分にくれ』って、いやあの……シンシアさんは物じゃないし、シンシアさんに聞いてくれ。
そもそも!
ノラ姉さんとはそういう雰囲気にならない、だって家族だし。
じゃぁ呼ばれる理由は? となると罰だろう……ノラ姉さん。いやノラ先生の尋問は恐怖で有名だ。
「は、入ります!」
「どうぞ」
オレを見て笑みを浮かべる。
ここはもう親父直伝の土下座だ!
「申し訳ございません!!」
「…………ん? あー…………そうだね。申し訳ないね。スミレ悪いと思っているなら全部言ったほうが良いよ」
「は。はい!! ええっと先日ノラ姉さんのカップを割ってサクラの引き出しに入れました」
「あー……サクラが泣いて謝って来た奴だね。怪我がないようで良かったよ……あのカップはクロー兄さんに買ってもらった大事な奴だけど、また買ってくれるし」
よ。よかった。
あの日のノラ姉さんは凄い落ち込んでいたもんな。
「悪いけどそれじゃない、他には?」
「他……? あっ。俺じゃないけどシンシアさんが雨に濡れた時に返した衣服。胸の部分が伸びた事ですよね!」
「………………違う!! ボクもシンシアさんも体系は変わらないよ!!」
「え?」
土下座から頭を上げてノラ姉さんの胸を見た。
絶対にノラ姉さんの方が小さい。
ノラ姉さんが、魔石組み込み式の短剣を出すと空中で一回転させて手になじませた。
「他は?」
「ええっと……あっ!! もしかしてノラ姉さんが要らないって言った衣服を売った事!?」
「あーー! やっぱり首謀者はスミレ。君か! 末端を捕まえたんだけど誰が手配したのか喋らなくて困っていたんだよ!!」
「え、あっ……首謀者はフレンスです!!」
「…………本当かい?」
ノラ姉さんがしゃがんでオレの頬にナイフをぺちぺち。
すっと動かすと喉の部分にちくっと……刺した。
「し、信じてください!! オレは親父みたいに不死身じゃない!!」
「…………わかってるよ。泣かない……男の子だろ? クロー兄さんは泣かないよ?」
親父も泣くけど。
あと。オレも涙がちょっと出ただけで……。
「まっ今回は別件……その辺の罪は今日は聞かなかった事にしてあげる。後日……そうだね……レーヴェルのケーキでいいよ」
「ノラ姉さん。オレの小遣い知ってるでしょ!?」
「アリシア姉さんなどに内緒で副業してるんだろ?」
「買って来ます」
これ以上この話は広げたくない。
それよりも何でこのオレを呼んだのだろう。
「ええっと……このボクがクロウベル英雄譚を作ろうとしてるのは」
「え、まぁ知ってます」
親父の英雄譚なんて……なんでクウガ校長のほうじゃないんだろう。
ちょっと、いや、ノラ姉さんかわってるからな。
「で。スミレの事を書きたいんだけど……サクラに聞いてもその……」
「サクラって。すごい! と 楽しい!! しか言いませんもんね」
「そんな事はないよ……」
──
────
◆スミレ
クロウベルとアリシアorメルギナスとの子供
双子の兄であり魔力は高め
クロウベルがひそかな人気で初恋相手もクロウベルが好き。となりやさぐれる。
やさぐれた結果、過去に飛びクロウベルを倒そうとするも返り討ち。
記憶喪失になり1年間行方不明後、恋人を過去に連れて行く事に成功する。
恋人に頭が上がらない。
中略。
そもそも子供。
クロー兄さんのように優しさが無い。
クロー兄さんのように凄みが無い。
クロー兄さんと違い女性の裸で鼻血が出る。
何か書く事あるかな。
サクラより弱い。
そのくせ、やる事はやってる……シンシアさん談。
ざっこ。
──
────
「ノラ姉さん! いやノラ先生!!」
「何?」
「何って、後半が全部酷い!! 特にこの最後の三文字!!」
「ああ……ごめん……後半……中略以降は全然関係ない個人的メモで消し忘れたよ」
ノラ姉さんは三文字を消してくれた。
これで安心……じゃなくて!!
「これじゃオレが子供で強さも雑魚で女好きの馬鹿じゃないですか!!」
「そうだよ?」
「なっ……」
「シンシアさんから聞いたよ? いくら誘っても学生だからって一線超えないようにしてる。とか……過去に超えてる癖に何を大人ぶって」
「ぶうう!」
いやだって。
倫理観!!
ああ、そうか……親父もそうだけどオレの周りの大人って倫理感置いて来た人ばっかりだ。俺は学生だしまだ稼ぎもないし。
「で、でも俺子供で……」
「そういう所だよ。普段子供扱いされるとむくれる癖に、大人扱いされたいなら惚れた女性の言う事を聞かないでどうするのさ……クロー兄さんは──」
メル姉さんの親父自慢が始まった。
結局、解放されたのは夜の見回りをしていたギース先生が助けてくれた。結局オレの項目はこれ以上増えないらしく、増やしたいなら英雄になる事だね。と。




