第15話 テスト結果だよクロウベル
体育館のような場所に連れられてきた。
まるでライブでも出来るような高い場所、何て言うの? 眼下にはソニア学園屈指の頭のいい生徒がざっと50人ぐらい。
若い女の子から男の子まで。海兵みたいな青と白を使った制服を着てこっちを見ている。
魔石式簡易マイク。
それを片手にステリアがスピーチをする。
「えー……今回諸事情によりファースト学園の交流テスト。クウガ校長の代理でクロウベル氏。それにその師匠で魔法の先生が訪ねてくれました。クロウベルさん、一言どうぞ」
魔石式マイクを手渡される。
何をしゃべれと? 今の説明以上な説明は無理でしょ。
後は流石に『魔女』とは紹介出来ないんだな。
「え―…………っと。女の子足の裏って汗かいてると興奮するよね、あと女の子は好きな男の子に口の中に指を入れてもらうと興奮するらしいよ。メルナが言ってた」
会場がシーンとなる。
上から見ると、顔を赤くする女性徒やきょろきょろする男子生徒がいて面白い。
「いっ!?」
「ロウよ、ちょっとこっちに来るのじゃ」
視界がぐっとさがる、後ろから膝カックンをされて足払いをされた後、ふくの襟首を掴まれて移動させられているのだ。
生徒達の顔がみなくなると、俺の顔は杖で何度も叩かれた。
痛い、痛いって。
「ぶあ。まっ! マイク持ってっ!! いっ痛いですって、鼻が折れるっ」
「よし、もういいじゃろ」
再び襟首を引っ張られて壇上へと戻る。
生徒達のざわめきが凄い。
でしょうね。
微妙に再生されない力加減で顔をなぐられまくったのだ。
喋るだけで痛いです。
「ほあ。はっきのあ……じょうだんです。じょ……ぷえっ」
唾とともに口から血か出る。
持っていたマイクをステリアに返した。
「…………ええ。クロウベル氏は冗談がお好きな方で、場の空気を和ませるためにいったのでしょう。氏はこちらの机でカンニング防止をさせるので皆安心するように」
引きずられて椅子に座らせられる。
この状態でテスト何てやる気が起きるわけがない。
小さい声でメルナが俺に話しかけて来た。
「ロウよ」
「なんです?」
「ワラワとて、ロウを置き去りにすると成れば学園都市を滅ぼすかも知れぬのじゃ。そうさせないようにするのなのじゃ」
「はぁ……」
意味がわからん。
メルナは言うだけ言うと俺から離れる。
メルナの代わりに俺を案内してくれた……ええっとグンタと他の男性。少し離れてステリアもいる。
ステリアが大きな鐘を鳴らし開始を始めた。
メルナが学園都市を滅ぼすって、そんな遺恨ないだろ。俺が置き去りにされるから? 置き去りにされて……あっ!! そういう事!? ツンデレのデレの部分かこれ!!
もう、1000年も生きてる癖に解りにくいって……メルナだって恋の一つや二つした事あるんでしょ? あっそうか、恋したと思ったら相手が彼氏持ちで彼女の方も知り合いで身を引いたのか。
「ごほん!!」
「ん? 何?」
ステリアが目の前に来ている。
「何? ……じゃありません!! 開始してすぐに席を立たないでくれますか!!」
確かに。
が、そこはほら、上から言われるのはちょっと酷いというか。
「…………席を立ったら駄目な説明受けてないけど!! そんなんだからアンジェリカと会った時に緊張するんだろ?」
「そ、それは。アー……ンジェリカが。ちっ今の状況と関係ない話は辞めてもらおう!!」
「あっもしかして親子丼狙ってる?」
「…………親子丼? なぜ突然料理の話が?」
切れそうなステリアはきょとんとし始めた。
ああ、あれって東方限定の隠語か。
「料理は知ってるのか」
「ええ。まぁ……資料としては、東方の卵料理なはずです」
「そうそう、で……俺の言う親子丼とは、美人な母親とその子供を相手に同時に付き合い性的な事をす──うおっと!?」
俺が座っていた椅子が真っ二つに斬れた。
風の魔法か!? ステリアは周りの職員5名ほど抑え込まれている。
あっヤバい、その職員が吹き飛んだ。
警報がなり生徒達の悲鳴が聞こえ。
「辞めんか!!」
メルナの大声でステリアの動きが止まった。
鳴り響く警報も小さくなり音も静かに……バツが悪そうな顔のステリア。
「まったく……古き友と同じ名前の若き魔導士と言うからどんな者かと思えば、修行がたりんようじゃな、生徒達が困っておるぞステリアせんせいなのじゃ」
え。メルナ……それを今言う? メルナも先ほど俺をぼこったよね!?
でも、そのツッコミは今はしない。
「っ…………挑発に乗ってしまったようです。テストを再開」
「この状態で!?」
「ソニア学園の生徒はこれぐらいでは動揺しませんので」
ちらっとみると数人を覗いてめっちゃ動揺してるようにみえるけど。
この間に俺の新しい席も用意され、ステリアは落ちた俺のテスト用紙を机の上に叩きつける。
扱いが酷い。
しゃーない……結果は解らんが少し頑張るか。
──
────
【問1】魔力の属性は火・風・土・雷。残りは?
ふむ。水……と光。と闇。後は複合で混沌やレアで無もあるあるな。全部書くか。次はええっと。
【問2】精霊を呼ぶには5種の【???】がいる。空白を埋めよ。
ええっと、精霊か……精霊の泉行けば会えるんだし何もいらんよな。答えは『無くても会える』
【問3】 魔石は魔物からの鉱物で多種多様に使われている、その効果は火薬の何倍である?
これはそもそも問題文がおかしい。メルナに教えてもらっているけど魔石は魔物以外からも取れる。人間とか……問題にバツ付けて答え書いといてやるか。
問4、問5はわからん。魔石から取れる魔力の比率なんてあるのか?
そのまま答えを記入していく、ってか全50問多くない?
ええっと現在のドラゴンの生息地は以下のどこか? ナイの古城とセリーヌがいるレイアラント諸島のダンジョンが入ってない。書き足すか。
次は移動魔法か。
過去に時空魔法を使い失敗した老魔導士の名前は? 知らん!! ってかそんな奴いるのか。
問37。現在の剣聖の名前を書け。
これは簡単だ、アンジュっと……。
問50 魔法とはだれのためにある。
誰も何も、自分の為だろ……と、言う事で、俺のため。と……。
ビビビビビビビビビ
「うおお!? 警報!?」
「いえ、時間です。全員そこまで! …………良かった白紙では無いようですね。では結果は後程」
「うい」
何て返事だ。って言う顔で俺を見てくる。
なに点数が良ければいいだろ。
──
────
数時間後。廊下に成績表が張られた。
上から順番に俺の名前を探す。
ひたすら探す。
「無いなのじゃ」
背後からメルナの声。
一番下の奴でさえ点数が25点。
おいおい、俺はもっと正解していたぞ?
「クロウベルさん!!」
「うい? あっステリア……何?」
「こちらに!!」
手を引っ張られて職員室に連れてこられた。
机の上には俺の解答用紙。
音を立ててバンっと叩きつけられた、可愛そうな解答用紙。
「ひどくない? 点数もそこまで悪くないと思うけど……1位は無理でも及第点ぐらいくれてもいいだろ。なんだったら腕1本置いていくし」
「そういう事じゃないです!! ファースト学園の校長の解答用紙を廊下に張る予定だったんです!!」
「んあ? 張ればいいじゃん。そうやって俺の点数を笑うつもりなら張ればいいじゃん!!」
「…………ふざけ。この答案出せるわけないだろ!!」
うお。めっちゃキレてる。
敬語だったのに。
「どれなのじゃ……あー……ロウなのじゃ」
「あい?」
「移動する手段に『転移の門』などだめじゃろ」
「あれ? 書いてました? 必死に解こうと思って」
「魔族の項目もだめじゃな。ほう……リターン草のある場所……ああ、この地域はフェーン山脈にしか取れない木の実じゃな。ワラワでも忘れそうな事をよくもまぁ……どれもこれも」
「ええ! 禁忌の情報ばっかりです!! それだけじゃないです! 何ですこの絵は?」
女の子がウインナーを食べてる絵、口からよだれも出してみた。
頑張ってアンジェリカの髪に似せた。
「アンジェリカがウインナー食べてる絵」
結構うまく書けたかと。
「似てませんし、何のために!!」
「え、知らない? おまけで点数もらえたり」
「してたまるか!!」




