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第5章 入学

 あれから1年がたった。あの後もシリウス殿下とは数回会っている。手紙のやり取りやたまにドレスやアクセサリーを送ってくる時もある。エミーリアは不思議で仕方なかった。ゲームのシリウスはエミーリアには無関心。というよりヒロイン以外に無関心だったのだ。そんなことを考えている暇もなくエミーリアは王立魔法学園の入学準備をしている。ついに入学式は明日なのだ。学園に入学しても寮生活ではないので家族と共に過ごせるのはいい点だと思っている。そしてエミーリアは明日の入学パーティーのことを考えていた。確かゲームだと攻略対象者とかヒロインが集まるのよね。ほかの攻略対象も見たいしヒロインも見ておきたい。確かシリウス殿下が最初ヒロインと出会ってパーティーで話して仲良くなってたはず。今回のパーティーは新入生の家族は出席可能だからルークも出席する。たしかルークとの出会いはパーティーの序盤ヒロインとすれ違って一目惚れするんだっけ。他の攻略対象もそんな感じの出会い方だったと思う。でも明日どうなるんだろう?婚約発表も明日だし、ゲーム通りになるのかな?明日パーティーでヒロインがバルコニーに攻略対象の内1人を連れていくはず。それで誰のルートかわかるのよね。そう考えを巡らせているとあっという間に時間が過ぎ入学式当日になった。本当は両親もパーティーに出席する予定だったが急用が入ってしまい行けなくなってしまった様だ。それに付き合わされたお母様がお父様に対してめっちゃ怒ってたのよね〜などと思い出しながら眠りにつく。そしてパーティー当日、朝から慌ただしく準備する。パーティーの前に入学式があるのでまずは制服に着替える。入学式が終わり次第ドレスに着替える。学内には寮もあるので交代で着替え会場に移動する。ゲームをプレイしてた時はここら辺の設定詳しく説明してなかったから知らなかったけどこんなに大変なのか〜と思う。そう思っているといつの間にか着替えが終わっていた。食事を取るため食卓に移動しているとルークと会う。ルークは制服姿のエミーリアを見て少し見とれたあとすぐに「姉さん、よく似合ってるよ。」と笑顔で言う。しかし内心平常心ではいられなかった。姉さん可愛すぎる。でも誰にも見せなくないな。というかスカートの丈短すぎない?などと思考を巡らせている。するとエミーリアは照れた様子で髪を少しいじりながら「ありがとう。うれしい。それとこの制服動きやすくて気に入ってるんだよね〜」と言う。ルークはそこなんだと密かに思った。エミーリアは声にこそ出さなかったもののこうも考えていた。これならいざと言う時戦いやすそう。そして食事を取り馬車に乗って学園へ移動した。そして学園につき入学式が始まる。家族は後ろの席に、新入生は前の席に並び教師や在校生は少なかったが至る所に立っていた。すると学園長が入ってくる。「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。今日から新たな生活が始まります。不安も多いことでしょう。ですがこの学園生活一生に一度しかありません。存分に楽しんでください。ご家族の方も来ていただきありがとうございます。ぜひ新入生たちの成長の様子をご覧ください。」と言うと学園についての生活のことやどのような科目が学べるのかなどの詳しい説明が入る。そしてその後入学式が終わる。「次はお待ちかねの入学パーティー。存分に楽しんで欲しい。」と言うと一旦寮に行き部屋を借りてドレスに着替える。ドレスはシリウス殿下が送ってくれたものだ。色は青だ。殿下の瞳と同じすんだ青色だ。そして髪型はハーフアップをして以前誕生日にルークから貰った桃色の髪飾りをつけた。すると侍女とルークと共にパーティー会場へ移動する。ルークは少し拗ねてる様子だ。シリウス殿下が送ったドレスを来ているからだ。そして会場に入場する。男女どちらの視線も集める。すると周りからひそひそと小さな声で「あの方がエミーリア嬢か実に美しい。」という言葉や「ルーク様よ。可愛い。」などの言葉も聞こえてくる。ルークはエミーリアに視線を向ける男たちに対し睨んでいる。エミーリアは視線にあまり気づいていないみたいだ。すると1人の男性がエミーリアの前に来る。身なりからして伯爵家のものやらしい。「エミーリア嬢、私と1曲踊っていただけませんか?」と言われる。エミーリアは困っていた。婚約者がいるものはファーストダンスは必ず婚約者と踊らなければならないのだ。だが婚約発表はまだなので断るに断れない。と考えているとその男性がエミーリアの手を取り手の甲にキスをしようとした。求婚の証である。婚約者がいないと思っているのだろう。ルークも止めようにも止められない。自分が婚約者という訳でもないしなかなか言いに行けるような立場ではないからだ。2人とも困っていると後ろから足音が聞こえ「私の婚約者に何をしようとしてるのかな?」と怒り混じりの声で言う。表情は笑顔なのに内心笑っていない。周りがざわざわし始める。「殿下、助けてくださったのは嬉しいのですが婚約のこと言って良かったんですか?」と小さな声で言う。心配そうに聞いている様子を見てシリウスは小声でエミーリアに「大丈夫だよ。どっちにしろこのパーティーで発表する予定でしたしね。」言った。そして次の瞬間殿下は話を聞いてくれと言わんばかりに大きく手を挙げる。大きな声で「みんな聞いてくれ。私の婚約者のエミーリア・フローゼンだ。1年ほど前に正式な婚約者となった。この場での発表を許してくれ。」とエミーリアを抱き寄せ言う。拍手が鳴り止まない。中には殿下に好意を寄せているものやエミーリアに好意を寄せているものは悲しんでいる。だが「シリウス殿下とエミーリア嬢お似合いだよな」という声も多く聞こえる。すると曲が流れ始める。するとシリウスはエミーリアに手を差し出して「エミーリア嬢、私と1曲踊ってくれないか。」と言う。エミーリアは優しく微笑み「よろこんで」と言いシリウスの手を取る。シリウスはその表情にドキッとするが顔には出さない。そしてふたりが踊り出す。社交ダンス前世でやったこと無かったからな〜今世では練習はしたけど緊張する。なんかみんなの視線が気になる。めっちゃ見られてる気がするしざわざわしてるし。とりあえず今は集中しよう。などと考えていると少し寄ろける。シリウスに支えられながらダンスを続ける。「すみません。殿下。少し緊張してしまって…」と言う。すると耳元で「大丈夫だよ。緊張、してたんだね。かわいい」と意地悪な顔をして言う。エミーリアの反応を見て楽しんでいるのだろう。エミーリアは驚いた表情をしている。そして顔には出していないが耳が赤くなっていた。そこから何を話したかはあまり覚えていなかった。そして曲が終わる。と同時に拍手が聞こえ「すごい、素敵なダンスだったわ」などの声も聞こえてくる。「エミーリア嬢、ありがとうございます。それと急ですが少し用事ができてしまったので少しお待ちいただけますか?」と言うと颯爽と入り口から出ていく。「じゃあルーク。せっかくスイーツとか沢山あるから食べに行く?」と聞く。そしてスイーツを取りに行く。「うん。僕が取るよ。何がいい?」と聞くと続けてエミーリアが「いいの?じゃあチョコケーキとチーズケーキと…」と好みのスイーツを言っていく。ふと気づくとまわりが騒がしい。1箇所人が集まっているところがある。エミーリアは気になり行こうとする。「ルークごめん。ちょっと気になることがあってちょと待ってて。」と言い人が集まっている方へ行く。ルークは驚いた反面困った表情をしている。「ちょっと姉さん、これどうすればいいの?」と取ったスイーツを見て言う。そしてエミーリアは目撃する。あれってヒロインのリリー?めっちゃ可愛い。ふわふわの淡いピンク色の長い髪、透き通るほど綺麗な黄色の瞳に可愛らしい容姿。さすがヒロイン破壊力がすごい。ヒロインの近くにいるのは確かエミーリアの取り巻きだったはず。でもあのふたりが出てくるのって入学後のはず。やっぱりシナリオが変わってる。しょうがないといえばしょうがないのかな?1人はボブくらいの髪の長さで薄い茶色だ。瞳の色は黒でふわっとした髪をしている。名前は確かセリーヌ・ラングレーだったはず。もう一人は紫がかった長い髪、ポニーテールをしていて瞳の色は紫だ。少し気の強そうな子、ゲームでもプライドが高かった気がする。そして第2王子殿下の婚約者のクラリス・アーヴェントだったけ?確か!まあまあうる覚えで申し訳ないけど…クラリスがヒロインに向かって「なんて安っぽいドレスなの?恥ずかしいと思わないのかしら?平民風情が調子に乗ってここに来ないでくださる?不愉快だわ。」と言いすかさずセリーヌが前に出てきて「そうよ。そんなみっともない姿で来るなんて場違いにも程がありますわ。」と言うと近くのぶどうジュースを手に取った。するとリリーに向かってジュースを賭けようとする。すかさずエミーリアが間に入り庇う。するとジュースがエミーリアのドレスにかかってしまう。周りの人がざわざわし始める。そして2人が青ざめている。セリーヌが「申し訳ありません。エミーリア様。貴方様に賭けようとした訳ではありませんの。」と謝罪をする。エミーリアは内心、失敗した。ついつい庇っちゃったけどたしかこれって近くにいる攻略対象確かこの場合シリウス殿下がヒロインを庇うはず。殿下ごめんなさい。せっかくのヒロインと仲良くなれるチャンスを無駄にしちゃった。でも殿下は今はいないはずだからやっぱりシナリオが変わってるのかな?って今はそうじゃなくて。と考えていた。エミーリアは笑顔でリリーに向かって「大丈夫でしたか?」と聞く。すかさず申し訳なさそうにリリーが「はい。エミーリア様が守ってくださったおかげです。本当にありがとうございました。」と言う。するとエミーリアは今度はセリーヌたちに向かって「場違いなのはあなたたちではなくて。このような祝いの場で女性を辱めるなど恥ずかしいとは思わないのですか?私ではなくリリー嬢に謝るべきでしょう?」と言うと慌ててふたりはリリーに向かって「…先程は申し訳ありませんでした。」と謝罪をする。プライドの高い彼女たちがこの場で謝っているのだ。反省はしているだろう。反省してるならいいか。とは言ってもドレスどうしよう。シリウス殿下から貰ったドレスなのだけれど洗ったら落ちるかしら。というか一旦帰った方がいいかしら。替えのドレスは用意出来ていないし。と思っていたその時、攻略対象の1人公爵家の長男、ルシアン・バーメントが来た。彼は黒髪で長い髪をしており髪は結んでおり瞳の色は濃い青だ。そしてメガネをかけている。ルシアンは「少し騒ぎになっていますがどうされましたか?」とエミーリアに聞く。するとセリーヌは顔が青ざめる。自分のやった事を知られたくないのだろう。セリーヌは「あの、ルシアン様このことですが…」と言っているとルシアンは食い気味で「今はあなたに聞いているのではなく、エミーリア嬢に聞いているのです。」とにこやかに言う。この言い方は結構怖い気がする。でもしょうがないよね。とはいえ今本当のことを言うのはさすがに可哀想だしここはこう言った方がいいか!「ルシアン様ご心配ありがとうございます。ですが大丈夫ですよ。私が手を滑らせてジュースをこぼしてしまっただけですので。みなさんは心配されていただけですよ。」と言う。するとリリーやクラリス、セリーヌが驚く。セリーヌはエミーリアに向かって小声で「あの、大丈夫なんですか?気を使わせてしまい申し訳」と言うと途中でエミーリアが人差し指を出しセリーヌの口元に近づけ「シー、バレてしまいます。」と小声で言う。その後セリーヌはエミーリア様かっこいい…と思った。すると怪しんだような表情でルシアンは「どうしました?」と聞く。エミーリアはその問いに対して「いえ、なんでもありませんわ。」と言う。ばれたかな?まあまあばればれだもんな〜しかもルシアンって勘が鋭いキャラ設定だったような…そう考えているとルシアンがエミーリアに自分の上着をかける。「そのような格好では人目に触れます。今はこれで許してください。新しいドレスを準備するので保健室に行きましょう。失礼します。」と言うとエミーリアを抱きかかえるエミーリアは少し頬を赤らめる。え?何が起きてるの?お姫様抱っこ?前世でもされたことないんだけど。怪我した訳でもないのになんで?と混乱している。するとシリウス殿下が会場に帰って来る。そしてルークと合流しエミーリアがいないことを知る。とりあえず人の多い所へ行ってみるとルシアンがエミーリアを抱きかかえている様子を目撃する。周りは呆然としているものもいれば素敵と騒ぐものもいる。ヒロインは呆然としていてクラリスとセリーヌはお似合いだと騒いでいる。ルークはルシアンに対して敵対心ができた。あの男、姉さんに何をしてるの?さすがに許せないな…そしてシリウスは「へぇルシアンが女性に興味を持つなんて珍しいね。でも、その人はダメだよ…」とつぶやく。その表情に笑顔はなかった。

5章も読んで頂きありがとうございます。

次は「第6章 学園」です。

引き続き楽しんで貰えたら嬉しいです。

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