第3章 魔力暴走
そして1ヶ月後。エミーリアは家庭教師と勉強をしている。義弟と当時義弟と仲良くしていた使用人ラーチェス。それから侍女たちが数人、騎士が1人、両親が大広間に集まっていた。近頃パーティーがあるのでそれに向けての準備だ。そうして準備をしていると侵入者が2人やってくる。別の部屋で勉強をしていたエミーリアは殺気立った気配が2つあることに気づいた。すぐさま大広間の方へ向かっている。家庭教師は混乱している。そして大広間に着くと異様な光景が広がっている黒い球体のようなものが広範囲に広がっている。そして侵入者たちは騎士によって捉えられており騎士の近くに血を流し横たわっているラーチェスが見えた。すぐ両親に話を聞く。ここに侵入者が侵入してきてルークが狙われた時にラーチェスが守り短剣で切られたのだという。幸い怪我は軽いものだがルークはそれを見て闇魔法が暴走したのだという。父親が「俺が助けに行ってくる。エミーリアは待っていなさい」そう言われたがエミーリアは聞こうとしなかった。次の瞬間「いいえ、私が助けに行く。必ず戻ってくるから信じて。」といい前世のようにツインテールに髪を縛るそして黒い球体に飛び込む。「ルーク」と呼びながら。この黒い球体は前が全く見えない上に常に風魔法のような鋭い刃が大量に襲ってる。そういう仕組みになっている。だがエミーリアは音と気配そして感覚だけで避ける。序盤は気づかず刃に触れてしまい多少切り傷があるものの致命傷や大きいダメージには当たっていない。たしかにこれはエミーリア以外の人間にとっては避けるのはまず不可能だろう。避けながら進んでいるとうっすらと人影が見え「お姉ちゃん来ちゃダメ止め方が分からないの!逃げて。」という。エミーリアはもうすぐそこまで来ていたが中心になればなるほど刃は多くなった。周りからはこの様子は見えないので彼女は本気を出し始めた。先にルークを安心させるため言う「大丈夫だよ。今からそっち行くから待ってて。」相当不安なのだろう。その後も来ちゃダメという言葉が定期的に聞こえる。逆にこれはルークからはエミーリアは見えていない。それを知った彼女は避け方を変える。さっきまでは大きなジャンプやダイナミックな動きはできなかったが今は違う。彼女の目つきは変わり舌を少し出す。その後すぐに避け方を変える。まるで彼女の避け方は殺し屋が銃を構え弾丸を避けながら相手の方に向かうそんな避け方だった。今の彼女は刃を弾丸として捉えている。ただ目がいいだけでは避けることはできない。つまり彼女は研ぎ澄まされた感覚や気配で避けているのだ。ツインテールの髪をなびかせながら避ける姿は蓮の頃と何ら変わりはなかった。ただ目的が違った。以前は人を気づつけるため、自分を守るために使っていた力。今はルークのために使えるのが嬉しかった。そのため彼女はにこやかな表情であった。そしてルークの元へたどり着く。たどり着くまでそこまで時間はかからなかった。たどり着くとルークを抱き締め「もう大丈夫だよ。みんなを守ってくれてありがとう。人を気づつけてしまいそうで怖かったよね、苦しかったよね。耐えてくれてありがとう。」と言うと次第に黒い球体は消えていく。ルークは驚いて動揺していた。てっきり怒られると思ったのだ。前はそうだったから。ここでは力を暴走させたくない。そう思っていたのに暴走させてしまった怖さ、苦しさ辛さ全てエミーリアにわかって貰えた気がして嬉しさのあまり泣き出した。今まででいちばん大きな声で何度もごめんなさいと言っていた。ルークが泣き止むまでエミーリアはずっと抱き締め大丈夫だよと声をかけている。その間彼女は前世を思い出していた。前世で6歳くらいの頃、その頃の父親は蓮を道具として育てていた。あの時蓮に試練が貸された。その試練とは数人の悪党を殲滅、殺すということだ。殺したくない彼女にとってそれこそ死ぬほど嫌だった。なのであの時全員殲滅したあと増援が来て母親は心配で止めに入らない父親に変わり助けに行こうとした。そうとは知らず蓮は誤って母を殺してしまったのだ。とてもあの時怖かったし苦しかった。その時の自分とルークを重ねていた。その後盗賊たちは騎士によって王都に連れていかれた。そしてエミーリアはかすり傷を少しおったものの大きな怪我などはなかった。かすり傷だけなのになんで熱引いた時と同じ扱い?過保護過ぎない?さすがに寝なくても治るのに。でもまぁ面白い人たちだな。前世は風邪ひいても仕事とかさせられてたからな〜。って暗いこと思い出さないの!私は今エミーリアなんだから。と考えていると誰かがドアをノックした。するとルークが入ってくる。「怪我大丈夫?僕のせいでごめんなさい。」と少し震えながら言う。そんなに謝らなくても大丈夫なのにな。でも心配してくれるのは嬉しい。「心配してくれるのは嬉しいけど私は大丈夫だよ。魔法の制御はこれから練習すれば大丈夫だよ。ルークならできる私はそう信じてるから。」そう言うと立ち上がりルークを抱き締める。こんな小さな体でここまで背負ってる。もっと周りを頼っていいのに…今回ちゃんとみんな守れてよかったしこれでルークとももっと仲良くなれる。それは本当に嬉しい。この幸せが永遠に続いて欲しいな…この頃のエミーリアはこの後の出来事をすっかり忘れていた。
今回も読んでくださりありがとうございます。
次は「第4章 婚約者」です。
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