第13章 事件
新入生歓迎パーティー前日、この日は朝から考え事をしていた。明日から3年生か。実感わかないな。結局卒業後どうしようあれからずっと考えてるけどなかなか、できることならみんなとある程度関われる仕事がいいって言うのもあるし難しいな。と思いながら部屋の本棚を整理する。整理する途中で1冊のノートが「ぼとっ」と本の隙間から落ちた。これって…と思い手に取る。ああ〜。この世界に転生してすぐにどんなことが起こるか書いたんだっけ?忘れちゃうからね。この時期って何かあったけ?と思いペラペラページをめくる。ページめくる手が止まり驚いた表情をする。なんでこんな大切なこと忘れてたんだろう?明日、新入生歓迎パーティーでシリウス殿下の暗殺事件が起こる。ゲームでは複数人の暗殺者がシリウス殿下を狙ってたけど幸いリリーやほかのみんなも魔法で食い止めてくれたから教師が間に合ったけど今回どうなるか分からない。それにゲームではその後が大変だった。暗殺者は全員捕まったけど魔道具によって心を失ったセレスが襲いに来たはず。そこで何度かバットエンドがあったんだよね〜。乙女ゲームで死亡するとは思わなくて。確かその時はリリーのかけた声が響いて正気を取り戻したはず。とはいえ今回そこは問題ないはず。暗殺者何とかしないと。当日は警戒しよ。妖精たちにも一応伝えておいた。「妖精さん、明日パーティー会場で変な人たちいないか警戒して欲しいの。お願いできる?もし危ない人いたら伝えて欲しいの。」とお願いする。妖精たちは顔を見合せて「わかった。警戒するね。パーティー会場にいる妖精たちにも聞いてみる。」と幼げな声で言う。「ありがとう。」とエミーリアが伝えると妖精たちは嬉しそうに飛び回る。明日は私がみんなを守る。頑張ろと決意するのであった。そして当日、去年と同じようにドレスに着替えパーティーに出席する。シリウスにエスコートしてもらいながら入場する。少し暗い表情をしているエミーリアを見て「大丈夫?暗い顔してる。」と心配そうに聞く。エミーリアは自分が暗い顔をしていることに気づき慌てて「大丈夫ですよ。」とにこやかに言う。暗殺者たちが来ることはわかっていても正確な情報が分からないから怖い。もし間に合わなかったらと思うと手の震えが止まらなくなる。いつもと違うエミーリアを見てみんなも心配する。シリウスはエミーリアの手が震えていることに気づき手を繋ぐ。それに気づいたエミーリアは手の震えが収まり笑顔がもどる。もちろん警戒を解いている訳では無いが安心したのだ。そして例年どうりパーティーが幕を開ける。最初シリウスとダンスをする。その後暗殺事件が来るまで誰とも踊るつもりはなくなるべくシリウスと離れないようにしていた。そして妖精たちが不穏な気配を察知する。「エミーリア、あの窓の外とあそこのパーティーの参加者変な感じする。なんかいや。」と伝える。確かに変な行動してる。どこか落ち着きのないようなそんな感じ。エミーリアは妖精たちにありがとうと口パクで伝える。そしてシリウスと1回離れ行動の怪しい人に近づく。シリウスを完全に1人にする訳にも行かないので妖精2人についてて貰っている。そしてなるべく騎士の多い所へ誘導した。だから大丈夫なはず。こっちは少しでも人気のないとこに誘導したいけどどうすればと考えているとパーティー参加者に扮した男が短剣を出す。ここでやるの?あんなに騎士がいるところで?ということは魔法使いが複数人いる可能性が高い。あと仲間も多そう。とにかく止めないとと思いナイフを素手で掴む。もちろん痛いけど声をあげると周りに気づかれちゃう。と思っていたがみんな気づいてしまった。1人が「きゃーナイフを持っているわ。」と少し離れたところで声をあげるなるほどそこにもいたんだ。あそこは騎士が何人も向かってるからまだ大丈夫。問題はこっち。ナイフを素手で掴んでいることに暗殺者も驚いている。さっきの男がナイフを振り回していることからみんな騒いで逃げてしまう。人混みが少なくなりエミーリアがナイフを掴んでいることを知られる。「エミーリア様!」と心配そうな叫び声が聞こえる。みんなが一斉にこっちを向く。エミーリアの手から血が流れていることに気づく。それを見て驚いたシリウスがエミーリアに近づき暗殺者に「何をしている。エミーリアを離せ。」と怒りながら言う。表情では隠しているが隠しきれていない。エミーリアは慌てている。どうしよう。こっちに来ちゃダメなのに。それにどっちかって言うと離してないの私なんだよな…そうじゃなくて今暗殺者にシリウス殿下が近づくのは危ない。それにこの会場に気配からしてあと短剣使いが4、5人魔法使いが6、7人くらいいるはず10人前後ってところかな?魔法使いは窓の内側に隠れてそうだし短剣使いも生徒に紛れてそうなんだよね。今近づけるのはさすがにと思いシリウスに「シリウス殿下、危ないので近づかないでください。私なら大丈夫ですので。」といつになく真剣な様子で大きい声で言う。シリウスは少しびっくりする。リリーたちも心配そうにエミーリアを見ているが来ちゃダメとエミーリアは首を横に振る。数人エミーリアの周りに残っていた人も少し距離をとる。よし、これでしばらくは戦える状態になったかな。と思いそれと同時にエミーリアは暗殺者のナイフを少し強めに握る。もちろん痛みがない訳では無いが離さないためだ。そしてその暗殺者の右足を軽く蹴り体制を崩す。そのままナイフを抑えながら地面に倒す。相手のナイフを掴んでいる手が少し緩んだ瞬間、ナイフを取り上げ相手の首元に軽くナイフを当てる。馬乗りになり逃げないよう抑えながら騎士に向かって「この人を取り押さえてくださいシリウス殿下の暗殺未遂です。」と告げる。その言葉を聞き騎士たちはお互い目を合わせ相談するがすぐに駆け寄り取り押さえる。絶好のチャンスとでも思ったのか魔法をはなとうとしてる人がいる。魔力の気配を強く感じエミーリアは咄嗟に結界を貼る。ウォーターウォールと言う魔法で水の結界だ。その結界で周囲を囲み敵の魔法から身を守る。基本魔法でもあるがエミーリアの使える魔法の中で一番守りに特化している。防御力をあげるため少し風も織り交ぜているためエミーリアのオリジナル魔法の1つでもある。そしてその魔法で敵の攻撃を防いでいる間にドレスの裾を高いところで結ぶ。もう1つの新しいオリジナル魔法で水を銃の形に寄せ風で水球を飛ばす。文字通り銃を一瞬で作り出す。威力は強いが殺傷能力はなくせいぜい気絶させるくらいだ。ずっとエミーリアが考えていたオリジナル魔法のひとつだ。やっぱりこの武器が一番しっくりくるな。と思いながらウォーターウォールを解く。その瞬間窓から魔法を打っている暗殺者を1人ずつ打つ。エミーリアは6人に水球を当てる。段々とパーティーの参加者たちや生徒、教師がザワザワ騒いでいる。特に参加者たちは騒ぐ。お構い無しにエミーリアは魔法で防御しながら敵を倒していく。そして最後の敵を倒す。騎士たちに「この人達の拘束お願いします。」とお願いする。騎士は少し考えた様子だったがすぐに駆け寄り拘束していく。エミーリアは一件落着と思いみんなの方を向く。「皆さん、大丈夫でしたか?」と聞く。みんなしばらくの間言葉を失う。次第にまた話し後が聞こえてくる。「何あれ?信用して大丈夫なのかしら。」とか「貴族らしい行動とは言えないな。それに怖いな。あの力。」とか「人間業じゃない。」などの負の声が聞こえてくる。またやっちゃった。そりゃあ怖いよね。ただの令嬢がこんなに強いなんておかしいし、前世のこともあってわかってたはずだったのに…強い力は恐怖しか産まないことを。忘れてる訳じゃない。だけど再確認させられた感覚。お前は異物だと。どれだけ綺麗に繕っても本質は変わらない。気をつけていたのに、知ってしまえば傷ついてしまうからと思い何も言えなくなっていた時1人の参加者が「化け物」と言ったのがエミーリアにはやけにはっきりと聞こえた。化け物か。前世でも言われてきたその度傷ついて来た言葉だ。そうして落ち込んでいるとシリウスがエミーリアに駆け寄り「それは無いんじゃないか。エミーリアはみなを守ろうとしてくれた。勇気ある行動に感謝こそすれエミーリアを傷つけるようなことを言うのは違う。そう思わないか?」と問いただす。パーティー会場は少し静まったがまだ収まる気配がない。リリーたちも必死にエミーリアを庇うがいつも仲がいいからそんなことが言えるんだと言う目で見られる。そして困り果てていた瞬間、エミーリアの周りが少し輝きあれは一体と思っていると光が強くなり思わず目を瞑る。目を恐る恐る開けるとそこには妖精王の姿があった。教師や大人たちは慌てて膝を着く。生徒たちもすぐさま理解し膝を着く。妖精王はこの国で知らないものはいない、国王よりも立場が上なのだ。歯向かえばどうなるか分からないおとぎ話の童話の中のものだとみな思っていた。エミーリアを除き。「妖精王、セレスティアス様。どうしてここに…」と恐る恐る膝をつきながら言う。そんな中エミーリアは「セレス?」と愛称呼びをする。みんな驚く。特に教師は「エミーリア嬢?失礼ですよ。」と注意する。エミーリアはよくわかっていないような様子である。すると妖精王は「良い。」と教師に言いエミーリアの方をむく。「久しいな。エミーリア。」と穏やかな表情で挨拶する。「はい、お久しぶりです。」とエミーリアは言う。妖精王は周囲の様子をまじまじと見て状況を理解する。「皆聞け。エミーリアに力を授けたのは俺だ。異論があるものはいるか?」と問う。エミーリアは混乱している。え?力を授けた?どうゆうこと。もしかしてことを収めるために嘘をついてくれてるのかな?と気づく。学園長がみんなの顔色を伺いながらも「そういうことだったのですね。異論なんて滅相もありません。」と恐る恐る言う。妖精王はエミーリアの方を向き「よくやった。」と言いながら頭を撫でる。その様子を見てルークが「「失礼かとは思いますが姉さんとどう言った関係なのでしょうか?」と丁寧に聞く。妖精王は腕を組み考えながら「どんな関係と言われると難しいな。まだ友人と言ったところだろう。」とまだを強調して言う。ルークがもう少し踏み込んだ質問をする。「まだとはどうゆう…」と顔色を伺いながら聞く。この世界で妖精王は神にも匹敵すると言われている。まず姿を見せることが少ないゆえにその姿を見たものはあまりいない。「そのままの意味だよ。エミーリアが望むなら妖精女王にしてもいい。」と軽く笑いながら言う。その意味を知らないエミーリアは疑問に思っている。どうゆうこと?妖精女王って一体?と思っている。ほかの参加者の大半がエミーリアと同じ状態だが王族関係の人たちと教師陣はその意味を理解している。妖精女王になるとは要するに妖精王と結婚するという意味に等しい。代々妖精王は男しかなれないというより男性しか産まれないのだ。そして妖精王は人間の娘と結婚し子を成す義務がある。それに選ばれるのはその国に繁栄をもたらし加護が与えられる。なので選ばれたいものが多いがなかなかに難しい。そして2000年に1人の確率でしか選ばれない。選ばれたものは人間界に戻ることは二度とできない。という仕組みである。シリウスはそれに気づいていたので止めずにはいられなかった。「妖精王様エミーリアは私の婚約者ですので。」といいエミーリアの肩を寄せる。みんなハラハラしている。「なるほど…独占欲が強いな。まぁ俺の気が変わらぬうちは今すぐということはないから安心しろ。」と言うと続けて「そろそろ戻らなくては行けないな。じゃあエミーリア、また会おう。」と言い去っていく。わざわざ暴動を収めるために来てくれたのかな?ありがとうセレス。と心の内で思っている。そしてパーティーは開催する。参加者たちはそういうことだったのかと納得してくれている。「妖精王の力であれば無理もないな。」とか「助けてくれてありがとうございました。」などの感謝の声も上がるようになる。なんだか騙しているような気がして少し気が引ける。今はみんなから感謝されたりと嬉しいけどだからといってさっきの言葉が無かったことになる訳じゃない。と思っているのもつかの間妖精王とはどこで知り合ったのかとかいろいろと聞かれる。質問攻め状態になっている。エミーリアは答えていいか分からず答えないでいる。そしてシリウスもルークたちからどうゆう意味なのか質問攻めをされる。笑いで誤魔化そうとするがそう上手くは行かない。パーティーが終わるまで質問攻めを受けた。パーティーが終わってから少し1人になりたいといいエミーリアは1人パーティー会場に残る。あたりは薄暗くなっている。今日みたいな時はもっと気をつけて行動しないと、感情のままに行動してた。もうあんな思いはしたくない。と思っているとセレスが姿を表す。「落ち込んでいるのか?」とエミーリアに問う。エミーリアは軽く頷く。「まぁ気にするな。人間は強い力を恐れる。それはどうしようもないことだ。人の感情を操るなどできない、と言うよりしてはならない。」と励ます。それでもエミーリアの顔は暗いままだ。相当気にしている様子だ。「前世でもこうゆう事があったの。小さい頃。どうすればみんなを助けても怖がられないの?」と聞く。怖がられることが一種のトラウマとなっているのをセレスは気づく。「そうだな。怖がられるのが嫌なのであればいっそ妖精の世界に来るか?人間の世界より居心地がいいはずだぞ。」と言う。エミーリアは驚いて答えに困っているそれを見たセレスはエミーリア頭をわしゃわしゃと撫で「冗談だ。みなを守る職につけばもう少し印象が変わるはずだ。あとはやりすぎないことだな。どんなに怒っていても怒りに任せて力を震えば同じことだ。」と言うとエミーリアの顔は少し晴れる。続けて「お前のお陰で今回助けられた命は多いはずその力を誇りに思え。安心しろ。もしお前が暴走するようなことがあれば俺が止めてやる。」とセレスは言う。エミーリアは笑顔になり「うん。ありがとうセレス。」と感謝を伝える。そして妖精王はしばらくして帰っていく。今日、セレスが来てくれて良かったな。深く考えすぎちゃうだろうし。誰かを守る職業か。何があるんだろう?この世界の職業についてまだあんまり知らない気がするけど王宮魔道士とかも多分そうだよね。でもな〜。魔法に特化してる訳でもないし確か王宮魔道士ってある程度頭良くないとなれなかった気がする。作戦ねったりとかも仕事の一貫だろうし、そうなるとなかなかな。しばらくエミーリアは悩んでいる。あ、騎士とかも良さそう。人を守れる仕事だし前に聞いたのが下町とかも行き来するって言うのは聞いたことあるからまだこの世界の知らないことを知れるかもしれない。女騎士っていうのも少ないしいても平民の出が多い。それに貴族はなりたがらないから。そりゃあ反対もされるだろうけど、せっかくこの世界に来れたからなってみたい。前世では絶対なれない職業だったしね。騎士ってなると危険と隣り合わせだから少し心配ではあるけどね。剣を扱うのも嫌いじゃないしね。まぁ力の使い方には気をつけないと、騎士になるんだったら最初は騎士見習いから始めないとか。大変だろうけど目指して見ようかな。と1人静かに決心した。
13章も読んでいただきありがとうございます。
次は「第14章 決意」です。
あることを決意するエミーリア。その決意がエミーリアの人生を大きく変える。
次回もお楽しみに。




