異世界怖い…
「わっ!!」
私が驚いたのと同時にレイちゃんの声が響く。
「レイちゃん!!!」
私が急いで横を向くと、そこには腰蓑一つの筋肉マッチョな体型をしているオークがレイちゃんを担いで枝から飛び降りるところだった。
「わあああああ!」
「レイちゃん!!!」
私が魔法を放つよりも先に飛び降りたオークは、レイちゃんを抱えたまますごい音をさせつつ着地し走り去ってゆく。
私もすぐに飛び降りて追いかけようとするが、もう一体のオークに道を塞がれ動けなくなってしまった。
「ええい!レイちゃんが!」
ービュン!
私は怒りと焦りがない交ぜになった一撃を放つ。
その速さと威力は自分の予想をはるかに上回っていた。
私はソレを確認し、内心オークを倒せたと安堵したのだが...予想に反し身軽なステップを踏みその魔法をオークは危なげなく避けた。しかもニヤニヤと笑っている。
人間のような肌の色、目はサメのように黒目しかない…頭部や眉には毛がなく、口がかなり大きくて口の端からイノシシのような牙が出てる…怖い!生理的に無理!
対面して見つめあってしまうと本能的なものなのか、嫌悪感が酷く、二の足を踏んでしまう。
でも、やばい、早くしないとレイちゃんを見失ってしまう!
そう考えた私は即座にオークの四方を土壁で覆い、その中に対し重力魔法をつかい、押し潰す事を考えた。
私の考えと同時に壁が現れ、驚いている様子のオークを閉じ込めた。
そして私は倒したか確認をせずに走り出すのだった。
「はぁっ、はあっ…」
私は走りながらサーチを使う。
私の数十メートル先に凄い勢いで動いている赤い点を見つけ、その点を追いかける事に。
◇
私は今、木の上に座っている。
そして魔法で姿を隠し、遠視魔法で様子を伺っている。何故悠長にそんな事をしているのかと言われれば、その理由は、前方にある村にある。
レイちゃんを追いかけて数時間、段々と周りに赤い点が多くなってきたと思えば…オークの村の様なものがあったのだ。村じゃなくて巣なのかもしれないけど今はそんな事はいい。
問題なのはその数だ。
赤い点がパッと見で20以上...流石に何も考えずにそこへ行くのは不味い。
私は一先ず高い気に登り、周囲の確認と村の確認をしてみたのだが、レイちゃんを抱えたオークは見つからず。
いくつか布のかけられたテントのような場所があるので多分そこのどこかにいるのだろうと予測をたてる。
それからふと、魔物をサーチ出来るなら人間も分かるんじゃないかとサーチをかけてみたのだが...
「なんかいっぱいいる...」
驚くことに、目の前の村には人間の反応が沢山あり、しかも数人ずつがバラバラの場所に居るのだ。
レイちゃん個人を探そうにも、個人に対してサーチは効かず...。
結果私は予想して探すか、殲滅か、の2択しかなくなってしまった。
探してる間に殺されてしまう可能性はある。流石にあんなに小さい子を苗床にはしないだろうと思うが...どうなんだろう?
苗床の可能性があるならば早急に探し当てないと不味いのだけれど…
「風魔法...効かなかったんだよなぁ」
考えろ、考えろ...。
土魔法で村を囲んで逃げれなくした場合、人質が殺される可能性がある。
オークだけを囲うか?...そんなことが出来るのだろうか?やってみて失敗したらどうする?
燃やすと人質まで燃える可能性があるし、水を弾丸のように飛ばすにも、目に見えているオークしか倒せない。
「どうしよう...どうする...どうすれば...」
ブツブツと独り言を呟き続けるが、いい案が思いつかない。
私は物語の主人公じゃないのだ。都合のいいことは起きない。考えないといけない。
幸い人質は多い上に数箇所に固まっている。
...。
怖いけど...急に人質が動いて、守るための土魔法で殺しちゃう可能性もあるけど...やるしかない。
「人質の周りにだけ土壁、天井に少しの空気穴。表面は打撃に強い強度で...その中に小さな光魔法...触っても怪我しない光魔法...ランプの代わりに...それを1...2...4箇所...オークの点が離れた場所から順に...」
ブツブツ呟きながらオークと人質の点を凝視する。
そして全ての人質からオークの位置を示す赤い点が離れた瞬間…
「土魔法!!!!」
私は数箇所同時に魔法を使った。
「やった!オークの点が騒ぎ出した!多分成功した!!」
そう、喜んだ瞬間
「...え?」
私の服の胸元に血がポタポタと滴り落ちた。
「ち…?」
指先でそっと自分の鼻を触ると、ぬるりとした感触がした。
「鼻血…」
洗浄魔法…かけなくちゃ…
そう考えている最中に、私の意識は、途切れた。




