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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第五章 世界幼樹と天鳥の子
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Ep94 殺戮バトルジャンキーと煮込み料理

 えいっ


 バキッ


「あー、また折れたわねっ」


 サナは不満を漏らしながら、折れて半分になった剣をモンスターの顔面に突き刺して次の剣を腰から抜く。

 更にサナは慣れた手つきで次の剣をストレージから取り出して、前の剣のさやと交換する。

 もちろんモンスターに囲まれながらの戦闘は続けたままだ。


 最初は地面に突き刺したりしていたが、大型のモンスターに踏まれて折れたり、人型のモンスターに盗まれて風香にめちゃめちゃ怒られたので、この技を習得した


 


「ふぅ、これで最後ね」


 やたらしぶといトカゲの脳天に折れた剣を突き刺し、サナは一息つく


 周囲を見渡すと、近くで風香たちも思い思いの格好で休んでいた。


「サナ、ちょっと、とばし、すぎよ」


 肩を激しく上下させながら、風香がサナに苦言を言う。


「そお?」


 風香の思いもむなしく、あっけらかんと答えるサナだった


 


 ドワーフの国を出て1週間。

 サナ達はエルフの隠れ里に向かって進んでいたが、彼女たち……というより、彼女が黙ってまっすぐ進むわけもなく、既に道を大きく外れ、山奥の、しかもモンスターが多そうなところに突っ込んでいた。


 普段であればストッパー役の風香も、前回のドワーフ王国戦ではサナにばかりきつい役どころをさせてしまい(本人は喜んでいたが)次の目的地に着く前に強くなっておきたかったので、いつもに増してカオスなルートになっていた。


 因みに、ツナ吉とシーチは、それぞれ拠点の設営と、夕食の準備に取り掛かっていた。ここまでサナについてきた二人はうかうか休んでると、このまま夜の森で第2ラウンドを行うことになるので、必死だった。


 サナは戦闘狂で寝食を忘れて戦いまくることはあるにしても、モンスターが跋扈する森の中で風香たちを見捨てていくほど狂ってはない。しかし、目の前で戦闘が始まってしまえば、最低限の心配りはしてくれるものの、撤退とか、転進とか、退くとかのコマンドが彼女には無いので、周囲のモンスターを狩り尽くすまでは止まらない。


 という訳で、早々に拠点を作って、餌付けしておかないとマズいのであった。




「うん、相変わらずシーチちゃんのご飯はおいしいわね」


「シーチ、お替り!」


「姐さん、早すぎっす!」


「まだまだいっぱいある。でもやっぱり、調味料と道具が不満」


 4人は焚火を囲んで、夕食をとっていた。

 調理担当は、もちろんシーチである。

 周囲にはサナ達が狩った肉が大量に転がっているため、シーチは嬉々として様々な調理法を試した。風香とツナ吉も手伝わされた。



「そういえば、あたしの1Jファーストジョブ2Jセカンドジョブが変わったわ。どっちもレベル40で上位ジョブに進化するみたいね」


 お腹も満たされた頃合いで、サナが報告した


「おぉ、さすが姐さん、早いっす!」

「団長すごい」


「いやいや、ちょっと待ってよ、もう? しかも、二つともなんて」


 風香が驚くのは無理もなかった。

 サナの横で戦ってきた風香でさえ、1Jファーストジョブの騎士がLv30、2Jセカンドジョブの戦術家に至ってはLv23だ。

 それが、どちらもLv40を超えたと言うのだ。

 

「ちなみに、どうなったの?」


 確か、サナは野武士と破壊狂人クラッシャーだったはずだ。

 今までの行動を考えると、とても嫌な予感しかしなかった。


「えーと、殺戮者ジェノサイダー戦闘中毒者バトルジャンキーね」


「それ、他に選択肢なかったの」


「んー、あったけどこれが一番あたし好みのスキルがあったから」


 そのスキルとは、殺戮者ジェノサイダーが生物を連続で殺傷するごとに攻撃力が上昇する『殺戮の福音』、戦闘中毒者バトルジャンキーは戦闘中の疲労蓄積が緩和され、狂化などのバッドステータスに耐性が着く『戦闘酔(バトルトリッパ―)』だそうだ。


 風香の頭が痛くなったのは言うまでもない。


 レベルアップ以前に、サナは3Jサードジョブという謎のジョブをいつの間にか手に入れていたらしい。

 ジョブ名は『剣の求道者』

 それに伴ってEXスキル『剣気覚醒』という、謎スキルまでくっついてきたそうだ


 Lvは1のまま、まだ上がってないらしい。

 しかし、それでもその異常性は際立っていた。


 まぁ、新しいジョブを手に入れようが、スキルが増えようが

「これでまた楽しく戦えるわ!」

 と目をキラキラさせて言う彼女は、相変わらずであった。




 翌日


「あの山に何か強そうなドラゴンとかいそうね」


 そう言って、エルフの里とは全く違った方向を指さして彼女は進むのであった。


 この選択があんな悲劇を生むことになるとは、誰もまだ想像していなかった。










おまけ


サナは料理ができるまで筋トレして過ごしていたが、ルーチンが終わりお腹もすいてきたのでシーチに声をかけた


「シーチ、あたしも何か手伝うわよ」


「団長は斬るか、叩くか、潰す担当。今はその作業はない」


「あたしはそんな原始人じゃないわよ」


 とサナは怒っていたが、風香もツナ吉も心の中で、サナなら普通にモンスターに噛り付いていても不思議ないなぁとか思っていた。




 因みに、TFOの前のゲームではヒロは食事、調理の時間を極力減らすために、落とし穴の下に催眠ガスとベルトコンベア、そしてそのまま丸焼きにする全自動調理器を開発したが、普通にクッキー1枚で食事が賄えるアイテムが開発されると、それを大量購入して過ごしていた。

 一応調理に関連するスキルも生産関連のスキルに上乗せ効果があるので、一時期調理をしていたが、食材のレア度に応じてスキルポイントがもらえるため、ヒロは焼き肉しかできない。




 おまけ その2


 カバ太が、スープを作っていた。


 俺のストレージは何故かわからんが底なしなので、ガーラントから山のように調味料や香辛料を貰ってきてある。

 既に料理はカバ太とリーフの仕事なので、小分けにして料理をするときに出してやっている。


 俺は焼き肉とか焼きシイタケでも問題ないが、食べるなら旨い方が良い。

 なのでカバ太に「料理とは相手をもてなす気配りだ、旨い方が凄い、お前は与えられた仕事をただ淡々とこなすだけで満足なのか!」とかなんとか言ってたら、やる気に火が付いた。

 最初は失敗も結構あったが、最近では焼く、炙る、炒めるは出来るようになった。

 次は煮るに挑戦しているらしい。あんなヒヅメみたいな前足でなんでできるのかよくわからないが、もう俺よりもおいしい料理が作れる。


 うちのバカ精霊は、手があるくせにカバ太に惨敗中だ。


 蹲って「ガーンでしっ」とか言って、時間を無駄にしているので、蹴とばしておいた。落ち込む時間があるなら手を動かせ。


 山のふもとで、今日もヒロ達は平常運転だった。


読んでくれて、ありがとなんでしー!

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