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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第四章 光の王冠と土精王国
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Ep90 激戦!王冠をわが手に(後編)

リーからの注意事項なんでし

今日はこれが二本目の投稿なんでし

注意するんでし

 ゲンブはサナを剣士と認識していた

 たとえ持っているのが木剣であっても、立ち居振る舞いや雰囲気から一目で強者として理解した


 だから、また剣で来ると勘違いしていた


 先ほどと同じように、サナが突っ込んでくる


 互いの武器が交錯する瞬間、ゲンブの斧を左手でつかむ

 掴んだところを起点に全身を雷撃が駆け抜けるが、歯を食いしばり耐え、残った右手一本でがら空きの胴に剣を打ち込む


「重破斬!」


 元々は前ゲームでサナが編み出したオリジナル技

 複数のスキルを刹那のタイミングで同時発動して、強力な一撃を繰り出すサナらしい強引な技


 今回は『重撃』『震脚』『狂化』『瞬天』


 『狂化』は理性を犠牲にして能力を上昇させ

 『瞬天』は一瞬だけ自分の時間を加速させる


 4つのスキルに、ジョブ補正、鍛えてきた技術、パッシブスキルが上乗せされ、今までの何倍もの威力の一撃が放たれる


「がはぁ」


 一発で直撃した周囲の鎧は完全に砕け散り、ゲンブはその場に崩れ落ちる


 サナが腕をあげると、仲間たちの歓声と落胆の声が響く

 中には武器を落とし、膝をつく兵士もいた


 この場の大将が倒されてしまったのだ

 一気に戦局はこちらに傾いたと言っていいだろう


 しかし、その代償は大きかった


 サナの右手に持ったレッサーデビルトレントの剣は引きちぎったように二つに折れてしまっていた






「はぁはぁ、あと少しで玉座の間です」


「ユーノラ様、先に行ってください、ここは我らが抑えます」


「くっ、済まない」


 いくら戦力を外に出したとは言え、玉座の間の前には親衛隊がいた


 それらの相手をユーノラの護衛達に任せ、風香とユーノラは玉座の間に滑り込む


「よ、よし、ここまでくれば」


「っ、ユーノラさんっ、きゃぁあああああ」


 入った途端、ユーノラを槍が襲う

 何とか身を入れて風香が盾で防ぐが、衝撃を逃しきれず二人とも吹っ飛ばされてしまった






「はははは、まさかこっちが囮だったとはな」


「そうっすよ、だから今頃正面を抜いて、ユーノラさんは王冠を手に入れてるはずっす」


「王のくせに、滑稽」


「ほう、貴様らの仲間が我が騎士団長を倒せると本気で言っているのか」


「姐さんなら、絶対勝つっす」


「ふん、そうか、だとしても王冠の部屋までは絶対たどり着けない。あそこには我が王剣たる男が守ってるからな」


「なっ」


「強がりはよくない」


「ふん、せいぜい祈っておくんだな、絶対に叶わないがな」


 ゼオは楽しそうに嗤うのであった




「あらぁ、じゃあ時間稼ぎしてる意味もなくなっちゃったわねぇ」


 大声でゼオ達が話していた為、みゅうみゅうの耳にも会話は届いていた


「ふん、ここまで追い込まれてまだ余裕のフリですか」


 みゅうみゅうはギュノスターに壁際まで追い詰められていた


「演技じゃないわよぉ」


 みゅうみゅうの刀から突然煙が出現する

 武器から煙幕を出す『煙刃えんじん』というスキルだ


 鎧で視界が限定されているギュノスターを煙で目くらましをする

 一瞬みゅうみゅうの姿を見失った隙に、三角蹴りの要領で壁を使ってギュノスターの背後に回った


 ギュノスターは気配を感じて慌てて振り向くが、遅かった

 先ほどとは逆の展開、後ろに壁がある為距離を取ることもできず、みゅうみゅうの斬撃を全身に浴びるはめになる

 頑丈な鎧とは言え、接合部は弱く何発かはギュノスターの身まで届く


「くっ、好き放題はさせない」


 ギュノスターの反応は良かった

 普通の相手であれば、距離を取れたであろう

 しかし、みゅうみゅうは斬撃が来ることも、剣の軌道も読んでいた


 かがんで軽々とかわし

 刀を喉元に突き込む

 相手の防御力を変動させるスキル『防御力変位』によって鎧は砕け、ギュノスターは絶命した


「なかなか楽しい戦いだったわ」


 振り向きもせず、みゅうみゅうはツナ吉たちの援護に回った






 たったの一撃で風香の盾はひしゃげて、これ以上防げそうにない


「まさかここまでやってくるとはな」


「っ、その赤の鎧、国王の筆頭護衛の貴様がなぜここにいる」


「ふっ、我は主の命に従ったまでだ、残念だったな、ここでお前は死ぬ」


「させないわ」


 盾を捨て、剣を構えた風香がユーノラの前に出る

 

「ふむ、その折れた腕でか」


 先ほどの一撃で風香の右腕は完全に折れて、力なく垂れ下がっていた


「あいにく、ここであきらめるわけにはいかないのよ」


 痛みに歯を食いしばりながらも、はっきりと自分の意思を貫く


「すぐ終わることだ」


 赤い鎧は、重厚な鎧をまとっているとは思えないほどの俊敏性を見せ、風香に接近する


「なっ」


 一瞬で、間合いを詰められ槍が風香に吸い込まれていく様に突かれる

 何とか剣でいなすものの、片腕では防げるわけもなく剣ははじかれ、風香はその場に尻から転ぶ


「終わりだ」


 容赦なく二突き目が風香を襲う

 右手をかばい、丸腰の風香に抗う術はなかった


 しまっ


「あきらめんじゃないわよ」



 風香と赤い鎧の間に影が入り込む

 ズガァン


「くっ」


 不意の一撃は男を何歩か後ろへと下がらせた


「あちゃー、こりゃ完全に駄目ね」


「サナっ」


「風香、楽しそうなことしてるじゃない」


 そこにはいつもの笑みを浮かべたサナが立っていた


「どうやって、無事にここま、でっ」


 そこで言葉が詰まる

 サナは無事ではなかった

 HPバーは半分以上あるが、ところどころに傷を負い、髪や服の一部は焦げてしまっている

 何より、サナの木刀が柄の一部を残して完全に失われていた


 あのバカみたいな耐久力の剣がここまでなるほどの激戦を越えてきたということだ


「大丈夫なの?」


「ふんっ、誰に言ってるのよ、あたしが剣を置くのは死んだ時のみよっ! さぁ、こいつは私が抑えるから、自分のするべきことをしなさい」


 その言葉に風香とユーノラは玉座の裏に向かって駆け出す

 そして、赤い鎧の男の前にサナが立ちふさがった


「ちっ、武器も持たずに我とやる気か」


「武器ならあるわよ」


 そう言って、サナが一本の斧を振るう


 薙いだ筋に沿って、バチバチっと雷撃が煌めく


雷撃王の大斧らいげきおうのだいふか。ゲンブを討ったのか?」


「さあね」


「ちっ、厄介な」


 雷撃をばら撒きながら、斧が乱舞される

 そこまで強力な威力ではないと言え、普通に受けてもダメージを受ける厄介な武器だ


 しかし、赤の鎧の男は王の筆頭護衛

 その名にふさわしき武の持ち主である


「なめるなぁ」


 槍を長く持ち、乱れ打ちする

 剣ならともかく、あまり使うことがない斧

 スキルも筋力も十分ではない


 サナは何とか致命傷は回避するも、何発も刺突を体で受け、じわじわとHPが削られていく


「いったいわねぇっ!」


 サナは咆哮をあげて、斧を振って距離を取り、はぁはぁと肩で息をする

 髪は額に張り付き、いくつかの傷口から血がしたたり落ちて床に赤いシミを作る


 満身創痍


 先頭でドワーフ兵と戦い、ゲンブを倒し、ここまで走ってきたのだ

 疲れも溜まり、愛剣は失われた


 しかし、見上げた顔は喜色に染まり、目は紅々と輝いていた


「まだまだまだまだ、あたしはこんなところで戦いを止めたりなんてしないわぁ!!! 出し尽くす!」


 その瞬間、サナの雰囲気が変わる

 斧の柄を短く持ち、空を仰ぐ


「あぁぁぁぁぁぁああああああああっ!」


 サナが天に向かって叫びをあげた


 サナの初期スキル『狂化』

 先ほどのゲンブの時には、僅かな時間のみ発動させることで殆ど理性を失うことなく使っていたが、今回は違う

 もともと戦いの間は殆ど本能で戦っているとはいえ、理性がないわけではない

 でなければ、ゲンブと戦いながらも位置取りを修正して味方を助けたり、周りに目を配ることなど出来るはずがない


 その理性の大半を掛けて、彼女は一時的に更なる高みへ上る


 突き出される槍を最小限の動作でかわし、斧を体ごとぶつけに行く

 自分も多少雷撃を食らうが、理性の切れた彼女に躊躇いはない


「ちっ、しかしまだ」


 赤い鎧は突きに集中させ、攻め入らせないようにするが

 サナは斧を投げた


 これまでの戦いに自分の武器を捨てる戦法など、受けたこともなかった

 サナは床に落ちていた瓦礫も拾っては投げつけ、赤い鎧の男に肉薄する


 斧と瓦礫と投げられ、無意識に槍を回避にも突いてしまう

 それは、嵐のような突きの中にほんの何回か

 時間でいえば一瞬のズレだった


 槍はサナの脇腹を抉るが、まだ浅い


 サナの手が兜に伸びる

 横をすり抜け、膝裏に蹴りを入れ地面に引き倒し、空中で回転してそのまま後ろ回し蹴りを顔面に叩き入れる


 それだけでは、倒しきれるかわからない


 倒れこむように、肘を男の首に落とし、転がりながら槍を蹴飛ばす




 固い鎧の上から攻撃を入れたダメージは小さくはないが、膝をつき肩で息をするサナは満足そうに微笑んでいた


 僅かに残った理性で『狂化』を解除した瞬間、全身を鋭い痛みを襲うが、相手からは目を離さない

 あまり効果は高くないが、ポケットから出した薬草を口に突っ込みに観察をする


 男はすでに引き倒された時点で気絶しており、再び立ち上がることはなかった


 槍を杖に身を引きずりながら、ユーノラ達が入っていった玉座の後ろの部屋に向かったのである。


さぁ、いよいよ王冠とご対面なんでし


読んでくれて、ありがとうなんでしー!

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