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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第四章 光の王冠と土精王国
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Ep88 激戦!王冠をわが手に(前編)

 サナ達が襲撃を始めてから4日目の朝

 ユーノラの屋敷に居た戦える者は全員完全武装で集まっていた

 

「それじゃあ、行ってくるわね」


 サナはいつもと同じ口調で、門の外に出る


 最大の激戦地になる正門に攻めるのは、リーダーのサナ

 それに、リザードマン兄弟を筆頭とする異種族混成部隊が当たる


 その他の拠点にも既に連絡を入れてあり、目立ったり、隠密に向かない者達は時間を合わせ、一斉に首都バルカムの王城であるアーグ城を目指すことになっている




 城に向かう途中で何人か兵士に止められるが、振り切って前へ進む

 今日は隠れる必要はない


 そして、勝てばこれから堂々と生きていくことができる

 彼らの士気は一様に高かった




「貴様ら、栄えあるアーグ城の王門に何ようだ!!!」


 次々と集まってくる異種族の集団に、ドワーフ兵は警戒色を強めて応対する


 正門に到着した総勢は約150

 対するドワーフ兵は連日の襲撃の成果もあって100もいない

 しかし、騒ぎを聞きつけた兵士たちが時間とともに集まってくることだろう

 既に後ろから追いかけてくる兵士が何人もいる


 悠長に時間をかけてはいられない


「あたしが一気に正面を抜く」


 先頭で愛用のレッサーデビルトレントの剣を掲げたサナが、一気に正面の兵士たちに肉薄する


「弱い!」


 わらわらと群がるドワーフ兵を引き倒しながらサナが叫ぶ

 

 ドワーフ兵が弱いわけではない

 彼らもちゃんと訓練された兵士だ

 しかし、まさかいきなり王宮に仕掛けてくるとは思っておらず、主力の兵士は外の検問や警邏に出てしまっている


 序盤の流れは完全にサナ達に傾いていた




「サナ殿、先行しすぎだ!」


 リザードマン兄弟の兄ヴォントは一人敵陣に切り込むサナに声をかけるが、彼女は止まらない




「あいつが指揮官ね、少しは楽しませてもらうわよ」


 少しでも奥へとドワーフ兵をぶっ飛ばしながら迫っていく


 これは風香の作戦だ


 サナ達正面部隊は、ユーノラが王冠にたどり着けるようにするための陽動だ

 とにかく、指揮官を倒し混乱させ足止めをする

 数が揃っても連携が取れなければ、引き出しの多い異種族部隊の方が有利になる


 ズガン


 後ろの方で指揮をとっていた一回り豪華なドワーフの兵士に、重くずしりと響く斬撃が撃ち込まれる


 サナの対鎧用スキル『重撃』である


 『重撃』は通常の攻撃にスキルレベルに応じた重さが一瞬付加されるスキルである

 再使用までの時間間隔は短いが、武器の耐久性を著しく損耗する

 いくらレア度6、自己修復付きの剣とは言え度重なる攻撃には耐えきれない


 この場でこの剣を失う訳にはいかないので、雑魚は拾った武器や蹴りで倒して進んでいく




 その後、何人かの指揮官や兵士たちを無力化して、とうとう門の奥、城の入り口まで後20メートルのところまで来ていた

 王城の入り口は、増援の兵士たちが出てきているため開いている

 このまま突っ込んでかんぬきを壊してしまえば、少数でも戦いやすい城内に流れ込むことができる


 時間が経つにつれて後ろの方の戦闘音が激しさを増している


 ちらりと後ろを見ると、城からの兵士はサナによってだいぶ倒されているが、外からの増援に苦戦しているようだった


 しかし、助けに戻る訳にはいかない

 かんぬきもあるが、強い奴の気配が近づいてきている




「何ということだ! ドワーフ王国が誇るアーグ城にまで蛮族を入れ、ましてや好き勝手ふるまわせるとは、何たる屈辱、そこになおれ!!!」


 城の踊り場から、白い鎧を着た男が巨大な戦斧を担いで現れた


「その赤い髪……そうか貴様が襲撃の実行犯か!」


 白い鎧の男、王国騎士団団長ゲンブは、一番近くで暴れていたサナを睨みつける


「へぇ、こりゃ大物ね」


 レッサートレントの剣を薙いで周囲の兵士を吹き飛ばす


「よく見ればまだ小娘か、しかし罪は重い、儂の手であの世に送ってやろう」


 サナめがけてゲンブが飛び掛かる


「そんな大振り……っ、ちっ」


 ドンと振り下ろされた斧の周りに雷撃がほとばしる

 サナはすんでのところで大きく回避して、雷撃をよける


「ほう、この雷撃王の大斧らいげきおうのだいふに感づくとはな」


「ずいぶんと面白そうなおもちゃを持ってるじゃない」


 サナは姿勢を低くして、一気にゲンブに肉薄する

 しかし、すぐに斧がサナを捉えて振りぬかれる


地這ちばい


 『地這ちばい』は、文字通り地面を這うように進むことができるスキルだ 


 目の前に迫る斧よりも更に下

 地面すれすれを縫うように滑り込むことで斧を回避し、ゲンブに一撃を入れる


「ぬうっ」


 しかし、ゲンブは何とか引き戻した斧の柄で剣を防ぎ、両者はつばぜり合いになった


「へぇ、いつでも雷撃が出せるわけじゃないのね」


「くっ、蛮族風情が調子に乗るんじゃない! ふんっ」


 ゲンブが力を籠めると、それには乗らず、サナは距離を取る

 流石のサナも純粋なパワーではまだ勝てない




 同時刻


 裏口からは、シーチ達が忍び込む

 全員フードを被り、秘密の抜け道を通ってやってきた

 集団の中央には、王族の装いをした人物も紛れ込んでいる


「いやいや、まさかこれで裏をかいたと思ったのですか? ユーノラ様」


「あの時の黒い鎧」


 先頭を歩くシーチの前に、黒い鎧をまとった王宮親衛隊隊長ギュノスターが姿を合わす


「おや、先頭はどこかで見たと思いましたが、ちゃんと切り捨てずに申し訳ないことをしました。今回はちゃんと殺してあげますよ」


 ギュノスターは腰の剣に手をかける


「あらぁ、誰を殺すのかしら」


 集団の中から二本の刀を下げた人物がフードを外して、前に出る


「お前は、あの時の女」


 その姿を見たギュノスターからは憎々しげな言葉が漏れる


「女とは失礼ね、私にだってちゃんと名前があるのよぉ」


「ほう、じゃあ名乗ったらどうですか、殺す前に聞いてあげますよ」


「あらぁ、人に名前を聞くときは自分からって習わなかったのかしらぁ」


「……王宮親衛隊隊長ギュノスター」


「そう、でも残念、私はあなたに名前を教える気なんてないわよぉ」


「そうですか、いちいち癇に障る女ですね。そのやかましい言葉の続きは地獄に落ちてからにしてもらいましょう」


「せっかちねぇ、ふふふ、地獄に落ちるのはどちらかしらね。シーチちゃん達は先に行って」


「了解」


「させません、こいつは私が殺します。お前たちは、他の連中をだれ一人通すんじゃないっ!」


 ギュノスターの後ろから、黒い鎧をまとった王宮親衛隊がシーチ達に迫る


 サナ達が正面で戦う中みゅうみゅう達の戦いも始まった




「報告、ギュノスター様の方でも敵と交戦との知らせをうけました」


「ふはははは、なんだ最後の牙はこの程度か」


 国王ゼオにとって裏からの奇襲は想定の範囲だった

 その為、初日以外は王宮に最高戦力であるゲンブとギュノスター、それに精鋭の王宮親衛隊は温存していた

 正面は近くまで迫られたらしいが、ゲンブがいるうえ、着々と増援が増えている

 時間の問題だろう

 裏は少数、ギュノスターを抜けられるはずもない


 既に国王ゼオは勝利に酔いしれるのであった


いよいよ4章も終盤でし


読んでくれてありがとうでしー!

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