Ep85 ユーノラの正体(真)
互いに簡単な自己紹介を済ませ、サナたちは会議室の様な中央にテーブルがあり、その周りを椅子が囲った部屋に案内される。
「で、この後どうするつもり」
「貴様! いきなり現れて何様だ! ユーノラ様に無礼ではないか!」
サナの態度にユーノラの横に立っていたリザードマンが声を荒らげる
「なによ? 一番偉そうなやつに作戦聞くのが効率的でしょ。で、どうするの」
「このガキが、立場の違いを分からせてやる」
「やるの? いいわよ」
サナは不敵に笑い、目をぎらつかせ、二人はそれぞれの武器に手をかける
「ドッジやめろ!」
「サナも、喧嘩しに来たんじゃないでしょ」
ユーノラと風香がそれぞれ止めに入り、二人はしぶしぶと引き下がる
「部下が申し訳ない」
「いえ、こちらこそ礼儀をわきまえずに申し訳ありません」
「ツナ吉とシーチは私の恩人だ。その仲間であるこの二人も同様だ。それに、我々には余計な争いをしている余裕はない」
ユーノラは部下たちにそう言うと、改めてサナと風香の方を向き
「二人とも話しやすいように話してくれて構わない。作戦はある。意見があるなら教えて欲しい」
サナは腰を下ろし、風香は小さく謝罪をして元の場所に戻る
「作戦と言えるほどのものではないかもしれないが、王冠を奪おうと思っている」
「王冠ですか?」
「ああ、ドワーフ王の王冠は初代から伝わる品で、王冠に認められた者が王となれる」
「その言い方をするってことは、現王は王冠に認められてないのね」
「っ! そうだが……なぜわかったのだ?」
サナの発言に、ユーノラが驚いたように言葉を返す
ユーノラとしてはそこまで情報を開示するつもりはなかった
知れば王国からサナたちまで狙われてしまう
「はぁ、そんなにわかりやすく王を決める道具があるのに、あなた達は排斥されてる異種族を屋敷でかくまってるじゃない。つまり、まだ勝ち目があるってことでしょ」
「……そうだが」
「なによ、はっきりしないわね。戦いならあたしが力を貸してあげるわよ」
「サナ殿、その気持ちはうれしい。しかし、王国を相手にすることになるのだぞ!」
「そうね、楽しみだわ」
フフフとサナは嗤う
「はぁ、ユーノラさん、彼女はあれで普通ですから。それに、私も仲間が罠にはめれれて、黙っていられる程できた人間じゃありません」
風香も今回の事件に対して怒りを感じていた
許せるものではない
それに、王都に潜伏したときのドワーフの兵士たちの実力を考えると、十分にやれるという打算もあった
「ユーノラさん、俺も手伝うっすよ」
「団長がやるっていうなら、私もダメ兄も参加確定」
「しかし、危険が」
「やるの? やらないの?」
「……すまない、力を貸してほしい」
ユーノラは申し訳なさそうに、サナたちに頭を下げる
「ユーノラさん、王冠ってそんなに簡単に盗めるんですか?」
話題を変えようと、風香がユーノラに質問する
「金庫には王族なら入ることができる。そこまで何とかたどり着くことができれば、王冠を得ることは可能なはずだ。幸い、王の甥はここにいるからな」
改めてユーノラは作戦の骨子を説明する
「それで、その甥ってどこにいるのよ?」
「団長何言ってるんっすか、目の前のユーノラさんがそうっすよ」
「はぁ? この子は女でしょ」
何をわけのわからないことをといった顔で、サナは全員を見回す
「「「っ!」」」
その言葉に、サナ以外の全員が息をのむ
「ちょっと、流石にそれは失礼よサナ」
「団長、ユーノラは男って言ってた」
「そうっすよ、姐さん」
「風香はごみ箱にまみれすぎて目が腐ったの? あんた達も、どっからどう見たって、ユーノラは女よ。そうでしょ?」
「私は、私は……」
「はぁ、何か理由があるのかは知らないけれど、偽りのままではいつかうまくいかなくなるわよ」
そこまで言い切ったサナは「寝るわ」と言って一人部屋を出て行ってしまった
「本当なんですか?」
恐る恐る風香がユーノラに尋ねる
「……この場でうそをついても仕方ありませんね。はい、私は女です」
「ユーノラ様っ!」
「ドッジ、いいのです。サナの言う通りです、私はこれまで自分を男だと偽って生きてきました」




