Ep82 永久の眠りを
Side サナ
「邪魔よ」
弱すぎる
弱すぎる
弱すぎる
何なのよ、この歯応えのない相手は
こっちは団員攫われて、楽しく闘えなくてむしゃくしゃしてるってのに
もっと、もっと強い相手をよこしなさい
せっかく堂々と国相手にケンカできるってのに、何よこの体たらくは
あんた達、それでもドワーフなの
すっごい武器とパワーが自慢じゃないの
棒っきれ振り回す肉団子しかいないの
イライラするわぁぁぁぁあああああああああ
真っ黒の服に、黒い剣で殆どの兵士はサナを認識できずに打ち倒されていく
ツナ吉達の姿は目端に捉えつつ、障害になりそうな兵士を排除していくサナ
ツナ吉を先導している人物は、相当この町に詳しいのだろう、気付けば追手を上手く捲工房区の一角を走っている
戦う相手すらいなくなったサナは、更に苛立ちを深めていく
大きい洋館にこっそりと入っていくツナ吉達を見届け、サナは嗤う
とりあえず、無事は確認できた
風香達が心配ね
特にあの剣士はよかったわ
みゅうみゅうも手こずりそうだったし、残ってたら私の獲物ね
再び、闇夜の中サナは駆けだした
Side 風香
「いい加減死んでもらえませんかね」
「あらぁ、もうばてちゃったのかしらぁ」
広間に戻ると、まだ2人は戦っていた
どちらもまだまだ余裕そうな顔をしているが、いくらかみゅうみゅうさんの方が部が悪そうだ
手数では、双剣のみゅうみゅうさんの方が上だろうが、ドワーフの男は余程剛腕なのだろう、全ての攻撃を両手で捌かさせられている
互いに一進一退
しかし、防具の差でみゅうみゅうさんは何箇所か怪我をしている
「みゅうみゅうさん! 」
「あらぁ、戻ってきたってことは、脱獄は上手くいったみたいね、よっと」
「私を無視してお話とは余裕ありますね」
「せっかちな男は嫌われるわよぉ」
「下等種族に好かれるつもりはありませんので」
「風香ちゃん、先に行きなさい、お姉さんなら大丈夫だからぁ」
「女ぁ! 」
無視されたのが癇に障ったのか、男さっきまでの落ち着きとは打って変わって男は叫ぶ
Side みゅうみゅう
「女ぁ!」
あら、意外と沸点が低かったのね
全く野蛮な人ね、美しさが足りないわ
風香ちゃんはよくやってくれたわ
これで私の目的も達成できそうね
「おらぁ、どうした、もう攻めてこないのかぁ!」
鬱陶しいわね
よしよし、風香ちゃんは出口に向かったみたいね
賢い娘は助かるわ
男の鋭い一撃がみゅうみゅうに振り抜かれる
くっ
やっぱり倒しきるのは面倒ね
めんどくさい時は、サナちゃんに投げる作戦ね
漆黒の鎧はドワーフ王国でも特別な騎士にしか着ることが許されていない
いくつかの薬品と金属を掛け合わせ、特殊な精製法で作られる装備は、王国内でも屈指の硬さと軽さを誇る
国王親衛隊長のギュノスターは苛立ちを覚えていた
それは随分としぶとい人間の女
2本の剣を巧みに使い、攻めきらせてくれない
自分は漆黒の鎧を国王陛下より賜った騎士だ
それが、どこの馬の骨か解らない人間の女に良いようにあしらわれている
みゅうみゅうはここまでギュノスターと互角に立ち回っているように振舞ってきた
実際は、周囲の兵士を上手く捲き込んで囲まれないように数を減らしたり、ここにある程度の兵士の目を集めたりといくつも仕掛けを重ねていた
ただし、攻めあぐねているのは事実で、みゅうみゅうの剣では全身鎧に致命打を入れるのは難しい
何度か、剣を当てているが余程工夫がなされているのか、関節部でさえまともに刃が通らない
なので、気付かれないように仕込みをしていた
風香が戻ってきたのはみゅうみゅうにとっては、僥倖だった
なんだかんだ言いながらギュノスターは、何度も風香に警戒して視線を向けていた
おかげで、必要な個所を崩し終える事が出来た
「さて、終わりにしましょうか」
みゅうみゅうがギュノスターから一歩距離を取る
「何だ降参か、死ねぇ! 」
ギュノスターは強烈な一撃をみゅうみゅうに叩きこむ
ふふっ
みゅうみゅうが笑う
ギュノスターは悪い予感を察知するが、既に遅かった
キュルン
ドンッ
みゅうみゅうは双剣を巧みに使い、ギュノスターの剣を上に巻き上げ、天井にぶつけて大きな衝撃を洞窟に伝える
そして
どざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざ
天井が崩れた
「なに、ぐはぁぁぁぁぁああああああああああ」
いつの間にか安全圏まで退避したみゅうみゅうは、そのまま姿を消した
その日、ドワーフ王国の地下牢から330名を越す囚人が脱獄した
主犯は、人間の男と女
ツナ吉とシーチには莫大な懸賞金がかけられた
おまけは、時間の都合上カットしました
ごめんなさいでし




