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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第四章 光の王冠と土精王国
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Ep81 地下牢潜入戦

 王宮の地下牢で事件が起きたらしい

 下っ端兵士にはそれくらいしか情報が伝わっていなかったみたいだ


 サナのこぶしによる交渉の結果、おおよそなぜあの一帯が慌ただしかったのはわかった

 その後も何人か巡回している兵士さん達にお話を聞いた(サナの拳で)が、皆一様に地下牢で問題が起き、上から緊急出動要請が出たらしい。


 そろそろこの周囲で巡回の兵士が戻らないことから、襲っていることがばれる可能性が出てきたため、二人は適当なドワーフ兵から装備を奪い、騒ぎの現場へと移動していった




 現場は余程混乱しているのか、周りの兵士達はサナ達を気にかける様子が無い

 顔には少し煤をこすりつけ、体格は鎧に詰め物をしているので、よく見られない限りは下っ端のドワーフ兵に見えなくもないだろう


 他の兵士達にまぎれながら、地下牢へと足を踏み入れる

 平屋の建物の中は、空気がしめり土臭い

 本来であれば厳重に門が閉められているのだろうが、今は全開になっている


 各所で小奇麗な鎧を着た隊長格が声をあげ指示を出している

 どうやら、対象はかなり出口まで迫ってきているらしい



「っ」


 突然サナが後ろを振り返る


「先に通してもらいますよ」


 漆黒の鎧を身に付けた大柄のドワーフがサナ達を押しのけて前に進む


「全く、面倒事を起こされては困るんですよ」


 そんな言葉を呟きながら、通路の先へと消えていった




 そんな背中を見送り、サナが不意に顔を近づけてくる


「あいつ相当やるわね、ちょっとあの二人には荷が重いか、風香、あいつを追うわよ」


「でも、もう見えなくなって」


「あんだけ気配がだだ漏れなら問題ないわ」


 風香にはさっぱりわからなかったが、戦闘馬鹿サナが言うのだから間違いないだろう

 小さくサナに頷き返し、後を追っていく




 少し進むと、急に金属と金属がぶつかり合う音が聞こえた

 既に、サナと風香のメインウェポンはストレージから出現させてある

 この薄暗い中、武器の違いをわざわざ指摘する者などいない


 突きあたりを左に曲がると、ピンクの髪の少女が壁に向かって吹っ飛んで行くところだった


「シーチちゃん! 」


 武器を構えて、突っ込もうとする風香の手を慌ててサナは引き留める


「問題ない、まさか彼女も来てるとわね」


 手を引かれてサナの方を振り向いた瞬間、剣劇が聞こえる


「あれって、もしかして」


「ええ、みゅうがあいつを引き付けるならあそこは大丈夫よ。それよりも、一緒にいるのが誰かは知らないけど、シーチを背負いながらだと、この先を突破するのは難しいわね」


 サナの言葉の通り、漆黒の鎧のドワーフとみゅうみゅうが対峙しており、その脇をシーチを背負ったツナ吉と謎の人物が通り過ぎていく


「風香は、みゅうのフォローをしに行きなさい、あそこで暴れれば警備の目のいくらかはあっちに向くはずよ」


「でも、サナは」


「もちろん、露払いよ。ツナ吉の後ろにひっついてる奴が何者か解らないから、裏からフォローするわ。後で会いましょ」


 風香は一瞬逡巡するも、頭を振りみゅうみゅうの方へと走っていく


「任せたわよ」


 小さく呟くと、サナは駆けだす




Side風香


 戦闘の時の決断の速さはさすがだと思う

 本来であれば、みゅうみゅうさん方にいって、あの黒い鎧の男と戦いたかったに違いない


 サナと互角に戦ってたみゅうみゅうさんが、足止めしかできない相手

 ランク4のガーディアンゴーレムとの戦いで4体を相手に立ち回っていた、あの当時のみゅうみゅうさんに私がまだ追いついているとは思えない

 下手に助太刀は、むしろみゅうみゅうさんの邪魔だろう、私は周囲のドワーフ兵に斬りかかる

 さっきまで出していた、剣をしまい、兵士達の持っている質の悪い剣に持ち替える

 威力は落ちるが、乱戦に引き込むにはもってこいだ

 みゅうみゅうさんと黒い鎧の男を除けば、この場にいる兵士達の格好は私も含めて殆ど同じ

 装備まで統一してしまえば、この場に入り乱れたドワーフ兵士達は混乱するだろう


 しかし、それだけだといずれ押し切られてしまう

 私にはサナ達の様な、他を圧倒する武力は無い

 兵士達が兜を脱いで、お互いを確認し始めるころ、私は極力気配を消してその場から離れる


 みゅうみゅうさんはまだ戦っているみたいだが、うまく立ち回っているようで囲まれてはいないようだった

 互いに激しい打ち合いをしている為、他の兵士達は介入できずにいる


 兵士達の目をかいくぐり、鎧を脱ぎ、盾を取り出す

 そして、そのまま牢屋の一つに突っ込む

 盾の防御力と突破力を一時的に上昇させるスキル、『盾突進』である


「そこから離れて! 」


 そう言って、簡易に作られた入口の扉を壊す


「うぉっ、なんだねえちゃん、人間か」


 中にいたドワーフ達が驚きつつも、一人が声をかけてくる


「話は後よ、今なら脱獄のチャンスじゃないかしら」


 そう言って、自分が突き破った入口を目で指し示す


「がははは、マジか、やったぜ、ありがとなねえちゃん、こんなかび臭いとこにうんざりしてたんだ」


「別に感謝入らないわ、できたら他の人たちも解放してあげて、逃げる人数が増えれば脱獄しやすくなるでしょ」


 そう言って、ストレージに入っていた補修用のハンマーを地面に転がす


「おお、なるほど! よし、お前ら隣の連中も助けてやれ、外側からなら鍵をぶち壊せるだろ」


 彼がリーダー格なのか、テキパキと指示を出し、彼自身もありがとなと言い残し、外へと飛び出して行った


「なんだか、私までサナの影響を受けてきた気がするわね」



 その後も風香は何箇所も牢を壊し囚人を次々と外へ脱獄させる

 

「そろそろ引き時ね。これで、少しは追っての目をごまかせられるかしら」


 風香はそうつぶやくと、再びみゅうみゅうが戦っていた広間まで駆けていった




おまけ


「うはははは、ここの魚は全てリーの手のひらの上で踊っているにすぎないでし! 」


 左手は腰に、右手は竿を握りしめ、リーフは川に向かって仁王立ちをする



 3分後



「あきたでしー! なんで釣れないんでしかっ」


 そう言って、地面に竿を放り投げる


「そもそも、こんなちまちました方法がリーには合わないでし、木の精霊たるリーの力、刮目かつもくして見やがるでし」


 腕をまくって、リーフは川に飛び込む


 じゃばーん


 ……


 …………


 ………………


「いたいいたいいたいいたいでしー、リーおいしくないでしよ」


 頭を魚に齧られながら、リーフが川から飛び出てくる

 地面に転がってなんとか魚をひきはがす


「ふっふっふ、どうでしか、魚ごときが木の精霊であるリーに勝負を挑むなんて100年早いでし」


 草の上でぴちぴち跳ねる魚に、ビシッと指をさして宣言する、びしょびしょドロドロの木の精霊

 今日も彼女は絶好調であった




 ちなみにその後

「きたねえ体で作業場に入ってくんじゃねぇ」

 と、ヒロの手によって川へともう一度ダイブさせられるのであった


読んでいただきありがとうございます

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