↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第四章 光の王冠と土精王国
82/113

Ep79 排他主義はコソ泥を生み

 王都バルカムに到着した日の夜、私とサナは城下町の一角にある宿屋で向き合っていた


「で、これからどうするのよ風香、これ以上待つのは嫌よ」


 サナは少し苛立ち気味に問いかける


「ちょっと落ち着きなさいサナ、まずは調べてきたことを話すわ」


 私達が王都に着いてから既に半日以上、即断即決の彼女の我慢はそろそろ限界だろう




 最初は、すぐにでも王城に突撃しそうなサナをなんとか引きずって宿まで来た

 拳以外の交渉スキルを持ち合わせない彼女に、騒ぎを起こされるとツナ吉君とシーチちゃんの生存率が下がるリスクがあるので、宿から出ないで大人しく待っててもらう為だ

 いつもなら、確実に外に出てトラブルの1つや2つは巻き起こしてくるのだけど、今回は我慢していたようだ


「改めて、やっぱりドワーフは徹底的に排他主義みたいね」


 そう言って私はバルカムで集めた情報を整理して、サナに話し始める



 城下町はどこを回ってもドワーフばかりで、他種族、特に首輪が付いていない者はかなり少なかった。

 ちらちらとドワーフ達の視線を感じるが、トラブルにならないように目線を合わせず、足早に周囲を観察していく


 大通りの途中で、人間の商人の店を見つけたのでお金を握らせて情報を聞いた


 どうやら、ドワーフの国では現在の王が就任してから他種族排斥の力が高まってきているらしい

 10年前には一部の種族が、そして現在ドワーフ以外の種族の奴隷を合法化する法案が可決され、施行を待っている状態だそうだ

 彼は長いことこの国で取引してきたのだが、もしかしたらこれが最後になるかもしれないとこぼしていた

 

 他にも何人か捕まえて、同様に質問していったが、誰もかれもがこの国から去らなければ危険だと話していた

 

 怪しまれない程度に、ツナ吉君とシーチちゃんの話を振ってみたが、捕まる亜人が多すぎてめぼしい情報は手に入らなかったが、罪人は基本的に王宮の近くにある牢屋に入れられているそうなので、2人もたぶんそこにいる


「ふーん、じゃあ王宮まで行けばいいのね」


 それはわかりやすい呟きながら、サナは立ち上がろうとする


「ちょっとまって、王宮までは今いる城下町から市街区、工房区と2つの地区と3つの門を超えなくちゃいけないのよ」


 特に工房区から先は機密情報を扱っている為、警備も厳しくなっているらしい

 その上、現在の政策の為か市街区もドワーフ以外はほとんど住んでいない為、人間の私達は確実に目立つ


「大丈夫よ、場所さえわかればね」


 自信満々にサナが宣言する




「ちょっとサナっ、これはさすがに」


 風香が小さな声で叫ぶ

 

 夜もだいぶ深まり、多くの住民たちが寝静まった時間帯、風香達は市街区と工房区の壁の途中にいた

 正確に言うと、風香を背負う形でサナが壁を登っていた


 サナが示した王宮までの道筋は単純にまっすぐ突き進むことだった

 騒がれると面倒なことになることは理解しているのか、正面から兵士を切り捨ててという手段はあきらめたみたいだが、これも力技であることには変わりなかった


「何言ってんのよ風香、これ以上優れた方法はないでしょ」


「いやいや、途中で見つかったりしたら」


「それは無いわ、あたしでさえ気配を察知できないレベルのやつがいるなら、もう少しそこら辺の兵士も強いはずよ。最低でも今のあたしと風香なら見つかっても突破だけなら十分できるわ」


 黒い衣装に身を包み、風香を背負いながらサナは軽々と壁を登っていく


 いちばん外側の城下町を出て、市街区に入るころから風香はサナに背負われている

 サポートや補助スキルにスキルポイントを振り分けている風香に対して、サナは全てのスキルが個人戦闘向け、その上ジョブレベルも風香よりも10以上高い

 肉体強化系はもちろん、夜目や気配察知、気配隠蔽、登攀など今回の様な行動にはうってつけのスキルが目白押しである

 特にサナのスキル『空踏そらふみ』は進化して、『空踏そらふみ2段』となりクーリングタイムが約5分まで縮んでいる

 サナの基礎能力も合わせて、約10メートル程度の障害なら三角跳びも加えて超えることが可能だ



それから、見つかることなく2人は工房区までたどり着くことが出来た


「問題はここからね」


 そう言って、サナは工房区の方を見て目を細める


 その先には煌々と光が灯る建物がいくつも建っていた

 市街区は夜の為殆どの家から明かりが消え、難なく警備の目をかいくぐり壁までたどり着くことが出来たが、こちらはそううまくいかなさそうだ

 中心が近いせいか、巡回している兵士の数も多くなっている


「こっからは覚悟決めていくしかないようね」


 そういって、サナは風香と自分を結んでいる紐に緩みが無いのを確認して


「ちょっと本気で行くから、舌噛まないようにね」


「えっ、ちょっ、サナ」


「声もあげないでね、いくわよ」


 そう言ってサナは近くにあった石を蹴飛ばした




おまけ


「うー、うー、うっうー」


「どうしたカバ太、何そうか、それはすごいな」


 俺はカバ太を撫でてやる


「うー!」


 俺に褒められて嬉しいのか、元気な声をあげて鳴く

 その光景を見て、興味深そうに隣のリーフが話しかけてくる


「師匠、カバ太は何て言ってるでしか」


「ん、いやどうも魚を焦がさず焼けるようになったらしいぞ」




 最近気まぐれで釣り竿を作ってみた

 きっかけは川に魚が泳いでいたからだ

 やはり日本人として米は今のところあきらめるにしても、魚は食いたい

 それに、いずれ釣りをしなきゃ手に入らない素材とかも出てくるだろう

 鑑定スキルもあるし、もしかしたらレアな素材もゲットできるかもしれない

 ちょうどいい機会だったので、持てるスキルを総動員して釣り竿を作った



「ふんっ、魚ならリーだって焼けるでし」


「そりゃそうだろ」


「なんでリーは褒めてもらえないでしかっ」


 リーフが不満そうにほっぺたを膨らませる


「あのなぁ、手があるやつが、4足の生き物と同じレベルの器用さアピールしてどうすんだよ。お前は新しい宴会芸の1つでも仕込んでこい」

 そしていつか大道芸で俺の研究資金を稼いでこれるようになれ


「むー、師匠なんて嫌いでし」


 そう言ってリーフはそっぽを向いてしまった




 昼飯になると、そんなことはすっかり忘れたようで、カバ太の焼いた魚を貪り食っていた

 やはり、精霊は単純な生き物らしいと改めて思うヒロであった


まさかの3000pvで驚いてます

一年以上休載していたのに、読んでくださる皆様に感謝いたします

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。