↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第四章 光の王冠と土精王国
73/113

Ep70 捕まった二人

 その日、ゼオルトでは裏の業界で老舗と言われる奴隷販売グループが姿を消した

 用意周到で堅実なやり口

 身寄りのない冒険者や旅人のみを狙う用心深さ

 更には多くの実績を積むことで得た膨大な経験

 規模こそ最大ではないが、高い成功率と品揃えの良さから一目置かれる存在であった


 今日も彼らが狙った獲物は商品として多くの富を引き寄せるはずだった


 見つけたのは水色の髪の女

 整った顔立ちに、知性を感じる双眸

 彼女を屈服させることは、支配欲に駆られた男たちの心の渇きを満たすだろう


 足取りからして、この街に来てまだ間もないのはすぐにわかった

 その上、不安そうにして駆け回っている

 獲物としてはこれ以上ない素材だ


 不安、恐怖、怒り

 心が揺れている人間は陥れやすい


 声をかけて、話を聞けば仲間を探しているらしい

 知っているふりをし、さらに不安を煽ってやれば簡単に彼女は彼らを信用した

 さらに喜ばしいことに、仲間の女冒険者も連れてきてくれるそうだ

 二人ならば計画に支障はない

 数ある誘導コースから最適なルートを選び出し部下たちに指示を出す



 捕獲する準備が完全に整ったところで、水色の髪の女冒険者が仲間を連れて戻ってきた

 連れの女冒険者も上玉だった

 鋭い目つきだが、極上の美少女

 さして手入れをしているようには見えないが、綺麗な赤髪にみずみずしい健康的な肌

 相応の調教きょういくを施せばその美貌は更に輝くだろう


 奴隷商の男はこみ上げてくる感情をなんとか心の奥底に押し込め、何度となく行ったシミュレーション通りことを進めていく

 そして、捕獲スポットに到達した瞬間男は勝利を確信した

 …………



「結構アジトに残ってたわね。で、本当にこれで全部かしら」


 腹の底からドスの利いた声でサナが男に問いかける


「ひぃっ、はいっ、もうここで全部です」



 襲い掛かってきた暴漢達を叩き潰したサナは、そのまま奴隷商の男を問い詰めアジトまで壊滅させてしまった

 しかし、どこを探してもツナ吉とシーチの手がかりは手に入れることはできなかった

 いったい2人はどこへ行ってしまったのだろうか

 

 男を用済みとばかりに投げ捨て、サナと風香は思案する






 その頃、ツナ吉とシーチはゼオルトからいくらか離れた場所で、馬車に揺られていた

 逃げ出せぬように両手、両足に枷がつけられ、周囲には警戒する兵士まで付けられている


 なぜこのようなことになったのか

 話は少し過去へと遡る



 ツナ吉、シーチは今後の旅のために食料品を中心に買い出しに出ていた

 基本的に外での食事はシーチの担当である

 そもそもサナのギルドに入ったのも、効率的な食材集めのためだ、と言い張るほどにシーチは料理に関してはこだわりが強い 


 ちなみにツナ吉はただの荷物持ちである

 シーチは寄り道が多いサナの行動を計算して、毎回余分に材料を購入している

 その為、シーチだけではストレージの容量が足りないのであった


 


 そして問題は最後の店から出るとき起きた

 この時点でストレージの容量を超えてしまった二人は両手に大荷物を抱えていた、

 そんな時、突然警備兵らしき集団に槍を突きつけられたのであった


「うわぁ、一体なんなんっすか」


 いきなりの出来ごとにツナ吉が非難めいた声を上げる

 過去に似たような出来事がなかったわけではないが、たいていとある人物が原因を作っている

 しかし、今回はそんな前兆はなかった

 いや、まぁ既に何か姐さんならやらかしてるかもしれないけれど……


「貴様らには国家反逆罪の容疑がかけられている、おとなしく我々と来てもらおうか」


 隊長らしき男の口から信じられない言葉が出た

 国家反逆罪


「いやいや、俺達そんな大それたことに手を出してないっすよ(ですよね、姐さん)。俺達みたいなしがない冒険者にそんな大それたことなんてできないっすよ」

「このダメ兄がそんなことできるようには見えない」

 

「むっ、しかし貴様らはこの街で危険物を大量に購入していると聞き及んでいる」


 この発言を聞いてツナ吉は疑問を抱いた

 まず姐さんがそんなまどろっこしい手を使うはずがない

 彼女なら領主を殴るとか、城を壊すとかだろう

 風香さんに関しては言うまでもない


「もしかして、誰か他の人物と勘違いしてるんじゃないっすか? 俺達は食料を購入しているだけっすよ」


「ふむ、しかしだなぁ」


 隊長も思案顔になっている

 このままいけば疑いが晴れそうだ

 こんなところで足止めをくらっていたら、後で姐さんに何を言われるかわかったもんじゃない


「泊まってる宿を教えるっすから、一回帰らせてもらえないっすかね。心配なら付いて来ていただいても構わないっすよ」


「そうだな、確かにお前らがそんな凶悪犯には見えん。わかった、それじゃあ部下を付けるから、疑いが晴れるまでは申し訳ないが監視させてもらうぞ」


「わかりましたっす。真犯人、捕まるといいっすね」


「ああ。っと、そうそう、一応確認なんだが、ゼルダ草の根、モルゲントスパイダーの針、ゲブラフーの肝とかは一切所持してないよな」


「何なんっすか、それ?」


「今回の犯人が購入した物品だ、他にもいくつかあるんだが、うまく調合すると猛毒が生成できるんだよ」


「うわー物騒っすね、とりあえず俺らの荷物チェックしてみるっすか」


「いやぁ、すまない、これも仕事だからね」


「……あっ、ダメっ」


 顔を真っ青に染めたシーチが珍しく慌てた声を出す

 そして、ツナ吉の差し出した袋からは、まさに先程隊長の言っていた危険な素材が出てきた


「これはっ、こいつらを直ちに引っ捕えろ!!!」


「えっ、えっ、シーチこれはどういうことだよ」


「……うかつだった」


 こうして二人は御用となったのである



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。