Ep67 サンドルクに三度来る
本日二話目です
二章の終わりまで時間が戻ってます
結構時間も空いたので、簡単な捕捉
サナ、風香、ツナ吉、シーチは森に行方不明者の調査に来た
途中でPKと戦い、相手は昔の知り合いみゅうみゅうだった
みゅうみゅうを仲間に加え5人になったサナたちは、森の奥にいる強力な魔物コマンダーゴーレムと戦闘になる
ピンチになるも、影からヒロの支援によりなんとか勝利したサナたち
ヒロがドワーフの街で鍛冶に勤しんでいる頃、彼女たちは何をしていたのか
といった感じです
一行はコマンダーゴーレム達を倒した後、素材の回収を行ってサンドルクに戻ることにした
サナは更に戦闘を望んだが、角御門から今回の報酬を前払いでだいぶもらったため、渋々ながらも風香に押し切られる形となった
帰りは大した魔物も出ず、レベルアップしたサナたちの敵ではなかった
特に、新しい武器を手に入れてご機嫌なサナは一際楽しそうに暴れまくっていた
「じゃあ、私はここら辺で抜けさせて貰うわよぉ」
街の手前の分岐路でみゅうみゅうが突然切り出す
「えっ、みゅうみゅう姉さん別行動なんっすか?」
「一緒に行くと思ってた」
「あらあらぁ、嬉しいこと言ってくれるわねえ、二人とも可愛いわぁ」
そう言って、ツナ吉とシーチを抱きしめる
「ちょっ、みゅうみゅう姉さん」
「くるしい、それとダメ兄は鼻の下伸ばしすぎ、気持ち悪い」
「うっ、シーチ見てもいないのにそんなこと言うなよ」
「見なくてもわかる」
「あらあらぁ、本当に二人は仲良しねえ、お姉さん羨ましいわぁ」
そんな二人のやり取りを見て、みゅうみゅうはうふふと楽しそうに笑う
「あの、それで私たちと分かれて何をするんですか?」
「あら、風香ちゃんは私が何をするのか気になっちゃうのかなぁ。うふふ」
「はぐらかさないでください、私は森であなたに助けられましたが、あなたはPKをしていたという前科があるんです、それを野放しにするのは……」
「風香」
サナが、風香の肩を掴み言葉を遮る
「みゅうはそんなつまんないことをする奴じゃないわ、やっぱり探してるんでしょ? それに気を使いすぎよ」
「あらぁ、サナちゃんは私のこと随分と買ってくれるのねえ、でもそれはどうかしら、あなたの期待を裏切っちゃうかもしれないわよぉ」
みゅうみゅうは挑発的に嗤う
「ふんっ、勝手に言ってればいいわ、ほらっ、早く行くわよ、さっさと報告して次の場所に挑みに行くわよ」
サナはそのまま街の方へと歩いて行ってしまう
「ちょっと、サナ。みゅうみゅうさん、私はまだあなたのことを信じたわけじゃないですよ」
小さな声で、風香はみゅうみゅうにキツめの口調で言い放つ
「あらあら、怖いわねえ」
「それじゃあ、みゅうみゅう姉さんまたどこかで会いましょうっす」
「みゅうみゅう、また」
そう言って、兄妹もサナの方へと走っていった
「……」
しばらくの間、小さくなっていく4人を見送っていた彼女は小さく何かを呟くと、一人別方向へと姿を消すのであった
「おお、サナ、風香戻ったか」
あたし達が『旭の騎士団』のギルド本部の中に入るとちょうど角御門と出くわした
『旭の騎士団』の連中の中にはあたし達のことを嫌う者もいるので、ラッキーなタイミングだった
実力者ならともかく、覚悟のない雑魚と戦っても時間の無駄だ
にしても、いつ来ても角御門がいる気がする
もしかしてコイツ本当は暇なんじゃないかしら
サナはそんなことを考えつつ、他の仲間と一緒に角御門に付いて彼の執務室へと入っていく
「いや、本当によく戻ってきてくれた、まぁ座ってくれ」
彼の執務室は相変わらず飾り気がなく、装飾品も最低限しか置いていない
元々ゲーマーとして戦いや冒険が好きだった彼はこういうところは昔から無頓着である
しばらくすると、ドアがノックされ一人の女性が人数分のお茶とお菓子を運んできた
風香はその姿を見ると、急に声を上げる
「もしかして、レイナ?」
「嘘っ、風香? 団長から風香と会ったって話を聞いてたんだけど、もしかして森の調査に行ったのって風香達だったの」
レイナと呼ばれた金髪の女性は風香を見ると非常に驚いた顔をしていた
「風香さん、レイナさんってもしかして、『閃華』のレイナさんっすか」
「そうよ」
「相変わらずダメ兄は女の情報に詳しい」
「いやいや、シーチ待ってよ、『閃華』といえば超有名プレーヤーじゃないか」
『閃華』のレイナ
前のゲーム時代風香や角御門と共に同じギルドに所属していたメンバーで、『覇剣』を除いた女性プレーヤーでは最強の一角と言われたプレーヤーでもあり、細剣を使った高速剣術が持ち味である
美しい見た目も相まって、いつしか『閃華』と呼ばれていた
有名ギルドで副ギルド長をやっている上、イベントにもよく出ていたのでツナ吉の言うことは間違っていなかった、が
「変態」
「いやいやいや、おかしくないか」
いつものように兄妹のやり取りが発展していく
いい加減に慣れた風香は二人のじゃれあいをスルーして、レイナに話しかける
「レイナもこっちにいたのね」
「当たり前でしょ、まぁこんなことになるとは思ってなかったけどね」
「あのー、二人とも悪いんだけど報告を聞かせてもらってもいいかな」
「あっ、すみません団長っ」
「ごめんなさい」
困ったように笑いながら話しかける角御門に、風香とレイナは頭を下げる
それからサナたちは、みゅうみゅうのことも含め、森の奥にいたコマンダーゴーレムのことを話した
「そうか、それで、サナはどっちが原因だと思う」
話を聞き終えた角御門はいの一番に質問を投げかけた
メンバーを殺したのはどっちだ、と言葉は濁しているが聞いてきたのである
「魔物ね」
「即答か、どうしてそう思う?」
「みゅうを疑ってるみたいだけど、別に同じギルドだったから庇ってるわけじゃないわよ」
「何か証拠でもあったのか」
「そんなものなかったわよ。ただ、証拠……そうね、強いて言うなら勘よ」
「勘……それで我々が納得するとでも?」
今まで温厚だった角御門から怒気が滲み出る
サナ以外の全員が何も言えずに固まる
千以上の人間をまとめてきたカリスマを持つ角御門のプレッシャーは、それほどだった
しかし、サナは涼しい顔をして言い返す
「頼まれた仕事はこなしたつもりよ、それでも気になるなら自分で調査に行くなり、みゅうに問い詰めるなり勝手にすればいいじゃない。風香」
「あっ、はい」
突然サナから話を振られて、ビクッとなる
「報告書」
「えっと……はい」
サナは風香から報告書を受け取ると、そのまま角御門の机に投げる
「それで、もういいかしら?」
「ふぅ、いや、疑って悪かった、気を悪くしないで欲しい、お前と事を構えるつもりはない」
そう言って、角御門は肩の力を抜いて両手を上げる
それの伴い、さっきまで重苦しかった空気が一気に霧散する
「それで、話は変わるが、これから君たちはどうするんだ」
「もちろん、世界を回るつもりよ」
「どこかアテはあるのか?」
「ないわよ」
特になにも考えていなかったサナは即答する
「そうか、じゃあここに行ってみないか?」
そう言って、角御門は地図を取り出す
「どこよ、それ」
「こっから、だいたい北東の方だな、調査員の話だとこの先にはドワーフの国があるらしい。サナ、そういえば武器を探していただろ」
「ドワーフといえば鍛冶ってことね。まぁ、武器に関しては一応解決したんだけど、行ってみる価値はあるわね」
サナの発言を聞いた角御門が、怪訝そうな顔をする
「サナ、君が満足するような武器を手に入れたのかい?」
角御門にはそれほどの武器が、まさかこの短期間では見つかるとは思っていなかった
それほどまでに、彼女はよく武器を壊しているイメージがあったためである
サナは一瞬の逡巡のあと、情報料よと言って、ヒロから貰ったレッサーデビルトレントの剣改をストレージから取り出し角御門に見せる
街中では無用な争いを避けるため予備の剣と交換していたのだ
受け取ったサナの剣を鑑定した角御門は目を大きく見開いた
「……レア度6とはな、5すら見たことがないのにこれ程の品どうしたんだ?」
拾ったのよ、と言ってサナはごまかす
自分ですら会っていないヒロのことを彼らに教えるつもりはなかった
とりあえず一発殴らないと気が済まない
「それじゃ、あたし達は行くわよ。風香、報酬は受け取ってそれで旅の準備をしなさい。シーチは食料。集合は夜明けに正門前ね、遅れたら置いてくわよ」
「姐さん、オレは何をすればいいんっすか?」
「んなこと自分で考えなさい」
「ぐへぁっ」
「相変わらず、ダメ兄はダメ兄」
そう言って、サナは足早に退室してしまった
「ちょっと、サナっ」
私が声をかける頃には、サナは扉の外へと消えていた
「苦労してそうだな」
「角御門団長、いえっそんなことは……」
「ふっふっふ、表情が隠しきれていないぞ、それにあれはサナなりの気使いだろ。レイナ、午後の仕事は置いといていいから、少し風香に付き合ってあげなさい」
「いえ、それは……」
「久しぶりの再会だ、息抜きくらいしてくるといいだろう」
「はい、ありがとうございます」
レイナと風香は頭を下げて執務室から出て行った
(ふむ、やはり引き篭ってるばかりでは何も進展しないか)
その夜
仕事を終えた角御門はレイラを執務室に呼んだ
「久しぶりに話してどうだった」
「はい、いろいろと懐かしい話ができました」
「それは良かったな」
「はいっ。でも、いいんですか?」
「なにがだい」
「昼間、『覇剣』が言っていた言葉です。もし『風穿』が犯人なら……」
「そのことか、まぁ確かに彼女がPKを始めたら相当な被害が出るだろうね」
「だったら」
「サナは武が一方的に注目されたいるプレーヤーだが、私は人を見ることに関しても相当に優れていると思っている。その彼女があそこまで言うんだ、もう少し様子を見てみようと思っている」
それに、角御門としては極力同郷出身者を手にかけたいとは思っていなかった
昼間はプレッシャーをかけて揺さぶってみたりもしたが、内心はサナが違うと言い切ってくれてホッとしていた
前のゲームでの実力者はこの世界でも貴重な戦力である
やすやすと失うわけにはいかない
サナ達を心配しつつ、角御門は天を仰いだ
次くらいから、余談を挟んでいけるといいなぁと思います
読んでいただきありがとうございます




