Ep59 防衛しましょ
「で、具体的にはどうするんだヒロ」
会議が始まるや、ガーラントはオレに話を振ってきた
さすがにどこの馬の骨ともわからんやつに、作戦全て丸投げは自殺行為なんじゃないのか
「オレが完全に作戦を考えていいのか?」
「ああ、構わない。これはこの中で唯一まともな軍の経験者であるスティグマと話して決めたことだ。他の者達からも先程了承をもらっている」
聞くところによると、スティグマは元ドワーフ王国の騎士団副団長だったらしい
人は見かけによらないな
つうかそこまで上り詰めたなら、バーストツリーくらいぶっ倒せるんじゃないのか
まぁ、そういうことは後で聞いてみるとするか
まずは、素材と道具の集積だな
すぐに住民たちに、武器や素材を集めてもらうように頼んだ
時間がないんだ、暇な人員はできるだけ少なくしたい
それから、オレはとりあえず作戦の概略をざっと話して会議は終了した
その後、製作ができるドワーフたちを集め石砲に必要な材料と素材の寸法を伝え、材料集めと切り出しを頼む
少しでも時間を短縮するためにそういった作業を依頼した
この村の技術水準では、最終加工や組立はオレが監督しなければならない
暴発でもされたらたまらないからな
そして、体力がある者をすべて集め、トンネルと周囲の工事を依頼する
この作業はスティグマが請け負ってくれた
塹壕とか土塁とかの知識があるらしい
流石はドワーフ王国で騎士をしていただけはある
住民もほぼドワーフなだけあって土木作業はやたら得意らしい
女でも下手したらオレよりパワーあるんじゃないか
こっちは任せておけば大丈夫だろう
おおよその指示を全員に出して、オレはガーラントともに街で一番大きな工房へと移動する
そこでは既に大量の素材が積まれていた
オレが切り出した材料を見ていると
「「「兄貴、お待ちしておりましたっ」」」
そこには厳ついドワーフ達が待っていた
ガーラントによると、彼らはこの村の実力がある職人達だそうだ
と言うか、兄貴ってなんだよ
そういえば昔もそんなこと言う奴がいたな
悪いがオレはまだ十代なんだが
どうやら、オレの石砲を見て実力を理解したらしい
まぁ尊敬してくれるのはありがたい
これならオレのスパルタにも耐えられるだろう
「なんだこの削りは、ガタガタじゃねえかっ! もっと気合入れて磨けや!」
「すいません、兄貴」
「兄貴、こんなもんでどうですか?」
「誰がこんな雑な仕事しやがれって言ったんだ、腰を入れるんだよ腰を!!」
「はいっ」
それから工房は戦場と化した
そもそも他と競争がない街ではなかなか向上心が湧かないんだろう、レベルが低すぎる
さすがに往年の職人である彼らはそこそこに技術はある
しかし、スピードや工夫が圧倒的に足りない
なんでオレが作業を10やる間に、ガーラントも入れて6人で2しかできないんだ
今も喝を入れながら手はマシーンのように高速で石を磨いている
しっかり作りこまないと、炸裂ドングリの発射に耐えられるものができない
一応破裂ドングリも少しは在庫があるが、さすがに十倍の相手とやり合うなら炸裂ドングリを撃てる石砲の数がそのまま戦局を決めることになるだろう
彼らに求めるレベルは1発でいい
ただ1発を撃つことに耐えうるレベルのものを作るのでもかなり難しいんだけども
どうせ、職人連中は戦う予定はないので2徹でも問題あるまい
ぶっ倒れるまで腕を振り続けてもらおう
オレは作業の合間に、投石器やバリスタなどの大型守城兵器も試作し、作り方を教える
こっちは手間がかかるだけで、設計段階でミスがなければ基本的には大した技術がなくても作れる
とりあえず手の余った連中にいくつかでも作らせることにした
攻撃手段はたくさんあった方がいい
昼夜作業を続けたおかげで土塁も中々のものになった
よし、これならいい戦いができるだろう
そこそこ時間がかかるが、石砲もいい感じで生産できているしな
オレ達は必死に出来る限りの準備をして、二日目の朝を迎えた
いよいよ今日は決戦の日
全員武装を着込み戦う準備はバッチリだ
戦えないものは、街の広場で待機している
オレも斧を担いで、一番前で土塁の上に立っている
「おい、ヒロお前寝てないんだろ」
そんな風にガーラントが心配そうに声をかけてきた
「なに、心配は無用だ」
そう、何の心配もする必要はない
そうじゃなきゃオレが最前線に立つわけがない
「スティグマさん、あっちから何かが」
「ついに来たか、全員迎撃態勢!」
スティグマの声が響く
流石は副団長だ、声がよく通る
時間がない中訓練された住民たちも、思いのほかいい動きをしている
自らの街を守るためだ、よほど必死にやったんだろう
だが、オレはそんなスティグマ達に声をかける
「まて、あれは味方だ」
「何?」
そんな話をしていると、森からカバ太とリーフが出てきた
そして、リーフはオレを見つけると、大きく手で丸を作る
「よし、オレたちは勝ったぞ」
「おい、ヒロいったいどういうことだ」
オレの発言にガーラントは戸惑ったような声を上げる
それもそうか、だって話してないからな
「ガーラントさん、あっち見てください、危機回避の狼煙が上がってます」
これにて、ドノッポイ防衛戦終了だな




