↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第三章 赤き老兵と豚の将軍
56/113

Ep53 萌え回(オッサンがね)

 バキィン


「なっ」

「はっ」


 オッサンの斧が砕け散った


「おいおい嘘だろ……」

「スティグマさんの斧が……」

「何者だ、あの人間」


 野次馬たちもこの結果に驚きのようだった


 しかし、別に不思議なことではない


 奴が買取で出した斧の鑑定結果がこれ



 粗鉄の戦斧(武器)

 切れ味:7.5 破壊力:12.3 耐久力:280

 品質:7 レア度:3



 オレが売ろうとしたのが



 石砕の石斧(武器) 

 切れ味:6.8 破壊力:20.9 耐久力:420

 品質:8 レア度:4



 どう考えてもオレに負ける要素はなかった


 その上、オレには一流斧術ふじゅつのスキルもある為、自分の斧にかかる負担をある程度流すことができる

 全く同じ性能でも、オレが勝っただろう

 こっちの世界に来てから、どんだけ硬いものと戦ってきたと思うんだ

 ちゃんと斧を振らないと、一振りでダメになっちまうんだぞ


 

「馬鹿な、俺様の斧が負けるなんて」


 そう言ってオッサンが膝と手を付き震えだす

 顔が下を向いているので、表情は窺えない


「なんだオッサン、負けて泣いてんのか」


「おい、ヒロ、流石にそれ以上の追い打ちはかわいそうだろ」


 慌ててガーラントが止めに入る

 しかし、オレに同情する気はない

 これは完全にオレを舐めてかかったオッサンの落ち度だ

 職人を名乗るなら、慢心して目が曇ったなど笑い話でしかない



「がっはっは、面白い小僧だ」


 突然起き上がったオッサンは笑い出した


「おいおい、急にどうした? 負けて頭のネジでも飛んだか」


「そうじゃねえ、いや、悔しいが俺の負けだ。悪かったな、お前は凄いやつだよ」


 なんだ、急に素直になりやがったな


「よし、とりあえずお前俺の家に来い」


「おい、ちょっと待てって、離せよ、ってどんだけ力強いんだよ」


 あっという間にオレはオッサンに手を引っ張られ拉致られた

 ドワーフのオッサンにお持ち帰りされるってどんだけだよ

 オレはノーマルだからな




「まぁ、とりあえずこれでも飲め」


 無理やりオッサンの家に連れてこられ、透明な液体の入ったコップを出された


「オレは、酒飲まないぞ」


「何言ってんだ、ただの水だ」


「ああ、そうか、しかし意外だな、ドワーフって酒しか飲まないんじゃないのか」


「なんだその偏見は、まぁ俺らに酒好きが多いのは否定しないがな」


 そう言って、オッサンが笑う



「それで、オレはなんで連れてこられたんだ、買い物もあったっていうのに」


「ああ、それは悪かったな、それでな、俺にもお前の石斧のつくり方を教えてくれないか」


 そう言ってオッサンは頭を下げる

 コイツは話を聞かない系だな


「おいおいやめてくれよ、オレに何のメリットがあるって言うんだ」


 ただでさえ、羽の生えた出来の悪い馬鹿弟子がいるというのに

 そんな時間はオレにはない


「もちろん、礼はする」


かねじゃあオレの気持ちは動かんぞ」


 ただの荷物にしかならん

 いや、潰せば材料になるだろうが、なんか罪を重ねそうで嫌だ


「何を言ってんだ、職人にとって報酬といえばこれしかないだろ」


 そう言って、オッサンが机の上に出したのは、何らかの金属のインゴットだった

 とりあえずオレは鑑定してみる



 グリュンライト(アイテム)

 品質:8 レア度:7

 高い硬度と滑らかな弾性を持つ金属

 加工が非常に難しいが、その分この金属によって作製された武器や防具は非常に頑強である

 まぁ、使いこなせたらの話だけどね



「なんだよこれ。これ使えばオレよりもっとすごい武器作れるだろう」


 オレの最高傑作でさえ、これには及ばない


「いや、俺にはそれを加工することができなかった、今まで作った武器で最高のはガーラントと合作で作ったあいつの斧だ」


「そういや、やけに良い斧を持っていたな」


 と、ガーラントの持っていた斧を思い出す


「ああ、あいつは昔馴染みだ。と言うかむしろ師匠がガーラントのことを知ってる方が驚きなんだが。奥さんが重病だったはずだが」


「さらっと師匠って呼んでんじゃねえよ。それと、メララならもう完治してるぞ」


「そんな馬鹿な、あれは相当な厄介な奇病のはずだ、治療に必要な薬はここら辺じゃ死のスポットと言われる場所にしか生息してないんだぞ」


「だからそこまで行って、魔物倒して、薬作ったんだよ」


「いくら師匠の武器が凄くても、あいつは」


 どうやらオレ達がバーストツリーを討伐した事を信じないないらしい

 なので、ストレージからバーストツリーの幹と炸裂ドングリを出す


「こいつは、たしかに奴の……本当に治ったのか?」


「だからそうだって言ってんじゃねえか、なんならガーラントの家まで行って確かめてくればいい」


「いや、大丈夫だ、というより、さっきガーラントの顔を見た時に本当はわかってたんだ。でも、信じられなくてな、そうか、治ったか」


 くそっ、人を疑いやがってと文句の1つでも言ってやりたいが、涙で頬を濡らす男に野暮なことを言う程オレは腐ってない




「しかしどうやって倒したんだ、まともに近づくことすらできないあいつに」


 ひとしきり号泣したオッサンが聞いてきた

 正直あまり話したくはないんだが、いずれガーラントから聞くだろう

 結果が変わらないなら、隠す必要もないので一通り話してやった



「……なるほど、精霊とは、師匠はやっぱりすごいな」


「だから、師匠って呼ぶんじゃねえ、というかオッサンがオレに師事を仰ぎたかったのって、ミュリーナ草を採りに行きたかったからだろ」


 話の流れを考えれば小学生でもわかる

 あいつを倒すために藁にでも縋るつもりだったんだろう

 じゃなきゃ、会ったばかりのこんなガキに、レア度7のアイテムなんか差し出すわけがない


 いつ加工できるかわかんない高レア度の金属よりも、すぐに作れるかもしれない武器というわけか

 このオッサンもメララ狙いなのか

 ドワーフはドワーフとくっついとけよ



「別にそういうわけじゃない」


 オッサンが顔を赤らめてそっぽ向くとか、誰得だよ


「そのクマと、過剰に作業しただろう手を見ればバカでもわかるわっ! これでも飲んで寝とけ」


「ぐへぁっ」


 オレは、ストレージから8級の塗り薬を木の容器ごと取り出してぶつけておいた

 これを塗っとけば不調なところはある程度良くなるだろう


「ふっ、余計なことをする師匠だ」


「だから、師匠って呼ぶんじゃねえよ」


 そう言ってオレはオッサンの家から出ていった






 手にはグリュンライトを持って

 ほら、薬代貰ってないし、相談料だよ、うん





余談


「カバ太、いけー」


「うーーーーーっ!」


 ダッダッダッダッダ


 カバ太がシエータを乗せて疾走する

 防具はシエータを乗せられるように、ヒロが鞍に改造してある

 ちゃんと落ちないように手綱付きだ


 ただカバ太に乗って走り回ってるだけなのだが、シエータは相当に気に入っているらしい

 エルフということもあり、中々友達のできなかった彼女はやっとできた友達と一緒にいるだけで満足だった

 天使のような笑顔を振りまく彼女に、街の人たちも頬を緩ます



 その中で1人ガーラントだけが建物の影から、最愛の娘マイエンジェルを取られたことにより涙を流していたそうな


 

 だからオッサンがハンカチ噛み締めて悔しがるのって誰得だよ


 きっとヒロがこの瞬間を見ていたら突っ込んでいただろう

 


  

読んでいただきありがとうございます

オッサン達がキモかわいくなくて(つまり気持ち悪くて)話が予定より進みませんでした

次くらいから章の区切りに向かうんじゃないかなぁと



超余談

「今回一言も喋ってないでし」

「こっちなんか、回想以外全然出てないわよ、と言うかなんでツナ吉の方が目立ってるのよ、納得いかないわ」

「変なのが出てきたでしー」

「何よ、天ぷらにするわよ」

「ひー、ししょー助けて欲しいでしー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。