↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第二章 苦労少女と守護人形
43/113

Ep42 ぷかーん

 夜通し走ったおかげで、夜明けまでにスタートの町の北西にある森の入口までたどり着くことができた

 途中他のプレーヤーと遭遇することもなく、上々の結果だろう

 背中がバカ弟子の涎まみれになってたカバ太を除いて

 相当にカバ太の背中の寝心地が良かったらしく、すうすう寝息を立てながら気持ちよさそうに寝ていた



 その後、少し森の奥に入ったところで川が見えてきた


「うーーーー!」


 それを見たカバ太は背中にリーフを括りつけたまま、川へと大きくダイブした


 相当不快だったんだな

 それでも、ちゃんとここまで乗せてあげる辺りはカバ太の優しさだろう

 オレなら、即引っペがしている

 誰のだろうと涎は気持ち悪い


 しばらく観察してると、リーフがもがきながら浮かんできた

 精霊も呼吸して生きていることは出会った時に実証している

 しかし、あいつは何かある度に窒息してるな


 っと、動きが急に止まったな

 ああ、足がつったのか

 そりゃあ昨日あれだけ死にそうな感じで歩いたからな

 日々トレーニングをしないからだぞ

 生産活動は体力を使うんだ


 ぷかーん


「あ、やべっ。おい、カバ太、早くリーフを引き上げろ!」


「うっ? うーっ」


 観察しながら、いろいろ考えていたらリーフが溺れていた

 木の精霊が溺死ってなんのギャグだ

 ゲームだと水は無効とか半減属性だろ



 

 とりあえず、リーフに問題はなかった

 一日中歩き通しで、いい加減オレも疲れたのでここいらで休憩していくことにした

 ここら辺は草むらも多く木々も密集しているので、多少カモフラージュをすれば簡単に発見されることもないだろう


 まともな冒険者から見ると、危機感とか警戒心とか薄いと言われるだろうが、そこは生産職だ

 スキルのレベルが上がったこともあり、あっという間に隠蔽率の高いまともな隠れ家を作ることができた

 総ビックビギナートレント製で、広さはあまりないが、かなり注意をしないと目視での発見は不可能だろう

 ついでに、周囲には各種トラップも仕掛けてある

 ここまでで一時間

 


 疲れていてもこだわるあたりは、さすがは生産狂人のジョブ持ちといったところだろう



 


 軽く仮眠を取り体力を回復させたヒロ達は、森の奥深くへと進んでいく

 目標はこのまま北の山脈へと抜けることだ


 β時代は北の山脈は進入禁止地区となっており、プレーヤーが少ないことを見越しての判断である

 あまりプレーヤーが立ち入っていないのであれば、手つかずのままで素材が多く残っているはずだ

 PKプレーヤーになっていることをいつの間にか完全に頭から抜け落ちたヒロは、まだ見ぬ新しい素材に思いを馳せながら、森を意気揚々と進むのであった


 ちなみに、リーフはあれだけ壮絶に溺れたにもかかわらず、ヒロが目を覚ますとケロッとした顔で肉を焼いていた

 精霊は想像以上に打たれ強いと、改めて考え直させられるのであった



 それから数日

 これといって強いモンスターも現れず、ゆっくりと森の中を進むヒロたち一行

 カバ太は言うまでもなく、ヒロの地獄の訓練を受けているリーフもそこそこに戦えるようになった


 特に、森に出てくるゴーレムはリーフにとっては非常にやりやすい相手であった

 なんせ精霊なので捕捉される前に接近でき、小柄で素早く更に飛べるリーフは軽々と相手を躱しながら翻弄していく

 地面に小石をおいて躓かせたり、空振りさせたり、ヒロが作った桶を被せて視界を奪ったりと大活躍であった

 ダメージは与えられないがそれで十分な貢献だ


 止めはヒロとカバ太がやってくれる

 なんせヒロはビックビギナートレントに斧を食い込ませるだけのパワーと、それに見合った品質の武器を持っている

 しかも武器は実質無限に補充できる

 ランク3のビックビギナートレント材はまだまだたくさんある上、ストーンゴーレムからもランク3の石が取り放題だ


 そして、カバ太はカバ太で急成長していた

 並の魔物であれば鎖鎌で、頑丈なゴーレムなどは後ろ足で蹴飛ばして倒している

 ヒロが助けた後、重い防具によってひたすら体を鍛えさせられ

 もりもりご飯を食べて

 ひたすら努力してきたカバ太である

 ヒロも面白がってどんどん防具を重くしていったのも相まって、いつの間にかパワーファイターになっていた


 ストーンゴーレムのパンチを額で受けた時にはさすがのヒロも驚いていたが、全く引けを取らず、むしろ押し返していた


 そんなこんながあって順調に歩みを進める2人と1匹




 そんなある時、遠くの方で戦闘音が聞こえた

 どこかでプレーヤーが戦っているのだろうか

 かなり激しい戦いをしているようである


 危険はあるが、こんなところまで入り込んでくるプレーヤーである

 確認せず離れるよりも、確認して戦力を把握しておいた方が何かと安全だ

 それにこっちにはリーフがいる

 とりあえず偵察してきてもらおう


 そして、ヒロは驚きの報告を聞いた

 見たことない大きなゴーレムと戦う赤い髪の女がいるそうだ

 それと、遠くで仲間と思しきプレーヤーも別のゴーレムと交戦しているらしい

 リーフの見た感じではどっちも芳しい状態ではないらしい


 赤い髪の女と聞いてヒロはなにか引っかかるものを感じた

 こんな森の奥でわざわざ強敵と戦う

 あいつの顔が頭をよぎる

 

 助けるつもりはなかったが、約束を破った手前もあり様子を見に行くことにした





 森の奥で目にしたのは、ランク5の魔物と戦う顔見知り

 かなり苦戦しているようだった

 現に今も1本剣が折れた


「ったくあいつは、相変わらずなんだから」


「えっ、師匠あの女の事知ってるでしか?」


 そんなヒロの独り言を耳聡く聞きつけたリーフ

「師匠も角に置けないでしねー」と肘でげしげしやってくる

 

 鬱陶しいと思いながらも、事態は緊迫している

「腐れ縁だ」と一言言って、リーフにストレージからあるものを取り出して押し付ける


「師匠これって」


「もともと、あいつに渡すつもりで作ったんだ、オレが攻撃した隙をついて渡してこい」


「えーもったいないでしよ」


「うるせぇ、言う事聞けないとお前の背中にキノコの胞子ぶち込むぞ」


「それは嫌でしっ、わかったでしよ」


 リーフが納得したところで、オレはストレージから最近作ったあるものを取り出す



 ストーンゴーレムの石砲せきほう(武器)

 切れ味:0 破壊力:25.4 耐久力:1400

 品質:8 レア度:3 射撃補正+3 威力上昇+2

 ビックビギナートレントの臼砲をストーンゴーレムの素材を使って強化した石砲

 石により精度と強度が上昇した

 素材の力をかなり引き出している

 合成砲身にしては中々やるね



 鑑定の解説に妙に人間味を感じるのは今更だが、かなりいいものができた

 石工はあまり使ってなくてスキルレベルが低かったので、ベースは同じランクのビッグビギナートレントを使った

 やっとまともな石材が手に入ったことで、今まで4発も撃ったら砲身がぶっ壊れていた臼砲が、こいつなら10発は耐えられる

 威力上昇も品質10のビックビギナートレントの臼砲改よりもいいものとなり、満足のいく一品になった


 少し距離はあったが、的が大きいのと、スキルの補助もあり後は射線上に来れば間違いなく命中するだろう

 そして、魔物が完全にあいつに気が取られた隙に発射する


 ズガァン


 発射された破裂ドングリは、しっかりと魔物に当たった


 その隙にリーフが剣を持って向こうに回り込むとこが見えた


 オレはカバ太にも合図を送り、次の弾の装填に移る

 既に作戦はオレの描いた通りに回りだした




余談


「そういえば、お前身体からキノコ生えてくるんだったら、栽培したら食料に困らないんじゃないか?」


「むー、師匠またその話でしか」


 リーフが嫌そうな顔をする


「だって画期的じゃん」


「師匠はそれ食べたいと思うんでしか?」


「いや全く。あっ、かば太なら喰うんじゃないか」


「うーうー」


「全力で首振ってるでしけど……、なんかそう言われると落ち込むでし」


「ああ、じゃあなんか薬とかになるんじゃないのか」


 そう言って、ヒロはリーフから生えたキノコを鑑定する


 木の精霊たけ

 品質:0.1 レア度:0

 栄養は全くない、空気みたいなもの

 食おうと思えば食える

 薬品に混ぜると品質が下がる


「想像以上に役に立たないな」


「うるさいでしー」


 それからというもの、微妙にキノコにトラウマなリーフであったそうな


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。