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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第二章 苦労少女と守護人形
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Ep31 空を踏み南へ

「よく助かったわね」


 空を見上げて、改めて思う

 それくらい高いところから私たちは飛び降りたのだ

 いや、突き落とされたのだ





「いやああああああああああああ」


「風香、うるさい!」


 落ちていく浮遊感と迫り来る地面への恐怖で完全にパニックになっている風香

 そんな風香にサナは一喝し、指示を出していく


「とりあえず、ツナ吉は自分で何とかしなさい」


 げしっ


 そう言って、サナは渾身の力でツナ吉崖に対して斜め上に蹴り上げる


「のわぁ、姐さん、わかったっす」


 サナの意図を理解したツナ吉は持ち前の器用さと、速度を殺されたことも相まって、なんとか崖に短剣を突き刺すことに成功する

 これも長い間サナと共に冒険をしてきたからであろう

 彼なら、後は時間をかければ無事に降りてこれる




 そして、ツナ吉を蹴飛ばした衝撃で更に落下速度が加速したサナは、僅かな間に風香とシーチを抱き寄せる


「しっかり歯食いしばってなさいよ、舌噛んで死んだりしたら一生笑いものよ」


 そう言って、サナは大気を蹴る



 空踏そらふ


 サナの持つスキルの一つで、一歩だけ空中を足場にできるスキルである

 非常に便利なスキルであるのだが、スキルレベルが低いため10分に一回程度しか使えない

 それでも、この状況なら一歩で十分だ


 少しだけスピードを抑えながら、崖に向かって跳んでいく

 


 更に崖で一歩


 既に地面にだいぶ近づいていたため、葉が生い茂っている方に向かって向きを変える


「シーチ、後はなんとかなるでしょ」


「しかたがない」


 ぐっとサムズアップする彼女を、上に向かって放り投げる


 彼女はそのまま森の中にすっ飛んでいくが、レベルが上がって強化されている彼女ならなんとかなるだろう




 最後にサナは空いた右手で剣を抜き、太い幹を切りつけ、スピードと向きを調節してなんとか地面に着地する


「ふう、なんとかなるもんね」


 そう言いながら、ぐったりした風香を地面に寝かせる


 途中から、彼女は意識を手放していた



 それから、すぐに葉っぱまみれのシーチが木から降りて来て、それに続くようにツナ吉も合流した






「飛ぶ前に一言言ってくれてもよかったじゃない」


「いやー、あははは、まぁ生きてたからいいじゃん」


「いいじゃんじゃないわよ、死ぬかと思ったわ」


 その後、意識を失っていた風香が目を覚ますなり、サナに正座をさせて説教を始めた

 しかし怒る風香を気にもせず、サナは楽しそうに笑っていた


「二人も、サナになんとか言ってよ」


「姐さんの突飛な行動は今更っすからね」


「風香言うだけ無駄」


 流石にサナに長い間付いてきただけあって、二人はもはや諦めているようだった


 そんな二人の言葉にため息を付きつつも風香は


「まぁ」


 と一言おいて、「おかげで助かったわ」とちょっと照れたように言った






「でもまさかPKがいるとは思わなかったっすね」


「ええ、一瞬見えた表示は白だったからプレイヤーに間違いわ、こんな状況でPKをするなんて信じられないけど」


「どこの世でも、そういう人はいる」


「PKでも何でもいいわ、あたしに喧嘩を売ったんだから、絶対殲滅しに行くわ」


「でも、これで行方不明になった理由がわかったっすね」


「そうね、とにかく早くサンドルクに戻って角御門団長に報告しないと犠牲者が増える一方だわ」


「でもどうやって戻るんっすか」


「崖登っていけばいいじゃない」


「サナそんなこと……いやあなたなら出来るかもしれないけど、登ってる途中で見つかったらシャレにならないわ。ツナ吉君ここら辺は来た事ないの?」


「そうっすね、前来た時はこんな崖見たことないっすね」


「なら、とりあえず一回南に向かって、改めて東を目指しましょう」


「南?」


 風香が南というと全員が不思議そうな顔をした

 サンドルクに戻るのであれば、本来北東に向かうのが向きとしては正しい


「またPKの奴らに見つかるのは面倒だわ。それにここがどこかわからない以上、一直線にサンドルクを目指すよりは、ミネスとサンドルクを結ぶ街道を目指したほうが確実だからよ」


「まぁ風香がそれでいいならあたしは構わないわ」


 サナがそう言うと、ツナ吉、シーチの兄妹も賛成して、一行はひとまず南を目指すのであった


 戦闘ができればいいサナは、こういうところは人任せなのである








余談


「うーーー!」


 グググググとビギナートレントの根を三本まとめて鎖鎌で絡め取り締め付ける


 ビギナートレントはなんとか振りほどこうと暴れるものの、ガッチリと地面を踏みしめたカバ太が動じることはない


 その横で


「うわっ、ひえっ、いやーでしー」


 残る2本の根を必死に躱しながらリーフが斧で戦っていた


「ほら腰が引けてるぞ、もっと攻めろ」


「むりでし、そもそも精霊はこんな戦い方しないでし」


「甘えるんじゃない、もの作りを極めるのであれば素材集めは基本だ」


「せめてあの剣を貸してほしいでし」


「すぐに道具に頼ろうとするんじゃない、オレの知っているやつなら、剣が折れれば石で、石がなければ素手で戦うような奴もいるんだ、それに斧の方が体力がつく」


「リーは体力なんていらないでし」


「何を言う、もの作りに体力は基本だ、体力がないと徹夜できないだろ」


「体力がつく前に、リーが死んじゃうでし」


「大丈夫、薬ならたくさんある、一撃で死なん限りは問題ない」


「師匠のおにーでしー」



 先日の話しで戦うすべがほとんどないことを知ったヒロは、(自分のために)素材を集めてこられるようにリーフを鍛え始めたのだった

解説

魔力、魔法、その他の力に関して


TFOの設定としては魔力はスキルを行使するときに使う力です

リーフの場合は飛翔という飛ぶスキルを保有しているので、空を飛べます

今回の空踏みも魔力を消費します

魔法は、スキルでない超常的な力を指しています

いわゆる回復魔法や火炎魔法みたいな魔法と付くスキルが存在しないため、このようなややこしい表現の差があります

ヒロたちが前にやっていたゲーム(いずれ話を加えるつもり)でも同じような扱いなので、魔法はプレーヤーには使えません

なので、本作では、ほとんどの魔法みたいな技→スキル

一部特定の種族や人物が使えるスキルではない技→魔法

といた形で表現してあります


紛らわしい形ではありますが、ご理解ください

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