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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第二章 苦労少女と守護人形
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Ep29 戦いが楽しくて、すね毛

「まだまだぁ」


 全身が絡み合う木でできた、体長2メートル程の魔物、ウッドゴーレムがあたしを捕まえようと腕を振り回す

 しかし、所詮はランク2の魔物だ

 身をかがめて攻撃を回避し、勢いをつけて相手の懐に飛び込んで、胸の中心にある魔石に一擊を食らわす


 パキン


 魔石を砕かれた、ウッドゴーレムは木の体が解けるように崩れていく


 ゴォゥ


 その姿を確認する間もなく、あたし目掛けて次のウッドゴーレムが襲いかかってくる


「うりゃあ」


 バキ


「あっ、やべっ」


 振り下ろされる腕を剣でいなしたら、剣が折れた

 やっぱり、ゴーレムを相手にするんだったらもうちょい頑丈な剣が欲しいな

 そう思いながら、残った剣の柄で胸の魔石を砕く


 正直、折れた剣だと少し戦いにくいが、あまりポンポン剣を消費するとまた風香が後でグチグチ小言を言ってくる

 それは、めんどくさいなと思いながら、折れた剣で横合いから飛び出してきたダークウルフの眉間を突き抜く


 急所を打ち抜かれたダークウルフはそのまま木に激突して、動かなくなった


 ダークウルフの血でぬらりと朱く染まった剣を見ながら、まだいけると確信して、更に魔物の群れに突っ込む

 最悪途中で壊れたら、蹴るなり、石なりまだまだ戦う手段はある

 いちおう、後2本は予備の剣あったはずだ

 しかし、3日分として渡された5本の剣が既に一日目にして3本ぶっ壊れたのだ、節約しないと


 あー、でもやっぱり戦うのって楽しいわ








 角御門団長に会ったあと、私たちは急いで準備をして、日が暮れる前にはからくり人形の森の入口付近まで到着していた

 サナはそのまま突っ込みそうだったので、羽交い絞めにしてなんとか止めた

 流石に、何が出るかわからない場所を、夜に拠点もなしにうろつくのは避けたい




「団長、風香、ご飯ができた」


「おお、流石シーチ、美味しそうなご飯ね」


「本当はもっといろいろやりたい、でも道具が足りない」


「そうね、ほんっとにあいつはどこほっつき歩いてんのよ」


「ん、ヒロにいがいないと不便」


「兄貴の話をしてるんっすか」


 ちょうど警戒用のロープを張り、周囲をチェックし終えたツナ吉が帰ってきた

 メンバーの中でツナ吉は比較的斥候的な役割が多く、罠の開錠や周囲の警戒といったことを器用にこなす

 口調は下っ端っぽいが、中々に有能な男なのである


「ねぇ、そのヒロって人もこのゲームをやってるの」


「あいつなら、間違いなくやってるわね。このあたしが認める変人よ」


「うん、ヒロ兄は変」


「いや、姐さんもシーチも充分変っぐはべらぼぇ」


「何か言ったかしら、ツナ吉」


 サナの拳でツナ吉が綺麗な放物線を描いて吹っ飛んでいく


「相変わらず、ダメあにはダメ兄」


「サナ、ガントレットもあなたを守る防具なんだから大切に扱いなさい」


「はーい」


「風香さん、オレの方も少し位心配して欲しかったっす」


 身を引きずるように戻ってきたツナ吉は寂しそうに訴える

 それでもHPバーはほとんど減ってないので、サナはうまい殴り方をしていると言える


「ああ、ごめん、ツナ吉君大丈夫」


 あはは、と思い出したかのようにツナ吉を心配するあたり、だいぶ風香もサナ達に毒されてきたのかもしれない





「それで、明日からどうすんのよ風香」


 食事を終え、片付けが一段落したところで明日の方針を話し合う


「えーと、角御門団長の話によると、このまま南西に向かって森の奥へと進めばいいみたいね、出てくる魔物は森の名前を考えればわかると思うけど、ゴーレム系が多いみたいね。βの頃の情報だと、最高でランク3のストーンゴーレムが最強みたいね」


 ゴーレムは、自然界の物質が魔力を持って魔物化した魔力生物である

 基本的には、体のどこかにコアとなる魔石がありそれを壊されると、自壊してしまう

 他にも、一定以上ダメージを与えても倒すことができる


「それにしても、サナと相性の悪い魔物ね」


「別に、あいつら遅いから懐飛び込んで、魔石を叩き壊せば問題ないわ」


「お願いだから、剣を大切にしてね。とりあえず予備であと4本渡しておくから、それで3日は持たせるのよ」


「えー、もっと剣あいつから貰ってたじゃん」


「ダメよ、一応調査は3日のつもりだけど、何があるかわからないし、その後のことも考えてるの」


「でも、5本じゃあさ」


「サナ、そもそも剣はそんなにポキポキ折れるものじゃないから。あなたに合う頑丈な剣が見つかるまではそれで耐えなさい」


「わかったわよ」


 そう言うとサナは早々と毛布にくるまって寝てしまった


 はぁ

 その様子を見ながら風香は、本日何度目になるかわからないため息をつくのであった





兄妹の余談


「ダメ兄は武器どうするの」


「俺は、短剣メインかな、剣も短めのしか使わないつもりだよ」


「そう」


「そう言う、シーチはどうするんだ」


「私はこれ」


「何だ、つちに変えるのか」


「違う、ハンマーに見えるけど、ギリギリ斧、ほら」


「本当だ、鑑定の分類が斧になってる」


「角のところで見つけた、おかげで余計なスキルを取らないで済んだ」


「角って、シーチ、角御門さんは前のゲームでは有名なトッププレイヤーなんだから」


「団長に土を付けたプレイヤーでも、興味ない」


「お前なぁ」







余談


「へっくち」


「なんだ、リーフ風邪でもひいたか?」


「違うでし、というかカゼってなんでしか?」


「風邪っていうのは、頭痛くなったり、寒気がしたり、くしゃみがでたりする病気だよ」


「? 初めて聞いたでし」


「おいおい、カバ太は風邪知ってるよな」


「うーうー」


 ふるふると首を横に振る


「お前も知らないのか。こっちの世界にはもしかして風邪がないのか」


「こっちの世界って、師匠も同じ世界の住人じゃないでしか」


 リーフは何言ってんだみたいな顔をする


「じゃあ、病気はあるだろ」


「当たり前でし」


「へぇ、例えば」


「キノコが身体から生える病気とか、全身苔こけだらけになる病気でし」


「なんだそりゃ、取ればいいじゃん」


「取っても取っても生えてくるでし」


「それでどうなるんだ」


「いや別にどうもならないでしけど」


「なんねーのかよ」


「リーは木の精霊でしから、ちょっと動きにくいくらいでしよ」


「いやでも、栄養とか吸われたりしないのか」


「ちゃんとご飯食べれば問題ないでし」


「そんなもんなのか、つか、どうやって治すんだ」


「治んないでし」


「お前は大丈夫なのか」


「リーは毎日剃ってるでしから、それくらい木の精霊女子の嗜みでしよ」


 リーフがあたりまえだ、みたいな顔をする


(つうか、それ病気というよりは、すね毛みたいなものなんだな)

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