Ep26 ギルド旭の騎士団 前編
第三の街サンドルクに着くのに5日かかった
いや、5日で着く事ができたというべきだろうか
サナはきっともっと暴れていたかったのであろう
やっとまともなベットで眠れると言うはずなのに、ものすごく不満そうだ
いや別に、ゲームの中ならそこまで厳しくするつもりはない
でも、今は非常事態
まぁ、それでも本来1日の距離を5日かけているんだけども
街の中に入ると、サナは一目散に武器屋に駆け込もうとする
慌てて、首根っこを掴みその動きを封じる
「ちょっと、何すんのよ風香」
サナが頬を膨らまして抗議する
「まずは情報よ、それに他に必要なものを買ってからね」
「えー、そういうのは風香に任せるよ」
「ダメ。それに、もしかしたら周辺の強い魔物の情報を貰えるかもしれないわよ」
「なるほどっ、じゃあ早く行こっ」
不満げな顔から一転、急に目を輝かして私を急かす
お前は子供か
心の中で突っ込みつつ、私はギルド会館へと向かう
「へぇ、ここがギルド会館ね、でかいわね」
三階建ての大きな建物をサナが見上げている
この世界に来て一番大きな建物かもしれない
「で、風香、ギルドって何?」
「はぁ」
突然のサナの質問に、私はズッコケそうになる
「ギルドよ、ギルド、聞いたことくらいあるでしょ」
「うーん、なんかそんな話もあったような」
ぽんぽん
不意に後ろから肩を叩かれる
「風香、それじゃだめ。団長、ギルドは昔の団のことですよ」
「ああ、あれね。あれは便利だったわね」
「仮にもサナは団長だったのよね」
「まぁそうなんっすけどね、姐さんギルドの運営は全部みゅうみゅう姉さん任せでしたから」
「みゅうみゅう…さん?」
突然聞いたことのない名前が出てくる
「ダメ兄の説明はいつも穴がある。風香、『風穿』って二つ名」
「それって、前のサナのギルドの二つ名持ちじゃない」
「そう、その人がみゅうみゅう」
「そういえば、みゅうが何かギルドがどうのって言ってたわね」
「はぁ、わかったわ、サナには後で詳しく説明してあげるわ」
「いいよ、めんどくさい」
相変わらず、戦い以外には全く興味がないのね
こんな団長がトップでよくギルドを運営していたわね
みゅうみゅうさんに親近感が湧いた
「サナ? もしかしてその赤髪、『覇剣』サナか」
不意に後ろから声をかけられた
「そうだけど、何よ?」
「やはりそうか、お前もこの世界に来ていたんだな」
「一人で、納得してないで名乗ったらどうなの」
「おい、女、その口の利き方はなんだ」
サナに声をかけた男とは別の男が、急に割り込んできた
「あ?」
サナに突っかかろうとする男に対し、サナの目に炎が宿る
「やめろ、ゴーレン」
「しかし」
「やめろと言うのが聞けないのか」
「は、はい」
渋々という形ではあるが、男は一歩引き下がった
「連れが失礼した、私は角御門、『要塞』と言ったほうがわかりやすいかな」
「なるほどね、気配からして只者ではないと思ったけど、あんたとはね」
「まぁ、積もる話もあるだろうから、そこらで情報交換でもしないかな」
「いいわね、風香もって、風香どうしたの」
角御門を見たまま固まっている風香を見てサナが心配そうに声をかける
「……角御門、団長」
「風香、もしかしてあの風香なのか」
「そうです、前の時はお世話になりました」
「いやー、めぐり合わせとは面白いものだ、会いたいと思っていた人物二人に同時に会うとは」
角御門団長、前の私が所属していたギルドのギルドマスターにして、最強の一人に数えられていたプレーヤーだ
まさか、こんなところで再会するとは思ってもいなかった
オマケ
「ねぇ、ダメ兄、最近私たちの会話が少ない気がする」
「いやいや、シーチは元々会話少ないじゃん」
「む、そんなことはない」
「そうかな、でもほら口は禍の元って言うし」
「仲間はずれにされてるみたい」
「まぁ、ほらなんだかんだ言って姐さんも風香さんも前のゲームでは有名な人だったし」
「むー、ダメ兄に言われるとなんかムカつく」
「いやいや、そういわれてもなぁ」
と、角御門とサナ、風香が話している間二人は二人で話してたとさ
余談
「いや、その剣ベッドにするのやめろよ」
「師匠の命令でも、それは聞けないでし」
「そんなに、それが気持いのか」
「そうでし、リーは木の精霊でしから、いい木程気持ちがいいでし」
「絶対だな」
「もちろんでし」
「じゃあ、木以外でその剣より気持ちよく寝れるものがあったら、お前明日からビックビギナートレントの丸太で寝てもらうからな」
「いいでしよ、そんなものあるわけないでし」
「よしっ、カバ太行け」
「うー?」
「ほら、いつも通り、そこに寝っ転がって」
「うー」
「さぁ、ほら、気持ちよくなってきた」
「うー」
「だんだん瞼が重くなってきた」
「ぅー」
「さぁ、おやすみー」
くーくー
「よし、準備はできた」
「よくわからないでし」
「騙されたと思って、ここで寝てみろ」
「ここって、カバ太のお腹でしか」
「ああ」
「なんか、毛だらけになりそうでし」
「まあとりあえず、頭を置いてみろ」
「わかったでし」
次の日
リーフはあまりの気持ちよさに涎を垂らしまくり、カバ太の腹がベトベトになった
そのまま、怒ったカバ太に押しつぶされて、綺麗なお花畑が見える世界に行きかけたらしい
結局、リーフのベットはビックビギナートレントの丸太を削ったものになった
「もう踏んだり蹴ったりでし」
「いや、正確には押し潰されたり削ったりじゃないか」
「うー?」




