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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第二章 苦労少女と守護人形
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Ep24 すーぱーかりすま店員風香

 カランコロン


「いらっしゃいませー」


 リアルでは一度もやったことのない、接客の仕事を自分なりに考えて、とりあえず笑顔でお客さんを迎える

 すぐにでも店主とサナのとこに雷を落としに行きたいが、何故かお客さんが止まらない


 一応、商品には全て値札が付いてるし、つり銭は無造作に棚に突っ込まれていたのでなんとかなっている


 しかし、言ってはなんだがなぜこんな片田舎の武器屋が繁盛してるんだろう


 レジと商品の説明と展示のし直しで大忙しだ


 私たちが来た時はほかに客は誰もいなかったのに






「この剣ください」


 レジの前に男性冒険者が一本の剣みせのしょうひんを持ってやってきた


「あなたがこの剣を使うんですか?」


 そのまま、普通にお会計をしていればよかったのだが、昔の癖でついつい口を挟んでしまった

 気づいたときにはもう遅い


「えっと、そうですけど……」


 ちょっと不満そうに彼は言う


「もう少し短いほうがいいんじゃないかしら」


 「そうですか?」と彼はさらに不満を募らせていく

 彼も冒険者である、自分の武器選びにはそれなりのこだわりもあるだろう

 それを否定されたのだ、もっと怒り出しても不思議ではない

 しかし、私も口に出した以上は最後まで言い切る


「私はそう思うわ、あなたの今持っている剣の長さと、体格を考えると少し長すぎる気がするわ」


「でも、俺最近だいぶ力をつけてきて、これくらいなら」


「そうね、それじゃあその剣軽く振ってみてもらえるかしら」


「はあ……えいっ」


 不満そうにしつつも、彼は鞘のついたまま店内で剣を振ってみせる


「どうですか?」


 十分に剣を振り、満足げに彼は私を見返してくる

 そこで私はすかさず、私がいいと思った剣を彼に渡す


 彼は不承不承ながらも剣を受け取り、試し振りをする


「やぁっ……っ!」


 振った瞬間彼の表情が変わった


「どうかしら」


 既に結果はわかったようなものだが、あえて彼に聞いてみると


「……すごいですね、しっくりきます」

 と、感心した顔で見つめ返してきた


「確かに、長い剣の方が破壊力やリーチで有利になるけど、デメリットもあるのよ。今のあなたの装備や元々持ってた武器から考えると、今回選んだ剣は大きくなりすぎよ。もし、これを使いたいなら、あと二段階ぐらいゆとりを持っていった方が確実だと思うわ」


「なるほど、勉強になります、でもすごいですね。初対面なのに」


「別に凄いことをしたつもりは無いわ。ただ気づいたことを言っただけよ」


「いえ、とても参考になりました。それじゃあ、この剣と、あと、この剣持てるようになるためにいい練習用の剣ありますか」


「そうね……これとかどう? あと一緒にこのグローブを買うと手の負担を減らせるわ」


「はい、じゃあそれも一緒にください」


 そう言って彼は剣2本とグローブの代金を払う

 お釣りを渡して、サービススマイルで送り出す


「ありがとうございます。またお待ちしていますね」


「はいっ、また来ます」


 顔を赤く上気させた男性冒険者は、軽やかな足取りで店をあとにした






 こんな感じで、ひとりひとりにアドバイスをしていたら、いつの間にか向こうからアドバイスを求める客まで集まってきた

 そして、気づいた頃には商品の大半がなくなっていた






「おお、水色の嬢ちゃん、店を任しちまってすまねぇな」


「風香ごめんね、思った以上に時間がかかっちゃったよ」


 商品が心もとなくなってきて、どうしようか迷っていた頃、店の奥から二人が帰ってきた


「って、なんじゃこりゃあ!」


 そして、店主が店内を見た瞬間素っ頓狂な声を上げた


「おいおい、嬢ちゃん店の商品はどこいったんだ」


「いや、ほんとに凄いですね、ここのお店こんなに繁盛してるんですね、まさかこんなに売れちゃうとは思ってませんでしたよ」


「いやいやいや、俺の店のなんて一日2、3本、売れても10本が良いところだって」


「でもほら」


 そう言って、今日の売り上げを見せつける


 お金を手に取って、しっかり確認した店主は改めて驚いた顔で私とサナを見比べた


「いやたまげたな、一日でこんなに凄まじい嬢ちゃん達に出会うなんて」



「姐さん、風香さんただいま戻りましたっす」


「素材全部売ってきた」


 狙ったようなタイミングで、ツナ吉、シーチの兄妹が帰ってきた


「シーチちゃん」


 私は笑顔でシーチちゃんに詰め寄る


「なんで私を置いて行っちゃったのかな、それに随分と帰ってくるの遅かったじゃない」


「風香の勘違い、本当に偶然」


「そう言う割には、目が泳いでるけど」


「気のせい」


「へぇ、あっちでゆっくりお話聞きましょうか」


 そう言って、シーチちゃんの首元を掴んで引きずっていく


「団長、ダメ兄助けて」


「あっはっは、頑張れシーチ」


「自業自得だよ」


「薄情者ー」


「さーて、たぁっぷりお話があるからねー」


「あうあう」





 ピシャリとドアが閉められ、シーチの悲鳴が聞こえてきたが誰も助けに行くことはなかった


 合掌








 時間は少しさかのぼって


「早く戻って、風香さんを手伝ったほうがいいんじゃない?」


「ダメ兄は何も分かっていない」


「なんだよ」


「今帰ったら、私が風香に怒られる」


「それ、お前の都合じゃんか」


「うるさい、とにかくタイミングを見計らって帰る」


「じゃあ、俺は先にぐへぇ、急に引っ張るなよ」


「ダメ兄も共犯者」


「いやいや、俺は普通に素材売に行っただけだし」


「きっと風香はそう思っていない。だから、私とタイミングを見計らうべき」


「そうかなー」


「絶対そう」


 と言って、ツナ吉とシーチは武器屋の前で待機していた









余談


「師匠、どうでしか?」


 リーが緊張の面持ちで、オレの言葉を待っている


「まぁまぁ、だな」


「そんなでし」


 リーフが落胆の表情で膝をつく


「じゃあ食ってみろ」


 そう言って、リーフの口に入れてやる


 はむっ

 もぎゅもぎゅ


「悔しいでしー」


「うー」


 カバ太が勝ち誇った顔でいた


 どっちがうまく肉を焼けるか対決は、カバ太の勝利だった


 まさか、『手』を持ってる自分が『前脚』のカバ太に負けるとは思っていなかったのだろう


 それから毎日のように肉を焼く練習をしている


 おかげでオレは料理をしなくて済んでいる


 しかし、木の精霊も肉食うんだな

余談は時系列ぶち壊してるショートストーリーです

本編にはあまり関係ありません

補足ですが、この頃、ヒロは森の中で戦ってます

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