Ep22 彼女たちの戦い
「うりゃぁ!」
バキッ
あまりに激しく使ったため、手に持った剣がまっぷたつに折れる
「なんのぉ」
どがぁ
しかし、彼女はそれを意に介することなく空いていた右手で殴り魔物にトドメをさす
「ふぅ、こんなとこかしらね」
周囲にいる魔物をだいたい倒し終わり、折れた剣を投げ捨て汗を拭う
バシッ
そんな彼女の頭を、思いっきりひっぱたく
「いったぁ、何すんのよ風香」
彼女は自分の頭を叩いた私を恨みがましく見上げてくるが、無視して言いたいことを言う
「先行しすぎよ、それにサナ、また武器壊したわね」
「うへぇ、しょうがないじゃん、この剣ヘボいんだもん」
バツの悪そうな顔をしつつも、不満を漏らす彼女
一体今日で何本目だろうか、武器だってただではない
「姐さん、あっちにもモンスターの群れがいましたっすよ」
そこに金髪の青年、ツナ吉が割り込んでくる
そしてこの男、いつの間にかいなくなったと思ったら次の魔物をまた探してたのね
「でかしたわツナ吉! シーチ、予備の剣頂戴」
そんなことするから、サナの目がキラキラしてるじゃないの
サポートするこっちの身にもなりなさい
というか、あんた予備の剣渡してたでしょ
「団長、何本か持ってるはず」
シーチちゃんよく言った、そうよ、サナが剣を折るのは初日で理解したわ
だから、頑丈そうなやつ何本か渡していたはずよ
「全部折れたわ」
何偉そうに言ってんのよ
なるべく折らないでよ
私なんて未だに初期武器でなんとかやりくりしてるんだから
「じゃあ、ん」
シーチは自分のストレージから、数打ちの安い剣を取り出して渡す
「ほらほら、風香何ぼさっとつっ立ってんのよ、獲物が逃げるわ」
そう言って、駆け出していく彼女
はぁ、頭が痛い
そう言って、今日も頭を抱える風香であった
既に風香たちがゲームの世界にとらわれて4日たった
風香以外の3人(本当はもう一人いたらしいが)は前のゲームからの長い付き合いらしい
前のゲームで『覇剣』と呼ばれていた最強プレーヤーの一人サナ
同じギルドだったツナ吉とシーチの兄妹、リアルでも本当に兄妹らしい
風香も同じゲームをやっていたが、その当時はサナの名前を一方的に知ってるだけだった
それがひょんな縁から今回一緒に始めようという話になったのだ
元々居たギルドからも誘いはあったけれど断った
有名プレーヤーの覇剣からの誘いってこともあったが、それ以上に1人のゲーマーとして安定を望むのは嫌だったからである
しかし、ここにきて風香は自分が選んだ選択肢は正しかったのだろうかと思い悩むようになった
『覇剣』と呼ばれ畏怖の象徴とされた少女は、戦闘狂だった
初日は夜、突然いなくなったかと思ったら、ズタボロになって帰ってきた
2日目、予備の剣も合わせて5本の剣を半日で全て折り、石と拳で戦い始めたから引きずって街に帰った
3日目、ついに10本の大台を超えた
今日、いい加減剣がもったいないので、持ち手だけ剣の棍棒を買った、3時間も経たずにへし折れた
「あんたは、どれだけ武器壊せばすむのよ」
「えー、だって武器があたしの動きについてこないんだもん」
全く悪びれない表情で言う
胃も痛くなってきた
周辺にいる魔物を片っ端から倒しているので、レベルアップも早い
おかげでステータスもものすごい勢いで上昇している
さらに、サナは戦ってることがよほど楽しいのか全く疲れを知らない
その上、旧ギルメンの二人の兄妹もまるでそれが日常であるかのようについていく
結果、ものすごい数の魔物と戦う
よって、より武器が折れる
で、出費はかさむ
なので、次の街に行く為の道具とか食料が買えないため、前に進めない
悪循環だぁああああああああ
仕方ないので、次の日ナックルガードだけ渡して、武器使うなって言ったらいい加減武器を大切に扱うかと思ったら、普通に殴る蹴るで楽しそうに戦っているサナの姿に私はがっくりと肩を落とすのだった
まぁ、結果としてお金はたまったけど
読んでいただきありがとうございます




