Ep17 悪魔の樹(荒れ狂うドングリ乱舞編)
あれから二日
日が昇れば狩りに行き、沈んだら生産する
周囲のトレントは絶滅したんじゃないかって勢いで狩りまくった
おかげで素材も山のようにある
もちろんその間に何度かレッサーデビルトレントのところにも調査に行った
強力な素材を得るためには、下調べが肝心だからな
以前やってたゲームで、勢い余って谷底に素材の魔物を大型破城槌で叩き落としたら、素材もろとも粉々になって使えなくなったこととかもあった
あの時は泣きそうだったけど、今ではいい思い出だ
「それじゃあ、カバ太、いよいよ本番だ」
「うーっ!」
カバ太が元気良く答える
最初は随分と渋っていたが、「困難を乗り越えてこそ強くなるんだ」とかなんとか言ってたらいつの間にかやる気になっていた
相変わらず単純なやつである
まずは、アイテムボックスから必要なものをレッサーデビルトレントの射程外から周りに並べていく
何度も近づいて調査した結果、射程外には攻撃してくるつもりはないらしい
おかげで、準備がし放題だ
オレとカバ太はレッサーデビルトレントを挟んで位置につく
ビックビギナートレントと同じように挟み込む戦法だ
ズガァン、ズガァン
オレ、カバ太、オレ、というように交互に臼砲を撃っていく
多くは根に受け止められるも、二方向から飛んでくる高速の飛来物を全て捌ききることはできないらしく、いくつかの破裂ドングリが幹に直撃していく
これも、事前の調査で分かっていたことだ
どうやら自分に向かってくる攻撃には全力で反撃してしまうらしく、矢継ぎ早に攻撃を多方向から加えると、次の行動に出るのに隙が生じてしまうらしい
通常は、そういった場合でも枝や葉っぱを飛ばして対応するのだが、高速で飛来する破裂ドングリには対応できないらしい
カバ太とオレは時計回りに回りながら、各所に設置した臼砲を撃っていく
今回の戦いの為にオレは150門の臼砲を用意した
材質はもちろんビックビギナートレントを使い、品質も6より高いもののみに厳選してきたので、一発で壊れるということはない
半周回ったところで、すべての臼砲を打ち尽くす
次は臼砲を撃つときに撒いておいた箱を投げつける
メキバキ
根でキャッチされ箱は押しつぶされるが
ズガァン
潰しきる瞬間箱が爆発した
いや、正確には箱の中に入っていた破裂ドングリが暴発した音である
根の間から箱や緩衝の木片が舞い散っていく
レッサーデビルトレントは学習する気はないのか、その後も毎回箱を潰してくれる
破裂ドングリは少しもったいないが、これも必要経費だ
破裂ドングリに反応できるやつに接近戦を挑む気にはなれない
そんな自殺行為に及ぶやつはどこぞのバトルジャンキーだけだろう
オレが箱を投げている間に、カバ太は臼砲の装填を進める
作業は単純で、押し込んだ棒を引き抜いて、横に置いてある破裂ドングリをセットし、棒を付け直す
二人で協力してやってもいいのだが、レッサーデビルトレントは、面倒なことに放っとくと勝手に自己再生していく
なので、オレがチクチクダメージを積んで回復させないようにしているわけだ
「うーーー!」
カバ太の大きな声が聞こえる
どうやら装填が終了したみたいだな
ズガァン、ズガァン
再び砲撃をはじめる
そして、再び箱投げと装填
箱に入れてある破裂ドングリは、昨日大量のバレットツリーが生えている地区を見つけたので、いくらでも在庫がある
むしろ、その発見があったからこそ二日という短期間で挑戦することができた
300発分の破裂ドングリによる攻撃をくらい、破裂ドングリ入りの箱を何百個と破壊したレッサーデビルトレントは、HPを7割まで減らしていた
これだけやっても、これしかダメージが入らないとは
流石は、デビルの名が付いているだけはある
ズガァン、ズガァン
3周目の砲撃を始める
いくつかの臼砲は撃つ時に軋むようになってきた
いくら品質6とは言え、あと1・2発が限界みたいだな
3周目、計450発の弾を打ち切り、レッサーデビルトレントのHPは未だに6割程度残っている
だが、度重なる根に対するダメージのせいか、根の動きが悪くなり、数を重ねるごとに幹に直撃する破裂ドングリの数は増えていってる
レッサーデビルトレントの周囲には、破裂ドングリと箱の破片、そして雪のように大量に緩衝材の木屑が積もっている
カバ太に装填をさせている間に、オレは火を起こす
既に着火用にバルカンフラワーの種から油を抽出して、一分とかからず火が起きる
それを3本の松明もどきに燃え移らせ、レッサーデビルトレントの近くに投げ入れていく
レッサーデビルトレントの根は嫌がるものの、緩衝材の中にはたっぷりバルカンフラワーの種の油が染み込ませてあるため、一気に周囲が火の海になった
今までよりも更に根の動きが激しくなる
周囲をめちゃくちゃに叩いている
カバ太の装填はまだ終わらないため、ダメ押しに予備で作った斧を投げていく
斧がなくなれば、そこら辺の石を投げる
少しでも多くのダメージを通して、回復の隙を与えない
「うーーーーー!」
カバ太が大きく鳴く
いよいよ炎の中で暴れまわる真っ黒の巨木との戦いも、大詰めを迎えた




