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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第一章 白い珍獣と悪魔の樹
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Ep16 悪魔の樹(準備編)

「うー」


 カバ太が小さい声で鳴く

 よく見れば、少し震えている


 ランク5

 オレがβの時に倒した最強の敵はランク4

 仲間と何人かで挑んだんだが、凄まじい激戦だった

 

 後方支援のオレでさえ、何度死に戻りを覚悟したか

 それほどの相手でも、ランクは1つ下





 気付けば、オレは手が震えていた

 圧倒的な存在感、禍々しい雰囲気

 重厚そうな樹皮、鋭い葉






 あいつの素材を使ったらどんなものができるんだろうか

 考えただけでも、ワクワクしてきて、早く作業させろと手が震える


 まさか、カバ太もそんなに嬉しがってくれるなんて

 確かに、こいつを見たらビッグビギナートレントなんて鼻クソみたいなもんだ


 よし、あいつを倒そう






 ズガァン



 バシッ



 「うーー!? 」



 とりあえず、破裂ドングリを撃ち込んでみたんだが、根で受け止められた

 見た感じHPも減っているようには見えない

 しかし、反動は受けているみたいで、ほんの一瞬だが動きが止まった


 今の攻撃が、レッサーデビルトレントの警戒心を煽ったのか、根がうにょうにょと周囲を警戒している

 この距離だと見つけることはできないのか、その動きは全方位に散っている




 そういえば、撃った後、カバ太がものすごい形相でこっちを見ていた

 それからしきりにオレを引っ張っている


「うーーーーー」


 そうかそうか、早く帰ってあいつを倒す作戦計画を立てたいんだな

 全くせっかちなやつだ





 オレ達は少し離れた広場まで移動した

 とりあえず、ここに家を建てよう

 あいつを倒すための拠点だ


「うー?」


「どうしたカバ太? ああ、なんで家を建ててるか疑問なのか。そりゃあのレッサーデビルトレントを狩るためだ」


「うぅ!」


「何驚いてるんだ、お前も震えてたじゃないか? あいつを倒せばすごい素材が手に入るんだ、震えるほど嬉しいだろ」


「うーうー」


「そんなに首を振って、自主練か? やる気ばっちりじゃないか」


「うーうーうーうー」


「何泣いてるんだ? 練習熱心なのはいいけど、あんまり無理するなよ」



 素材はあったので、家は簡単に立てることができた

 この家は休むためではない

 本当の拠点は、ビッグビギナートレントで作業場も含めて後で作る


 ステータスを開き、『拠点把握』のスキルを有効化する



 拠点把握:登録した街や家の方角がわかる



 これは最初から取得しているスキルで、今までは特に必要もなかったので有効化はしていなかった

 

 これで、森の中に狩りに行っても迷わずレッサーデビルトレントのもとへ行ける

 

 さぁ、それじゃあ素材集めだな

 午前中でカバ太も新装備に慣れてたみたいだし、ビックビギナートレント狩りだな

 何故かカバ太のテンションが低いが、問題ないだろ





 やっぱりって言うか何と言うか、まだ3回目だというのに、ビッグビギナートレントが簡単に倒せるようになった

 カバ太の成長が著しい


 動きながら鎖鎌をビュンビュン使っている

 ビックビギナートレントの攻撃をはじくことはできずとも、気を引くには十分だ

 条件反射なのか、攻撃を食らうとそちらに集中するようで、オレの斧とカバ太の鎖鎌で交互に当たることで相手を翻弄ほんろうできる


 それに成長しているのは、カバ太だけではない

 オレも生産レベルが上がってきているため、斧の品質も6まできた


 『肉体強化』や『斧術』も育ってきた


 この調子なら、レッサーデビルトレントも狩れるかもしれない


 



 日が暮れそうになってきたため、拠点へと戻る


 まずは手に入れたビックビギナートレントで家を作り直す

 しばらくここに立てて置く予定なので、頑丈に作り込む

 とは言っても、もう何度も家を作っているため、一時間もせずにとりあえず住めるレベルの家は出来た


 細かい調整は明日に回そう

 光球があるとはいえ、家を作るには今のオレのレベルでは心もとない



 その後は生産タイムだ

 オレはひたすらあるものの生産に打ち込む

 少しでも品質が上がるように丁寧に作っていく


 夕食は火をつける以外は、全てカバ太に任せた

 これは修行だ

 いずれは火まで起こせるようになってもらいたい

 オレも楽できるし






 ふと気づくと、火がだいぶ弱まっていた

 横で作業を見ていたカバ太は、力尽きていつの間にか寝ていた


「おい、カバ太こんなとこで寝てたら風邪引くぞ」


「ぅうー」

 体を揺するとふらふらと立ち上がる

 オレは、カバ太に付き添って家まで誘導してやる


 なんとか中までたどり着き、そのまま体を横たえる


 と、すぐき気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる 


 ……


 …………


 ………………


 もう少し作業をしようと思ったが、カバ太のお腹にオレの意思は敗れ去った

 くそー、なんて気持ちよさなんだ


 一日でオレはカバ太枕に魅せられてしまった




 近いうちに絶対あいつを加工してやる



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