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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第一章 白い珍獣と悪魔の樹
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Ep15 悪魔の樹(遭遇編)

「うーうー」


 ぺしぺし


「んっ、あぁ、カバ太おはよう」


「うーーっ!」


 カバ太が元気よく返事をする

 お腹を枕にしていたことは気にならないらしい


 これは毎日あのぽよぽよを楽しめるということなのか

 ゲームの中で寝るのなんて時間の無駄だと思ていたが、考え直す機会かもな

 いつログアウトできるかわからんし


 というよりも、本当にここはゲームの中なんだろうか?

 正直わかんなくなってきた

 既にプレイを始めて1週間近く時間が経過している

 

 もしかして、オレだけ取り残されてるパターンか?

 初日以外は他のプレーヤー見てないし

 せめて町に行ければいいんだがな


 白い謎生物(カバ太)が増えたことにより、余計町に行きづらくなった


 未だに、識別はまともな答えを返してこない

 このまま町に行ったらPKプレーヤーと識別できない怪しげな生き物だ

 どうやって言い訳すればまともに話を聞いてもらえるのだろうか?



 まぁ、オレは死んでもペナルティーだけで、復活できるかもしれないが、カバ太はどうなる?

 せっかく助けたのに、オレのせいで死なれたら目覚めが悪い

 置いていくにも、カバ太の装備は適度に修理していかないと、2・3日もしたらぶっ壊れちまうだろう

 そうしたら、またそこいらの魔物の餌食になりかねない

 昨日狩ったビックビギナートレントがこの森最強かもわからんし

 

 何より、こんな面白い実験体を置いて帰るのはもったいない

 

 もう少し強くなってから考えるとしよう

 そのうちなんとかなるだろう




「うー?」


 カバ太が心配そうにオレを覗き込んできた


「ああ、悪いな、ちょっと考え事をしていた」


 ぐぅ


 同時にオレとカバ太のお腹がなる


「朝飯にするか」


「うーーーっ!」





 火を起こし、今日は新たな試みをしてみよう


 オレはカバ太に愛用のトングと食材(お馴染み生肉とキノコだが)を渡す


「う?」


 今まで、調理はオレがしていたため、渡された食材とオレを交互に不思議そうに見ている


「いいかカバ太、オレの国には『働かざる者食うべからず』というありがたい言葉がある。カバ太はいっぱいご飯を食べたいだろ?」


「うーっ」

 大きく頷く

 なんたって、こいつが増えてから食材の消費が5倍になったからな


「だがしかしな、今のカバ太は獲物を採るだけでだけで、保管も運搬も調理もオレが全てやってるんだ、狩りも一緒にやってるし」


「うー?」

 よくわからないという顔をしている


「だからな、ほとんど働いてないカバ太は、いっぱいご飯を食べる資格がない」


「うーっ!?」

 がーん

 そんな効果音が聞こえてきそうなほどに、頭を抱えて顔を青くしている


「だが心配するな、お前にはチャンスがある」


「うー」

 カバ太の目に希望の光が宿る


「これからできる限り、お前が調理をするんだ。もうトングも使えるようになっただろ」


「うーうー」

 嬉しそうに頷いている

 どうやらオレの言いたいことを理解したみたいだ


 早速、トングを使って肉を焼き始める

 トングをカバ太が扱いやすいように改造したことと、たゆまず練習したおかげでスムーズに石板に肉ときのこ乗せていく

 返すのも中々に上手い

 そして、今までとは違い自分の皿だけでなく、オレの皿にも焼いたものを乗せてくれる



 一口食べてみると、ちゃんと火が通っている

 最初は焼くだけが精一杯で、火の通りとか気にする余裕もないかと思っていたのだが、上手く焼けている


 まさか、ここまでできるようになっていたとは、かなり驚かされた

 これなら任せても大丈夫だろう





 これでオレは料理を作る時間を制作に回すことができるようになった

 動物に飯作らせんのはどうかと思ったが、ここはゲームの世界で仮に見られても何の問題もない





 昨日作り直した防具をカバ太に装備させていく

 どれも、昨日よりさらに重量を上げている

 

「うーーー」

 ものすごく重そうだ


 まぁ、あーだこーだと改造したせいで、重量2倍以上になっちまったからな

 やはり眠い時のテンションはいろいろとやらかすな


 とりあえず、「強くなるためには誰もが通る道だ」とかなんとか言って説得しておいた

 ちょろいな

 しかし、そのうち不審者に連れ去られないだろうか?

 動物園とかサーカスなら買ってくれそうだし

 この世界にあるかどうかは知らんが




 まずは肩慣らしに、ビギナートレントを中心に狩りを進めていく

 カバ太が改造した武器と防具に慣れるまでは、ビッグビギナートレントには挑まない

 防具でガチガチに固めてあるから簡単にやられることはないだろうが、まだカバ太にとってあいつは格上なので、無理はさせない

 ダメージ受けすぎると装備の修復も大変だし




 ビギナートレントを狩っていると、久しぶりにバレットツリーを見つけた

 今回は、ちゃんと警戒していたので、射程外から発見できた

 

 それでは、破裂ドングリを回収させてもらおう

 在庫はいくらあっても問題ない


 こいつに関しては、いくら防具の性能が上がったとは言え、正面から挑むつもりはない

 前回と同じように、盾を使って確実に倒しに行く

 当たったら痛そうだし、怖いし


 既に、コイツと戦うことは想定してあったので、ビックビギナートレントで盾を作ってある

 そして今回オレにはカバ太がいる





 ズドォン



 ズドォン



 相変わらず、ランク2とは思えない攻撃力だ

 それでも、盾の性能が向上しているためか、前より反動が少ない


 問題なくオレの攻撃範囲まで接近する

 今回は、前回の失敗を活かして、接近時上からの攻撃も耐えられるようにしたが、特に攻撃されることはなかった

 どうやら、2メートル辺りまで接近すれば攻撃手段がなくなるようだ


 そして、ちまちまと斧で攻撃を加えていく





「うーーー」


 射程外から、隠れて様子を見ていたカバ太が大きく鳴く

 どうやら、倒しきったみたいだ

 この位置だとバレットツリーのHPが見えないから、ある程度ダメージを加えたら確認しなければならなかった

 しかし、今回はカバ太がいるので、戦闘には参加させず監視役を頼んでいた

 おかげで、かなり早く討伐ができた


 こいつは、やはり攻撃力特化型らしく、腕の力だけで振るった斧の攻撃でも5分もかかっていないと思う

 木自体はランク一の素材だしな


 木を切り倒し、カバ太と手分けして、破裂ドングリを回収した





 その後、昼食を挟み、ビックビギナートレント狩りのため南下する

 やはり、南に行けば行くほどランクの高い魔物が増えていくみたいだ

 といっても植物しか強くなっていないが

 肉やきのこは相変わらず同じものしか取れない


 本気で調味料が欲しい





 ビッグビギナートレントを探すためどんどん南下して行ったオレ達は、急に禍々しい気配を感じた

 このまま引き返すこともありだったが、見えない恐怖に怯えるよりは、知っている驚異の方がまだ対処のしようがある


 なので、慎重に気配が感じる方へと歩いていく




 開けた空間に、一本の木が立っていた

 幹は真っ黒で、葉は緑だがギラギラしていた

 そして、周囲には紫色の靄がかかっている


 圧倒的な存在感

 識別をかけなくてもわかる、あれはビックビギナートレントよりも強い




 レッサーデビルトレント

 ランク5

 悪魔の樹、でも下級



 識別が仕事をしている

 説明がテキトーなのは、オレのレベルが低いからだと信じたい




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