Ep14.5 待たされた者たち
今回は、主人公とは関係ないところでのお話です
TFOサービス開始からおおよそ6時間後
一番最初にお世話になるであろうスタートの街
その街中にあるある小洒落たカフェで4人の男女が、1つのテーブルに座っていた
「遅い! あいつはどこで油売ってんのよ!」
ドガァン
赤髪の少女が思いっきり机を叩く
約束した時間になっても待ち人が来ないので、イラついているのだ
「姐さん落ち着いてくださいっす」
怒り狂う少女を、金髪の青年がなだめるも
「何よ、これが落ち着いていられることだと思うわけ」
「いやいや、あっほら、周りのお客さんにも迷惑ですし」
今にも腰に差した剣で暴れまわりそうな彼女を必死に説得する
「周り? 迷惑? それがどうしたってのよ。あたしの楽しい楽しい戦いの時間が一分一秒でも損なわれる方が問題だわ」
「うっ、あっ、えーとっすねぇ」
毎度のことではあるが、赤髪の少女のあまりにも横暴な発言に金髪の青年は返答に詰まる
「サナ、少しは落ち着きなさい」
今まで黙っていた水色髪の女性が声をかける
「彼は何の連絡もなしに平気で遅刻してくる人なの? 」
優しく諭すように、赤髪の少女サナに語りかける
「それはない。ヒロ兄は簡単に約束を破る人じゃない」
サナが答えるよりも早く、最後の一人、ピンクの髪の少女が答える
「うー、まぁ確かにあいつに連絡なしで約束破られたことはないわね」
不承不承ながらもサナは納得する
「それに、今は他にも考えなきゃいけない問題があるでしょ」
先ほど謎の空間に飛ばされ、アスドールと名乗る神が言った言葉である
ヒロはあまり深く考えていなかったが、そんなに簡単な話ではない
「風香さん、そんなにまずい問題なんっすか?」
金髪の青年ツナ吉は、事の重大性がわからないといった顔をしている
「兄は本当にダメダメ」
ピンクの髪の少女シーチは、実の兄であるツナ吉に容赦がない
「えっ、ログアウトできないなら戦い放題じゃない、しかもあたし達のせいじゃなくて、ゲーム会社が悪いんだから学校とかも休み放題だし」
サナは嬉しそうに語る
「サナ、あなたねぇ」
水色髪の女性風香は、頭に手を当てて呆れている
「これは凄くまずい事態なのよ……
今、私達が遊んでいるゲーム、いわゆるVRゲームと呼ばれるものは、元々はある研究機関が開発させた技術だったの
細かいことは省略するけど、結果的に特許無しのフリー技術として世界に広がった
軍事訓練や終末医療などでまず実用化されていき、娯楽用として発売されるまでに普及したわ
ただ、やっぱり一般人が使うには多くの安全基準を突破する必要があった
そのために開発された、4ブロックシステム
名前のとおり、4つの方法で使用者の安全を守ってくれるわ
1つ目が、本体のバッテリー作動
これのおかげで、最大でも48時間以上は絶対にゲームができない上、充電にも12時間以上かかるようになってるわ
2つ目は、強制ログアウト機能の実装
これはVRマシーンに内蔵されていて、本人の強い意思があれば安全に終了することができる
この機能はVRマシーン本体にもついていて、何かあれば外の人間も強制的に終了させることができるわ
ここまで話し切り、風香は飲み物を口に含む
3つ目は、ソフト自体の第三者機関によるチェック
専門家が膨大にあるチェック項目を調べた上でないと発売できないように、法律で決まっている
その上、常時システムの変更を専用のシステムと人間が監視をしている
そして4つ目、いわゆるVR法
正式には『仮想空間技術及び関連する技術に関する法律』である
この4つのおかげで私達は、こうやってVRゲームを遊んでいるわけ
でもさっきのアスドールの言葉、それに現実問題としてログアウトできないこと
これは完全に違法行為だ
しかも、今日はサービス初日である
始まって間もない頃は問題が発生しやすいため、厳重にチェックされているはず
すぐにでも何か対策がとられてもおかしくない
何より、強制ログアウトが実行できない
それも私だけじゃなく、サナ達3人も
本来なら起こり得るはずもない事態
「ここは本当にゲームの中なのかしら?」
そう言って、風香は言葉を締めくくる
キャラクター補足
赤髪の少女→サナ
金髪の青年→ツナ吉(シーチの兄)
ピンクの髪の少女→シーチ(ツナ吉の妹)
水色髪の女性→風香
4人の名前はキャラクターネームです




