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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第一章 白い珍獣と悪魔の樹
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Ep12 カバ太成長日記

 あれから、カバ太をなだめるのに相当苦労した

 いったい何箇所かじられたことだろう


 とりあえず、これがオレの考案した武器だ



 ビッグビギナートレントの鎖鎌(武器)

 切れ味:0.3 破壊力4.5 耐久力:210

 品質:4 レア度:3

 ビックビギナートレント製の鎖鎌

 連結部に蔦が利用されている



 長さは大体2メートル程、切れ味よりも安定性を追求した一品だ

 手で持てないカバ太の為に、持つ部分を板状にして、口全体でくわえられる様に調節してある


 ちなみに、これは戦闘用ではなく牽制用だ

 カバ太の武器はいろいろと考えたんだが、足がトロいので接近戦は難しい

 だが、人間のように弓を撃って後方支援とかもできるわけじゃない


 アイテムボックスがあれば、臼砲を持たせても良かったんだが、それもできない


 そこら辺まで考えて、オレはカバ太に戦闘させるのを諦めた



 しかし、それだと昨日の感じから言って納得しなさそうだったので、苦肉の策で作ったのが鎖鎌だ


 むちとかも考えたんだが、先に重りがあったほうが威力も上がるし、扱いやすいだろう、ということで工夫してたら、結果として鎖鎌に落ち着いた

 鎖要素全くないが、『鑑定』さん的には鎖鎌らしい


 それに、この武器のメリット他にもある

 例えば戦闘中ヤバくなったり、何かに絡まっても口を開けば捨てられるということだ

 体にくくり着ける系の武器は威力も安定感も鎖鎌より上かもしれないが、何かの拍子に捕まったら致命的なことになる


 さっきの実験でも、それで何度かやられてるし





「これは、鎖鎌と言って、こっちの板をうまく操ることで遠くの相手に攻撃できる優れた武器だ」


「うー」

 オレの言葉を一生懸命に聞いている


「だが、まだまだお前は未熟だから一人で戦おうとするな、オレも一緒に戦うし、お前はこれでなるべく敵の注意を惹きつけて欲しい」


「うーうー」


「自分もオレみたいに戦いたいって? 何言ってるんだカバ太、牽制も大切なポジションだぞ。お前がうまく魔物の気を惹きつけてくれれば、オレはより安全に戦うことができるんだ」


「うーー」


「それに、オレはお前に期待してるんだ、お前ならこの鎖鎌をいずれ手足のように自在に操ってオレの助けになってくれることを」


「うーーーっ!」

 カバ太は元気良く鳴き、鎖鎌をくわえて走っていった


 よし、うまく説得できたみたいだ

 最初はもっと強い武器を欲しそうに渋っていたが、オレの最後の言葉が後押しになったのか、懸命に首を振りながら鎖鎌を飛ばしている

 すごいヘロヘロした軌道だが、正直あれ以上いいアイデアが浮かばんかったんだ、とりあえずこれでむやみに魔物に突っ込むことはないだろう


 オレとしては早くビックビギナートレントに挑みたい

 だがカバ太に特攻されたら、最悪昨日の二の舞に成りかねんからな


 とりあえず、あれで今日は様子を見ることにしよう






 再び、ビギナートレント狩りだな

 もはや雑魚だが、これ以上の魔物が、ビッグビギナートレントしかいない

 バレットツリーはあの時以来一回も見かけていないし、他の魔物はオレの経験にならん


「よし、カバ太ここからガンガン行くから、しっかりついてこいよ」


「うーーっ!」


「よし、いい返事だ。ただヤバイ時は鎖鎌捨てて、逃げるんだぞ、それくらいいくらでも作ってやるからな」


「うーー」




 太陽が真上に来るまで、オレとカバ太はひたすら戦い続けた

 いや、正確に言うと戦ってたのはオレだけで、カバ太鎖鎌に遊ばれていた



「うーーーーーーー」

 カバ太が凄い暗い顔をして、木の陰でうずくまっていた


「いやいや、そんなに気にする必用はないだろ」


「うーうー」

 励ましの言葉をかけてみるが、首を横にフリフリするだけだ

 

 なんとか元気づけてみるか





 とりあえず、細い丸太を3本地面に立てる


「カバ太、たった半日程度でなんで落ち込んでるんだ! 」

 まずは叱咤しったしてカバ太の注意を引く


「うー」


「泣き言を言うなら練習しろ。誰でも最初から上手い奴なんかいない、オレも最初ものを作ったときは、ゴミみたいな作品しかできなかったぞ。それから練習を重ねていろんなものが作れたんだ」

 そして、自分の経験を織り交ぜながら説得力を上げる


「うっ」


「いきなり動いてる奴は難しいからな、あそこに練習用の的を用意したから、あれで練習するんだ」

 最後に、うまく練習に誘導する


「うーーーーっ! 」

 よし、目に闘志が宿った




 カバ太は鎖鎌をくわえて、丸太の近くまで移動する

 長さが2メートルしかないから、丸太までの距離は1メートルちょいにしてある

 これなら適当に投げても、当たるだろう


 ぶんっ


 コン……ぽてっ


 カバ太が鎖鎌を振ると、一発で丸太を一本倒す


「うまいじゃないかカバ太、その調子だ」

 とりあえず、褒めて持ち上げる


「うーー! 」


 どうやら元気を取り戻したみたいだな

 よし、更に元気づけるためにオレがわざと失敗して、練習してる成果があるんだとわからせよう


「カバ太、オレにもやらせてくれないか」


「うー」


 カバ太少し調子に乗ってるのか、やれるもんならやってみろ的なオーラが全身から出ている

 少しイラっとするが、今はオレが大人になるところだ


 ここで、思いっきり失敗して

「やっぱ才能あるぜ」

 とか言ってやればさらにやる気になってくれるだろう


 どうせスキルも取ってないし、テキトーにやれば外すだろ

 一応地面に向かって投げとくか

 これで完璧だ


 ぶんっ

 (地面に向かって叩きつけるように投げる)


 がっ

 (地面に跳ね返る)


 コン

 (真ん中の一本に当たる)


 カン

 (さらに跳ねて左の丸太に当たる)


 カン

 (真ん中の丸太が当たった衝撃で跳ねて、右の丸太に直撃する)


 ぽてぽてぽて

 (全ての丸太が綺麗に倒れる)


「うーーーーーーーーーー」

 (カバ太が森の奥に走り去っていった)



 あれっ、どうしてこうなった





 その後、なんとか木の陰でブツブツ独りうなってるカバ太を発見して、一生懸命励ました

 一時間くらい褒めまくったら、お互い腹が減ってきたので昼飯にした





 そして、飯を食ったらケロッとしていて、現在元気に鎖鎌の練習をしている

 所詮動物か

 俺の苦労はなんだったんだ

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