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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第一章 白い珍獣と悪魔の樹
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Ep11 カバ太の奮戦

 ペロペロ


 今日は朝からカバ太に舐められて起こされた

 昨日、色々作っているうちに気がついたら眠っていたらしい


 しかし、コイツは本当に舐めるのが好きだな

 まだ、子供なんだろう

 群れからはぐれて寂しいんだろうか




「よし、それじゃあ朝食にするか」


「うーーー!」


 今日も朝からカバ太は元気いっぱいだ




 しかし、本当にこいつ賢いな

 

 いい加減、串で色々焼くのが面倒になったので、オレは石を削って、鉄板ならぬ石板を作って肉を焼くことにした

 ついでにビギナートレント製のトングも作ってみた

 特殊な編み方で暴れ蔦を編み、ゴムのような特性を持たせて、ちゃんとつまむと反発するようなギミックまで搭載してある


 我ながら、なかなかの一品だ

 それを使って、肉を焼いていると、今まで黙々と皿に顔を突っ込んで肉を食っていたカバ太が鳴き出した

 そうやら、トングを使ってみたいらしい

 

 ちなみに、カバ太の手? 前足? は、ヒヅメをデフォルメしたような感じで、とても器用には見えなかったが、特に断る理由もなかったので、貸してみた

 オレは別に箸でも構わんしな


 最初は持つことすらできなかったんだが、10分ぐらい「うーうー」うなりながらトングと格闘した結果、なんと危なげではあるが、肉をつまんで食べれるようになったのである


 肉は冷めて美味しくなかっただろうが、なんとも誇らしげな顔をしていた

 

 そして、本気でオレは芸を仕込もうかと、再び悩まさせられることになった

 まぁ、冗談だけども




「よし、カバ太これからお前に防具をつけてやるからじっとしてろよ」


「うーー」


 今回カバ太に作ったのは、現実の装備品をベースにした馬具である

 同じように装備できるか知らんが、一応採寸もしたし大丈夫だろう



 ビッグビギナートレントの面当て(頭防具)

 頑強度:6.7 耐久:270

 品質:4 レア度:3 火属性-3

 ビッグビギナートレントで作った面当て、馬などに使用する

 火にそこそこ弱い



 ビッグビギナートレントのくら(胴防具)

 頑強度:7.3 耐久:240

 品質:3 レア度:3 火属性-4

 ビッグビギナートレントで作った鞍、馬などに使用する

 火にけっこう弱い



 ビッグビギナートレントの脚具(腕・脚防具)

 頑強度:5.6 耐久:220

 品質:3 レア度:3 火属性-4

 ビッグビギナートレントで作った脚具、馬などに使用する

 前脚・後脚共通

 火にけっこう弱い



 「そこそこ」と「けっこう」にはどれだけの差があるんだろうか

 本当にオレの『鑑定スキル』レベルアップしてるよね?


 品質が1違うだけで、火耐性に差があるが、オレが知る限りこの森で炎系の攻撃をしてくる相手はいない

 というか、金属製の鎧でも、ドラゴンの炎とか直撃したら、直接か間接の違いがあるだけで、同じようにこんがり焼ける気がするんだが


 それに、火属性+5とかどんな防具なんだ

 滝の中にでも埋まるんだろうか?


 と、そんなくだらないことを考えているうちに、カバ太の装備を着け終えた

 ぴったり装備できたみたいだな


「っと、よし付け終わったぞ、どうだカバ太?」


「うーーー……うーうー」


「ん? 動きづらいのか? 動かしづらいとこがあるなら調整するが」


「うーうーうー」


「なんだ、違うのか……ああ、重いってことか」


「うーうー」


「それはいいんだ、わざと重めに作ったからな」


「う? 」


「いいかカバ太、戦うにしても何をするにしても大切なのは体力だ。あの時お前にもっと体力があれば捕まる前に逃げれたかもしれないし、根を振りほどけたかもしれない。いずれお前が強くなって、もし重いのが嫌なら軽くしてやってもいいが、今のお前はこれくらいの重さでも、軽々と動けるようになる必要がある」

 

 とかなんとかそれっぽいこと言ってみたが、ぶっちゃけ耐久考えたら、今の重さが限界だっただけである


 しかし、純粋なカバ太は尊敬の眼差しをオレに向けていた


 何かすごい罪悪感を感じるが、何にせよ本人がやる気になったんだからいいだろう

 ああ、本カバって言ったほうがいいのか?

 ややこしいな


「武器は現地で出してやるから、それじゃあ出発するぞ」


「うーーー!」





 今日の相手はビギナートレントだ

 本当はベビービギナートレントの方が安全で安心なんだが、あそこまで戻ると他のプレーヤーに遭遇する可能性もあるし、何より面倒だ

 他のランク1の魔物じゃあ、今のカバ太の防具なら体当たりで倒せるだろう

 防御力だけなら、確実にオレよりもある




「よし、いいかカバ太、まずオレが手本を見せるから、よく相手の動きを見て戦い方を考えるんだぞ」


 そう言って、カバ太を残しオレはビギナートレントに向かう

 手に持つのは、昨日作ったビッグビギナートレントの斧だ

 どれだけ性能が上がったのかの実験も兼ねている


 まずは、根の攻撃だ

 昨日ビッグビギナートレントと戦っているため、非常に小さく感じる

 

 ズバシッ


 ボト


 そこまで力を入れていないのに、根がちぎれた


 あっという間に、3本の根をちぎり飛ばし、幹に一撃加える

 思いっきり打ち込んだら、なんと幹の半分まで斧がめり込んでいた


 離れて確認すると、それだけでHPの八割がなくなっていた


 もう一撃加えて、ビギナートレントを倒す

 オレの強さがものすごいインフレしているな

 そういえば確認するのを忘れていたが、レベルも結構上がってるんだろう

 一夜にして、油断しなければ倒せる相手から、楽々倒せる雑魚に降格したな


 ビギナートレントを『解体』のスキルを使って、一瞬で解体する

 これだけ楽に狩れるなら、もはやいちいち丁寧に解体する必要はない

 それに、今日はカバ太の特訓だからな



 オレがカバ太の元に戻ると、体当たりをくらって舐められた

 よくわからんが、オレの事をねぎらってくれているのか?

 あまり体で表現されると、マジでオレが潰れるから勘弁して欲しい



「それじゃあ、次はカバ太の番だ」


「うー」


 いつもより、声が硬い

 緊張してるんだろうか?


「あんまりりきまなくてもいいぞ、オレも近くにいるし、ヤバくなったら手助けもするから、思いっきり行って来い」


 そうやって励ますと、カバ太は「うー!」と力強く鳴いた


「武器はそこに出してあるから、いろいろ試してみるといい」


 初戦なので、根は既に全て切断してある

 もしかしたら、トラウマになってるかもしれないしな




 オレは、近くで薬草を採取しながらカバ太の様子を伺っていた



 まずは斧か

 オレを真似たんだろうな

 口にくわえて突進していく

 カバ太は足はそんなに早くないが、体重があるからな

 上手く枝を回避して、いい感じに一撃入る


 相手のHPも結構減ったな


 が、それ以上にカバ太にダメージが入ったみたいだ

 口を押さえて悶絶している


 カバ太の噛む力は知らんが、口に咥えて攻撃は下策だ

 てこの原理も働いて、最悪総入れ歯になるぞ


 リアルでは、何千も何万もかけて歯の治療をしている奴もいるんだからな






 次は、おっ、もう一回斧か

 歯は大切にしたほうがいいと思うんだが


 なるほど、今度は首の力で投げるのか

 だがなカバ太、そんな重いものをいきなり投げたら


 あー、やっぱりか

 首を抑えて、転げまわっていた

 斧も明後日の方角にすっ飛んでいった


 鍛えてるならともかく、素人が首の力で投げたらそりゃ痛めるだろ






 次は、サッカーボール状の木球を使うのか

 

 それをビギナートレントの近くまで持っていき、思いっきり前足で蹴る


 


 が、ビギナートレントには届かなかった上、カバ太は前脚を抑えてうずくまっている


 あのなカバ太、それはビギナートレントで作った球の中に、重りとして石を入れたやつだぞ

 足が鉄とかで出来てない限り、まともに蹴れたもんじゃない





 既に三回の攻撃で、カバ太のHPがけっこう削られている

 全て自分の攻撃のせいだが


 しかし、3たびカバ太は立ち上がる


 


 次は、角付き兜か

 それを、頭に装着して突っ込んでいく


 あれは、まるで一角獣ユニコーンの様に華麗に突撃して、体重を載せた大ダメージが与えられるんじゃないかと最初は思ってたんだが


 途中で、カバ太は石につまずき、角が地面に突き刺さる


 あれは、視界が悪い上に、一度刺さると自分じゃ抜けないんだよな


 なんとか必死に抜こうと、暴れていたら、途中で角がバッキリ折れて、背中を盛大に打ち付けていた



 一応、回復の水薬を置いておいてよかった

 カバ太はそれを一気に飲み干し、再び立ち上がる

 想像以上にガッツがあるな



 次は、シーソー型投石器だ

 カバ太は体重があるから、相当重いものも飛ばすことができるだろう

 動かなくて、そこそこ大きな敵にしか使えないが、近づくことなく強力な攻撃が加えられる


 シーソーの片側に、器用に大きい木製の玉を乗せる

 そして、踏み台に登り、一気に反対側に飛び乗る


 あれは、構想までは良かったんだが……


 カバ太の上に玉が落ち潰されていた


 あの形でうまく飛ばすの難しいんだよね

 一応ピクピクしてるし、多分生きてるだろう

 安全のために、軽めに作っといたし、防具もあるからな


 にしても、あいつしぶといな




 その後も


 巨大車輪で、相手もろとも引き潰す、ハムスター式圧壊車輪に乗れば

 足が遅いので、回転に飲み込まれた上、横から枝で吹き飛ばされ



 全てを切り刻む、惨殺リアカーを引けば

 持ち手が首に引っかかって、窒息しかけ



 発想の転換、自分がパチンコで飛んでいく、空中殺戮兵器を使えば

 ビギナートレントの枝にホームランを打たれた




 なぁ、カバ太よなんでそんなネタ武器ばっかり選ぶんだ

 後半の方は眠かったから、ノリで作ったものばっかだったのに

 ガッツは認めるが、もう少し考えて欲しかった


 まぁ、実験データが手に入ってラッキーとも思ったが




 そして、いよいよカバ太は本命気づいた

 カバ太は足を振り上げ、一気に踏み込む


 ズガァン


 ベキョ


 ビックビギナートレントで作った臼砲である

 一本の丸太を削って作った一品だ

 見る限り、一発じゃ壊れないみたいだな


 ビギナートレントは一撃でHPが0になっていた

 置くときに、一応照準も合わせておいたからな

 流石は破裂ドングリだ



 オレは、カバ太に向かって歩いていく

 カバ太は相当疲れたのか、四肢を投げ出して寝転んでいた



「どうだ、カバ太。武器の扱いは難しいだろ」


「うー」

 力なさげに頷く


「よし、じゃあ本命の武器を渡すな」


 そう言うなり、怒り狂ったカバ太にめっちゃ噛まれた

 意味がわからない


 


 

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