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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第五章 世界幼樹と天鳥の子
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Ep102 大体子供の自慢は親が勝手にやってて、子は置き去りのパターン

 ピヨ助が満腹になったタイミングで、サナは一度歩みを止めた。

 まだまだ戦っていたかったが、武器の在庫も少なくなり、そう言えば自分の食事もまだだったことを思い出したので、一度武器製造工場ヒロの所に戻ることにしたのだ。


「ピヨヨ?」


 どこ行くのと、サナの肩を甘噛みしてピヨ助が尋ねるように首を傾げる。


「あたしたちが落ちてきたところよ。えーと、確か……」


 がぁあああああ


 ずがぁん


 きゃうんーーーーー

 サナの剣で、犬の様な魔物が吹き飛んでいく。


「ったく、うっとうしいわね。挑むならもっと強くなってからにしなさい。



 

「ピヨヨーーーー」


 ピヨ助もこの光景に慣れたのか、トテトテと走って行って、魔物をくわえて帰ってくる。


 因みに吹っ飛んでった魔物は、アースガルムという<ランク4>の暗い場所を好む好戦的な犬型の魔物。足音が殆どなく、体も真っ黒な為、ランク4とは言え中々に強敵ではある。しかし、夜目を持ち、スキル的にも肉体的にも気配察知が優れているサナに挑んだのは、相手が悪かったと言うしかない。


 一度通った道を戻っているため、アースガルム以降は魔物が出てこなかった。

 正確には岩の影からサナ達をうかがっている魔物はいたが、警戒して出てこない程度だったので、サナは見逃した。


 狩りは、しっかり準備をしてからの方が楽しい。




「いい加減、こっちに気づきなさいよ!」


 どかぁあん


「ぐはぁ」


 サナの右ストレートが、ヒロの顔面に炸裂する・


「いってぇなあ、何するんだよ」


 10メートルくらい吹っ飛ばされたヒロが、埃を払いながらサナに文句を言う。


「こうでもしないと、あんたあたしに気づかないでしょ」


「ああ、まぁそうか」


 そう言えば、昔もサナにこうして吹っ飛ばされていたな。


「で、なんだよ?」


「なんだよじゃないわよ。あたしの武器は? 後、お腹がすいたわ」


「あー、武器かぁ」


 世界樹の苗を育てるのに夢中で、すっかりと忘れていた。


「今から作るから、これでも食って待ってろ」


 そう言って俺はこの間カバ太とリーフに作らせた、干し肉と食える草、スープを入れた水筒を出してやる。


「もぐもぐ、忘れたですって、んぐっ、だいぶ時間あったでしょ?」


「食うか、しゃべるかどっちかにしろよ、きたねぇなあ」


「別に良いじゃない、もぐもしゃ、こっちの方が効率的よ、んぐんぐんぐっ、ぷはぁぁああ」


「こいつを育ててたんだよ」


 サナに世界樹の苗木を見せる。


「何よ、このひょろそうな木は?」


「世界樹の苗らしい」


「ふぅん、こんなしょぼい木育てるために、あたしの剣後回しにしたのね」


「しょぼくねえよ。お前だって、後ろの鳥はどうしたんだよ? 食うのか?」


「ピヨ? ピヨピヨピヨピヨ」


「なんだ、サナが……お母さん……お前いつの間に産卵したんだ? それに、ずいぶん高ランクじゃないか、研究したいから俺にも卵を分けてくれ」


「違うわよっ! ってか、あんたピヨ助の言葉分かるの?」


「いや、全く。ウチにも似たようなのがいるからな、カンだ」


「とにかく! そのへぼ木の前に剣よ」


「だから、へぼくねえって言ってるじゃないか。お前だって、そんなちんちくりんな鳥育ててねえで、素材取ってきやがれ」


「へぇ、言うわね。この子は世界滅ぼすくらいの超すっごい強い鳥になるのよ」


「こっちだって、宇宙に届くくらい凄い木になるんだよ」


「勝負ね」


「望むところだ」


 雛鳥と苗木は置きっぱなしのまま、二人の謎のバトルが始まった。

 既に彼らの頭の中から、脱出という二文字はない。


 ヒロが手早く作った武器をひったくる様に回収して、サナ達は再び地底探検に戻っていった。

 ヒロも、気合を入れなおして、更に強力な栄養剤づくりに励むのであった。




 作業も一段落したところで、顔を上げると、近くで魔物の死体がてんこ盛りになっていた。

 サナが置いて行ったんだろう。

 その証拠に、ところどころ凹んだり、潰れたり、折れてたりしていて、近くに俺が作った武器の残骸が転がっていた。


 昔言った約束は覚えているようだな。

 あいつは倒した魔物は食料にする以外全く興味がないから、壊した武器も含めて、いつもそこいらにほっぽっていた。

 そのせいで有用な素材が集まらないし、武器に使っている希少素材も無くなるので、ちゃんと回収するように何度も説教した。

 結局最後は、次素材が集まらなかったら、もう作らんと脅したら、ちゃんと回収するようになった


 素材は高レアの物はそのまま、レア度が低いものは、解体スキルでバラシてストレージに収納する。

 代わりに新しい剣と食えそうな物を置いておく。

 気付いたら勝手に回収されているだろう。


 おまけで作った鳥の武器と防具もそばに立てかける。苗木の栄養剤の材料はあいつが取ってきたものも含まれている。ただ貰っているだけじゃフェアじゃない。それに鳥の武器防具の作成は今までにない取り組みだったから、楽しかった。

 




 そのころ、彼らの仲間たちは


「シーチ、そっちに行ったよ」


「わかってる」


 ツナ吉に誘導されて追い立てられた魔物を、シーチが死角から攻撃して、とどめを刺す。

 実の兄妹らしい連携力で、確実に魔物の数を減らしていく。



 ドシン


「カバ太、今でし!」


「うー」


 どかぁん


 敵に認識されずらいリーフが、上から奇襲をし、意識が逸れたところで横からカバ太が突っ込む。

 防具を合わせて300キロ以上あるカバ太が体当たりすれば、大抵の魔物は即死だ。


「ツナ吉君達は離れすぎないように、奥からまた大きめの魔物が近づいてるわ」


「了解っす!」

「わかった!」


「リーフちゃん達はいったん下がって、今度はこっちを手伝って」


「いいでしよ!」

「うー!」


 全体を俯瞰しながら風香が指示を出す。


 風香の2Jセカンドジョブの策略家は、周囲の状況を判断したり、情報を集めるのに特化したジョブである。

 サナという自動魔物察知&殺すマシーンのせいで、索敵も必要なかったし、指示もサナのサポートのみで、風香のスキルを活かす場面が少なかった。


「久しぶりに戦ってる感じがするわね。本来のパーティー戦は、こうなるはずなんだけど……」


 昔のギルドで前線指揮官として活躍した風香は、元々パーティー戦が得意であったし、チームで戦うことが好きだった。

 個人的な戦闘スキルは一線級に劣るにしても、チームプレイで同じ戦力なら負ける気はしない。サナと言う突出した戦力と、長いことチームを組んでるツナ吉とシーチのせいで、今まであまり目立った活躍をしてこれなかったが、今は違う。

 サナと言う規格外の戦力がいない今、彼女はこの世界に来て一番輝いていた。


「ふふふ、楽しいわね」


 楽しそうに、風香は戦いに身を委ねていった。




おまけ


「なんかさっきの戦闘、風香さんが姐さんに見えたんだけど」


「奇遇、私もそう思った」


「違うでし、風香は良い奴でし。赤髪と同じにするなんて良くないでし」


「精霊、風香戦ってるとき笑ってた」


「そうでしね、風香は楽しそうだったでし」


「うー」


「それが、姐さんに似てるなあって思ったんすよ」


「むー、そうなんでしか……でも、風香は良い奴でし」


「精霊、私も飴あげる」


「わー、やったでし、嬉しいでし、シーチも良い奴でし!」


「チョロい」


「うー」


「カバ太にもあげる」


「うー!」


「じゃあ、俺もあげるっす」


「わーい、いやっほうでし!」


「ダメ兄がお菓子で少女をたぶらかす変態だった」


「いやいや、そんな下心無いから」


「うー」


「カバ太も欲しいっすか? じゃあ……、あれ、もう無いっす。申し訳ないっす」


「うー」


 ガーンとカバ太は落ち込んだ。


「やっぱりダメ兄はダメ兄。女の子にばっかり優遇してる」


「いや、本当に無いんだって」


「うー」


「カバ太ホントに申し訳ないっす」


「カバ太には、私がもう一個あげる」


「うー!」



 彼らは今日も楽しそうだった。


読んでくれて、ありがとでし!

飴すっごいおいしいでし!

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