Ep98 鉄壁カバ太
ドラゴンが暴れたからなのか、ヒロの砲撃が影響したのか、理由は分からない。
突然、音を立てて地面が崩れた。
「なっ」
足場がなくなり、俺は浮遊感とともに落下していった。
くそっ
流石にこれは想像してなかった。
とりあえず、柔らかそうなものを一緒に落とすか?
そんなことを考えていると、不意に抱きあげられた。
「全く、なんで落ちるのよ」
俺は空中でサナにお姫様抱っこされたみたいだ。
「お前何してんだよ」
「あんた一人じゃ助からないかもしれないじゃない、ほら早く道具出さないと死ぬわよ」
俺は舌打ちしつつも、手を考える。
サナがいるなら、多少の無茶も可能だろ。
そう思って、俺はフック付きのロープを出して、周囲に最大光量で『ライト』を出す。『ライト』は作業用の簡易照明の代わりの様なスキルだが、大きいものを加工したりするのにも使っていたため、かなり遠くまで照らせるレベルになっている。
「とりあえず、これでどうだ? 壁に寄ればお前なら何とかなるだろ」
「いいわね。えいっ」
すっとロープは壁に向かって飛んでいき、岸壁に突き刺さった。
上手く引っかかったようで、引っかかった反動で壁に向かって加速する。
ぶちっ
が、重すぎて切れた。
「なんでよっ! ちっ、地面が近いわね、壁蹴って減速するから、歯食いしばりなさい」
そこそこ良い素材で作ってあるが、やはり加工品などは1分ルールを破ると、耐久性などがガタ落ちするらしい。ストレージは非常に便利だが、こういうとき不便だな。素材はそんなことはないんだがな……そうかっ!
「サナ、これを上から斬れ」
「了解っ」
ずがぁあん
「くっ、やぁっ」
一瞬ひるむが、サナはうまくバランスを取って体勢を立て直す。
「ったく、爆発するなら、先に言いなさいよ。ビックリしたじゃない」
「お前ならできると信じてた」
サナは文句を言うが、爆発で上手く減速して、更に壁を上手に使って、俺達は地面に無事にたどり着けた。相変わらず、出鱈目な身体能力をしている。
「しかし、ずいぶん落ちたな」
空を見上げると、遥かに高い場所に僅かに光が差し込む隙間が空いている。
「ドラゴンにも逃げられたわ。次会ったら、トカゲ鍋にしてやる」
「素材は俺にくれよ」
「で、どうするのよ」
「んーそうだな、とりあえずは掃除か」
「そうね、というか気づいてるのね」
「流石にこっちに来て、ずっと野宿してたからな」
先程の爆音のせいか、地下に居た魔物を引き寄せてしまったようだ。低いうなり声がだんだんとこちらに近づいてきている。
サナは剣を構え、ヒロは予備の石砲を並べ始めた。
ヒロとサナが落ちる瞬間は風香たちも見ていた。
「サナ―!」
「姐さん! 兄貴―!」
「団長! ヒロ兄!」
「うっうー!」
ぐぎゃぁああああああ!!!
「もうっ、この忙しいときに」
銀輝竜は翼がある為、穴から飛び出てきた。
そして、近くにいる風香やカバ太達に視線を向ける。
ぐるぁぁぁあああああ!
「こっち見てるっす」
「うー!」
「ランク7、銀輝竜っていうのね。でも、さっきサナとヒロ君が戦っていた感じなら……」
識別の範囲内に入ったため、風香はドラゴンの情報を手に入れる。ランク7今まで戦ってきた相手よりも一回り強い相手ではあるが、先程までの二人のリンチで4割ほどHPバー削れており、サナとヒロのたった二人だけで十分に勝てる相手ならと思い、そのまま接近した。
ぐがぁああああああ
「なっ、きゃあああああ」
すると突然、銀輝竜が口からビームを放った。
元々銀輝竜はいつでもビームが撃てた。
しかし、ヒロがしっかりと足止め、攪乱して、ビームを撃ちそうになるとサナが剣で殴ってそうさせていなかっただけである。
狙いは風香。
完全なる不意打ちに、彼女は足が止まっており、ビームが風香を飲み込む。
誰もがそう思った刹那
「うー!」
「えっ」
カバ太が横から体当たりをして、風香を射線からそらす。
だが、ギリギリのところで身を入れたカバ太は避けきれず、ビームが直撃する。
「うーーーーー!」
「そんな、私をかばって」
反動で少し後ろに弾かれたが
「えっ?」
「うっ?」
当たったはずのカバ太は、無傷で立っていた。
この状況に、当事者のカバ太ですら首を傾げている。
がぁあああああ!
ビームが効かないことを見ると、銀輝竜はカバ太に襲い掛かる。
「させないっす!」
横からツナ吉がナイフを投擲して、集中を乱す。
「風香、しっかりする」
「んっ、ええ、みんな、一回撤退するわよ」
「でも、姐さん達はいいんっすか?」
「あの二人がこれくらいで死ぬわけない、そうでしょ」
「うん、団長もヒロ兄もしぶとい。だから逃げる」
「うー!」
「じゃあ、煙幕っす」
ツナ吉の煙幕によって、一気に視界が煙に覆われる。
起こった銀輝竜がビームをめちゃくちゃに撃つが、カバ太を殿にして、何とか少し距離を開けることができた。
風香たちが、離れたのを見ると、銀輝竜も追撃をやめて違う方へと飛んで行ってしまった。
銀輝竜の姿が見えなくなったところで、風香たちは足を止めた。
「はぁはぁ、退いてくれたわね。そう言えば、ヒロ君の仲間だったわよね。さっきは助かったわ」
「うー!」
気にするなと、カバ太は前足を上げて頷く。
「それにしても、あなたは大丈夫なの?」
「うー? うー!」
カバ太は自分の体を見て、元気そうに声を上げる。
「かなりいい防具なのかしら、鑑定しても良い?」
「うー」
構わないといった風に頷く
許可が出たので、カバ太の防具を鑑定していくと、すさまじいことになっていた。
「うわー、レア度5と6のオンパレードね。しかも品質もかなりいいわ」
最近できたばかりの品質が低いがレア度6の魔法鋼を筆頭に、これまで取れた素材でバージョンアップしたカバ太の防具は重さも凄いが、耐久性も凄いことになっていた。
「ねえ風香、それよりも今後」
「はっ、そうだったわね。でも、今行ってまたあいつが出てきたら厄介ね」
「うー、うー」
「ん、どうしたの?」
カバ太が示した先を見ると、ふらふら動く鎧がこっちに近づいてきていた。
「なに、あれ」
とりあえず、風香たちは武器に手をかけて、警戒するが
「うーーーーーーーー」
カバ太が鎧に飛び掛かった。
「うわぁ、ちょっとカバ太やめるでし、わひゃあ、舐めちゃダメでし、潰れるでしーーーーー」
やっとリーフが合流できた。
読んでくれてありがとなんだし!
やっと合流できたでし!
ここからリーが大活躍なんでし!




