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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第五章 世界幼樹と天鳥の子
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Ep97 リンチ・オブ・ドラゴン(彼は識別の上ではトカゲです)

「ちょっと、サナ待ちなさい!」


「姐さん、兄貴、待って欲しいっす!」


「うーーーー」


「ダメ、完全に聞く耳持ってない」


 斥候役のツナ吉すら引き離すスピードで、ヒロとサナは山頂に向かって走っていた。戦闘関連のスキルを取りまくっているサナはともかく、その横で遅れることなく付いていくヒロのスピードは異常だった。

 

「ドラゴンっドラゴンっ!」

「レア素材レア素材!」

 

 後ろの仲間たちの心配はよそに、二人は欲望に瞳を輝かせていた。


「山のてっぺんにはドラゴンが相場でしょ」


「別にドラゴンでも俺は構わんぞ、本体はもちろん、餌の動物の骨や、レアアイテムも巣にあるかもしれん」


「よしっ、じゃあドラゴンね!」


「その自信はよくわからんが、出来るだけ素材を壊すなよ」


「はっ、その程度で傷物になる素材じゃあ、大したことないでしょ」


「これだから戦闘馬鹿は。素材によっては、加工や組み合わせで強化されるのもあんだよ、何回言ったらわかるんだ」


「うっさいわね。さっきからバカバカ言いすぎよ」


「なんか頑丈そうでムカついたからぶっ壊したって、ドロップアイテムまで砕いてくるやつは馬鹿だろ」


「うっ、それは仕方ないでしょ、疼くのよ」


「知るか。wikiもない、掲示板もないこの世界だと、希少素材は出来るだけ実験して性能を確かめたいから、ちょっとでも多く欲しいんだよ。目力とか気合で殺れないのかよ」


「出来るわけ……はっ! その発想は無かったわね。今度試してみるわ」


「おう、是非とも頼む」


「楽しみにしてなさい。あっ、また光ったわね」


「これで見間違いは無いな、フフフ」


「そうね、楽しみだわ」


 とても山を全力疾走しているとは思えないようなやり取りをしながら、ヒロとサナはどんどん山頂に近づいていく。




 ぐるおぉぉおおおおおおん!!!


 突然、けたたましい咆哮が天を貫いた。


「何かいるわね」


「そうだな、しかも結構大物っぽいな」


「いいわね」


 ギラついた笑みを浮かべて、サナは剣を握りなおして、いつでも戦えるように準備をし、ヒロはサナの少し後ろに回って、石砲のリストをチェックする。




 がぁぁぁぁああああああ!


 再びあがる咆哮とともに、ついに声の主が姿を現した。

 その姿は、全身銀色に輝く鱗に覆われ、赤く怪しく光る瞳、背中には一対の翼。

 おとぎ話に出てくるドラゴンそのものだった。





 銀輝竜

 ランク7

 銀色に輝く蜥蜴。縄張り意識が強く、キレやすい。

 ちょっと大きくて、空飛べて、ビームが出るけど、下級竜なので、トカゲね。



 識別が2行になったが、内容は相変わらずだな。

 ランク7か、中々迫力がある。大火竜イグニファスがランク10だったからそれに比べれば、下級竜とかトカゲとか書かれて一段落ちるが、一応はドラゴンでランク7、素材は期待してもいいだろう。

 既に剣を振りかぶり、戦う気満々のサナの後ろで、俺はストレージから武器を取り出した。




 ドラゴンが姿を現したのは、既に500メートル以上離された風香達にも見えていた。


「何よあれ、本当にドラゴン」


「姐さんの動物的カンは凄いっす」

「流石団長」


「うっ、うーー」


 ヒロがいないため、カバ太は何を言ってるかわからないが、銀に輝くドラゴンの登場に全員目を見開いて驚いていた。


 あれはヤバい。


 サナなら間違いなく勝負を挑むだろうが、ドラゴンは荷が重いのではないか?

 ゲームなら中盤以降の中ボスとかで出てくる魔物だ。強いと考えた方が良いだろう。まぁ、逆に弱すぎてサナの不満が爆発するのも違った意味で怖いが。





「ふははははは、良いわね、ドラゴンが相手とか心が躍るわ」


 がぁああああああ!!!


「サナ! 射線は開けとけよ!」


 ヒロの言葉に従い、サナはスキル『威嚇いかく:相手の注意を自分に向ける』を使ってドラゴンの気を引きながら、右へと逸れる。


 ずがぁん


 その瞬間、爆音と共に石砲から炸裂ドングリが発射された。


 ぎゃぁ!


 直撃した銀輝竜は一瞬よろめくが、すぐに体勢を立て直して、ヒロを睨む。


「お前の相手はあたしよ!」


 サナは死角を突いて、銀輝竜の顔面に剣を打ち込む


 バキンッ


 ぐがぁあああ!


「あー、牙折るなよ、もったいないだろ」


「うっさいわね、そんなことチマチマ考えて戦って何が面白いのよ」


 ずがぁん


 ぐぎゃ!


 ベキッ


 ガァ!


「また、顔狙いやがって」


「文句があるなら、一撃で首落とせるような武器作ってからにしなさいよね」


「ある武器で最大の戦果を挙げるのが一流だろ」


 どこぉっ


「こんなバットみたいな武器しか作れない癖に、いちいち細かいのよ。禿げるわよ」


 どかっ


 っずがぁあん


 ぐるぎゃーー!




「あの二人、もしかして圧倒してるの」


 山頂では、強そうなドラゴンがサナとヒロにおされていた。

 遠目で見ても、ドラゴンの動きは早く、周囲の岩を軽々砕いているが、サナは全てを軽々よけ、懐に入ってドラゴンをタコ殴りにしており、ヒロはビームが口から出る前に違う場所に移動しては、的確にドラゴンに大砲を当てている。

 ドラゴンも反撃しようとしているが、時折ヒロから飛んでいくロープや網や何かよくわからない器具によって、上手く立ち回ることができていない。

 既にHPバーが二割くらい減少している。




「ちょっと攻撃ストップ。ドラゴンが弱ってきて面白くないわ」


「んなこと知るか! 俺は早くこいつをバラシて色々試したいんだ」


 ずがぁあん


「ちっ、えいっ」


 ばきっ


「あー、お前、拘束具狙うなよ。大砲当てづらくなるだろ」


 ずがぁあん


「知らないわね、手が滑ったのよ」


「そうか」


 ズガガガガガガガガガガガ


 ヒロは、炸裂ドングリは威力が下がるが連射可能な武器を、ドラゴンとサナに向かって発射した。


「わっ、ちょっと、危ないじゃない、ちゃんと狙いなさいよ、このノーコン」


「お前がよけねえのが悪いんだろ」




「あれ、おかしいな、なんか二人が争ってるように見えるんだけど」


「風香さん、俺もそう見えるっす」


「うーうー」


「二人ともおかしい」




 何故か目の前で争い始める二人を見たドラゴンは、好機と思い一気に反撃に出ようと咆哮を上げる


 がぁあああああああああ!!!


「うるせぇ」


 ずがぁあん、ずがぁあん


「いきなり叫ぶんじゃないわよ」


 どこっ、ばき、べきょ


 ぎゃあああ


 ドラゴンの悲鳴が上がった。




「なんか、ドラゴンに同情しちゃうわね」


 だんだんとサナ達の姿が大きくなり、何もさせてもらえずに滅多打ちにされるドラゴンが、なんだか可哀そうになってきた風香であった。




 ヒロの製作した器具が全身に絡みついているため、ドラゴンは大きく動けずにその場で暴れていた。しかし、体長はゆうに10メートルはある為、少しの動きでも、ドシンドシンと大きく地面を揺すぶり、全身にまとわりつく拘束具も大きく動く。更にサナの攻撃も加わり、一瞬拘束具が緩んだ隙に、ドラゴンは一度空へ飛ぼうと大きく翼を広げた。


 サナもヒロもそうはさせまいと、高めの攻撃を繰り出す。しかし、ドラゴンは身を倒すように地面にズシンと倒れこんだ。

 想定外の動きにサナの剣は空を切り、ヒロの砲撃は何もない空間を突き抜けて行った。




 そして、バキバキバキと地面が揺れる。


「なっ」


「えっ」


 ぎゃ?


 ほんの少しの間を開けて、地面が崩落した。


いよいよ、本文にすら登場させてもらえなかったでしー。

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