[幕間] 従者とメイド
これにて第二部は終了です。
ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。
幕間は、ほぼ会話のみの形式となっています。
ある日、地下室でメイドのモナは頭を抱えていた。
その原因となっているのは、テーブル置かれた1枚の紙。
今朝、出掛けていくリアンに頼まれたものであった。
曰く、これの換金を頼んだと。
そう、これは剣闘会の前にリアンが全財産を投じて購入した投票券であった。
ただの遣い程度ならよろこんで引き受けるが、これはそう簡単にいかない。
リアンには、この投票券の価値が分かっていないのだ。
剣闘会前のアイザックの前評判は決して良いとは言えず、かなりの倍率となっていたはず。
そこに、それほど多くないとは言えリアンの全財産を投じたのだ。
ちょっとした宮殿が建てられるくらいの金額にはなっていると思う。
モナが1人で持って歩くには危険すぎる金額だ。
というか、持ち運べないだろう。
悩んだモナは、信頼できる従者フェンリーに相談することにした。
「……という訳なんです。どうすれば宜しいでしょうか、フェンリー様。」
「事情は分かりました。……リアン様は一体何を考えているんだか。換金には私が行ってきましょう。」
「ありがとうございます。」
「ですが管理はモナにお任せします。私では手が回りそうにない。」
「そんな大金を私がですか?!」
「管理と言っても地下室に保管庫があるので、基本はそちらに置いておけば問題ありません。リアン様が必要とした時に準備をお願いします。あとは定期的に掃除をしたり、収支記録を残すくらいでしょうか。」
「……なるほど。大金だと考えなければ、それ程難しいことではなさそうです。」
「あとは、これを機にリアン様にもお金の使い方を覚えて頂いても良さそうですね。」
「お金の使い方ですか? 今でも使えているようにお見受けしましたが。」
「それは一市民としてですね。リアン様の立場を考えれば、もう少し御自身のためにお金を使っても良いと思っています。それにリアン様が望めば、何か事業を起こしたり寄付をしたりといった使い方もできます。」
「お金の使い方にもいろいろとあるのですね。」
「その辺りもモナに手助けしてもらえたらと思っています。」
「えっ……私も、そのような知識は持ち合わせておりません。」
「それは今から勉強していけば問題ありません。」
「難しい命令ですが……リアン様の為であれば、全力でご協力致します。」
「頼りにしていますよ。」
モナは新しい役目に、気持ちを奮い立たせた。
しかし後日、保管庫に届けられた大量の金貨を見て心が折れそうになってしまう。
想定の10倍以上はあった。
保管庫からあふれ出しそうな金貨の山を見て、ため息を吐く。
これは責任重大ですね……




